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『精神科医がものを書くとき』 中井久夫


この人を創ったものは・・・?

いったい、どうしたらこういう人が出来上がるんだろう?
中井氏の著作を読んで思うのは、何よりいつも、その一点。

本書は17編のエッセイを収録したもの。
その中の「私に影響を与えた人たちのこと」が。
私の疑問に、ほんの少しだけ応えてくれる感じがした。

著者が結核を患っていたことは知っていましたが。
診察してくれたドクターを「兄貴みたいないい感じの人」と。
この表現がちょっと中井氏っぽくなくて微笑ましい。
しかし続く文章はいかにも彼らしいものだ。

私が半年休んで復学するときには、ドクターの方が結核で亡くなっていました。弔い合戦というわけではありませんけれども、このことが私を医学に向かわせたきっかけの一つだったと思います。
 ちょうどそのころカフカ全集が出始めたころでした。私は一時カフカ全集ばかり読んでいた時期がありました。まるで自分のことが書いてあるような気がしたことがあります。そのころ同人雑誌にカフカ論を載せたのです。これは私が書いた評論では割と早いほうのものですが、この雑誌はなくなっております。まあ、なくなって幸いなようなものでありますが・・・。

医学を志したきっかけと、初めて書いた評論。
どちらも人生のうち重大なことのはず。
なのに、こんなに何気なく書く。

これ。中井先生の特徴ですね。
ご自身の思い入れのあることを大きな声で語らない。
もし私が同じ経験をして、そのことを書くなら。
10倍の長さでも収まらない自信がある。

続く学生時代の話も、さっぱりしている。
ヴィトゲンシュタインに影響を受けたこと。
その後、有名になった同級生の存在。
自叙伝を書かないでくれと頼まれた話。

おそらく。
彼にとって事実そのものよりも。
それに対し自分がどう考えたかが大事で。
考えに考えに考え抜いた結果。
語るべきことはむしろ、少なくなるのではないか。

凝縮、というのか。浄化、というのか。
枝葉が潔く取り払われる。

これは本人の気質とか美学の問題なのでしょう。
憧れますが、私は「無駄に語る」タイプですね。

(ああ。でも。重大なことほど語らないかも)

彼の専門の精神病に関しての話はいつもながら面白い。
病でない人間にも思い当たることが多々あるからだ。
もしくは精神病でないとしても「病んでいない」人間などいないからだ。

「患者は治りたくない」ということは氏は度々書いておられて。
それは「治ることを望み続けることは大変」で。
治るという過程は大変苦しいところを通らなければならないからで。
病気であり続ける方が楽と思えてしまうことすらあるからだと。

それは。すごくよくわかります。
病気の質や、病人の性格は無視できず、例外もあるでしょうが。
病が友達や家族のようになってしまうという面はあります。

とにかくキリがないのでこの辺にしますが。
どこを読んでも私には面白い。
「危機と事故の管理」という一編なども好きです。
事故はなぜ続けて起きるかというところが腑に落ちる。

東京と大阪と神戸では「混んでいる」と感じる定数が違う。
これなんかも当たり前のようで鋭い示唆です。
都市の感覚の違いは、住む人間に当然影響を与えますよね。
「日本」という括りはかなり雑なのだと思います。

私は大阪も神戸も歩きますから(コロナ以前の話)。
その違いは、はっきり実感できます。
大阪に慣れていますが、神戸くらいが心地よい。

東京は私の限界を超えています。
(それも時が経てば慣れるだろうこともわかっていますが)

さらに人の少ない都市だとどうなんでしょう。
それは実はこれから身をもって知ることになります。
 
あ。それは本書とは関係ないことでした。
感想とも言えぬ感想はこの辺で終わりにします。

(2018.10.28)
氏のファンが読むと美味しい本かもしれません。
私はこの本を読んだ2年前は想像もしなかった状況にあり。
生まれ育った大阪から引っ越すことが決まり準備中です。
転居先の候補に東京もありましたが、別の場所になりました。
明かしても別に構わないのですけれども。
ブログに地域性は不要なので、秘密にします。
まぁ、気が変わって暴露する可能性もありますが・・・。

つぶやき集 2018年7月 3

やっと。宿題(?)だったメンタルクリニックへ。「適応障害」という診断。今のところは、なので経過によっては病名が変ることもある、と。自分で調べて、鬱と適応障害は似ていると知る。ただ適応障害は原因がはっきりしていて、原因が消えれば改善し、6ヶ月以内に治るということらしい。

原因は職場にあるので。仕事を休むのが最善ということ。どれくらい休めばいいか訊ねると「とりあえず一ヶ月」。良くならなければもう少し伸びるかもと。しかし休職制度がそもそもある会社だったっけ。それに数ヶ月後に復帰しても、職場環境が変わっていなければ、また同じ・・・

病む前に、さっさと退職して転職すれば良かった。そうしようとして阻止されたことは今も少し恨んでいる。そもそも自分が追いつめられた原因は、明らかに問題があるとわかっている従業員の面倒を全面的に押し付けられたからだし、何よりそのことを把握していて一年以上放置していた会社のせい。

でも。もう。どうにもならないし。会社のせいというより、そんな会社とわかっていてもっと早く辞めなかった自分のせい。眠れないのと食欲がないのはそんなに気にならない。頭の具合が悪いのは辛い。会社を休むにしても辞めるにしても。思いがけず夏休みをもらったと無責任にはしゃいでみよう。

病名を得てかえって病気っぽくなるという皮肉。とりあえず、いったん忘れよう。心配してどうにかなるわけでもなし。

友の言葉に救われる。そして。唐突に、かき氷だけは食べに行こうと思う。夏の思い出に。

そうか。今日、かき氷の日なんだ。桂離宮の向かいの中村軒、久しぶりに行きたいな。季節の氷というのがあって。いちごから始まって、マンゴー、すだち、いちじくと変る。もういちごは終わっちゃったんだ。今はマンゴーらしい。すだちもいいけれど、いちじくが気になる。


ちなみに、かき氷の日は7月25日です。

『ペガーナの神々』ロード・ダンセイニ

 ハヤカワ文庫
 Amazon


神話風ファンタジー。美しく理不尽。

ちょっと苦手です。
名作だと思いますが。

突き放されるような、人知を超えた神の視点。
感情移入はできません。

心の置き所のない感じが持ち味。
いや、神話風。

そうか私、神話もダメな人だったのか。
でも。美しい景色を眺めるような感覚で。
妙に心惹かれます。

遠いんですけれどね・・・
うん。遠景。
夜景を見てる時のような、現実味の薄い感じ。
ある意味、これってファンタジーの醍醐味。

集中力が必要かな。読むのに。

ていうか。神様って究極に我儘だよね・・・
スケールが大きいんだか小さいんだかわからない。

神話を読むとおしなべて思うことだけれど。
神様ってこんなに矮小で俗っぽいものなんだろうか。

力だけは巨大な、小悪党みたい。
蟻から見れば人間もこんな感じかな。
ただの気まぐれで世界を滅ぼせる。

そして。神様はひたすら淋しい。

(2019年3月 読了)

『ブラック・スクリーム』ジェフリー ディーヴァー

文藝春秋
Amazon


グラッパを飲んでみたくなる

冒頭に引用される詩が、アンリ・カザリスの「死の舞踏」。
私、この詩を知らなくて。
サン・サーンスの「死の舞踏」なら知ってるけど、と思いましたら。

サン・サーンスはカザリスの詩を元に作曲したのですね。
なんとも不吉な詩ですが。

本書に引用された部分は短いですが、こんな具合。

冬の風は吹きすさび 夜は深く
菩提樹はうめき
白い骸骨が闇より出で
屍衣をまとって走り 踊る

ディスティラートも気になる。
ワインのブランデーのような酒?

本作では、なんだかライムが可愛いです。

(2019. 3.30 読了)
なんだかんだ、まだ好きなシリーズです。
作品の出来不出来を語るのは控えます。
瑕疵はあれども、本作は気持ちよく読めました。
うん。ジェフリー・ディーヴァー、頑張ってます。

『端切れ10cmから始める1時間雑貨』

2020.09.18 手芸   comments 0
主婦と生活社
Amazon

端切れ消費のアイデア満載。

手作りビギナーさんでもこれなら簡単!
・・・とあります。

p48 ヘキサゴンのブックカバー
p50 ヘキサゴンのポーチ
p51 大人色のお出かけバッグ
p53 クレージーキルトのマット
    端切れポケットのエプロン

布合わせのセンス良し。
この本、欲しい。

また借りる!


(2019.3.3 読了)
この手の本は大抵。
下手すると作例に貧乏臭さが漂うのですが。
センスが良くて、作ってみたくなるものが多い。
端切れ収集家としては、なかなか貴重な手芸本です。

  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

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