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マキアヴェッリ語録  塩野七生

Posted by 彩月氷香 on 27.2012 塩野七生   2 comments   0 trackback
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新潮社
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なぜ古典は敬遠されるのか。理由の一つは膨大な「註」である。
・・・と、かように塩野女史はお考えになりました。

で。マキアヴェッリを読むには「註」なんぞ不要、取り払ってしまえ!
いや。西洋では元々なくてもなんら問題はないそうで。

それは言ってみれば、聖徳太子や信長に「註」がいらないのと同様で。
西洋では説明不要の偉人たちしか登場しないからなのだけど。
日本ではどうかというと。ローマ史に精通してる人は、そうそういない。

つまり、やっぱり、どうしても、註は必要。
ここで塩野女史、思い切った手段を取ります。

「註」がないと理解できないところは省いちゃえ!
それで出来たのが本書。完訳でもなく、要約でもなく、抜粋。

これは・・・いいですね。好きですね。
この形でも、マキアヴェッリの思想はよくわかる。
何より解説がないことで、自分で読む楽しみがある。

『君主論』を読めばわかることですが。
軍事力の重要性が、前面に強く押し出されている上に、
民衆の管理について、極めて冷徹な思想を持っている。

よって彼の思想は「人倫の道に反する」と非難されることが多い。
擁護する人も「あの時代にはやむをえなかった」と言うに留まる。

塩野女史は、どちらにも賛成しない。
マキアヴェッリの思想は、正否はともかく普遍性のあるものであり、
彼の生きた時代の特殊性を強調すれば、そのことを否定することになる。

ではマキアヴェッリの思想とは何か?
「政治とは、場合によっては人倫の道に反することもやらねばならない」

そりゃ、これを民主主義の社会が受け入れるわけもなく。
キリスト教が容認するわけもなく、いや仏教だって駄目だろう。

塩野さんは正しいか正しくないかではなく、選択の問題とおっしゃる。
「政治と倫理を切り離す」ことを是とするか、否とするか。

実はね。私はどちらかというと賛成の方になります。
倫理を否定するのではなく、政治に倫理はさして求めません。
そして、この道を歩むのは実はとても厳しいことだと思っています。

ま。それはさておいても。考えさせられることの多い本です。

マキアヴェッリは「力」として「軍事力」を考えていたけれど。
現代の「力」は「情報」なのではないかな・・・とか、ね。
軍事力以上にマスメディアが力を持つ時代になって。
たぶん、現代に生まれたらマキアヴェッリは違うことを書いたかな。

それでも。もしも賛成できないとしても。
彼の人を見る目の鋭さと、それを表現する言葉の力は非凡なもの。
陰鬱で、シニカルで。冷酷で。そして・・・、繊細。

君主は愛されるのと怖れられるのとどちらがいいか、と問うて。
両方兼ね備えるのが望ましいが、一方であれば怖れられる方、と答える。
なぜなら、人間は怖れている者よりも愛している者の方を、
容赦なく傷つけるという性向があるからだ、と。

こんなペシミスティックな考え方に賛同したい人は少ないと思うけれど。

為政者であるということを。その存在の意味を。
ある究極まで考え抜いた一つの形として。魅了される読み物です。

(2012.4.23)
政治に正直、あまり興味はありません。それでもマキアヴェッリは面白い。
「君主」はリーダーに置き換えて読むことも可能です。
組織の上に立つ人は一度は読んでみるべき本ではないでしょうか。
リーダーなんて立場と縁のない私のような人間にとっても、
「リーダーはどうあって欲しいか」を考えることで視野が広がります。
受け身の側だからこそ、思い至ることもあると思います。



痛快!ローマ学  塩野七生

Posted by 彩月氷香 on 03.2010 塩野七生   0 comments   0 trackback
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集英社インターナショナル
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わかりやすく、面白い、ローマの歴史入門に最適な良書。
正直、そんなにローマという国に思い入れはないのですが・・・。

著者も言うとおり、ていうか、誰でも言うことだけど、
歴史に学ぶべきことは確かにたくさん、ある。

どの時代に、もしくは、どの国に、あるいはどの人物に、
焦点を当てるかで、見えるものは違ってくると思うんだけど、
塩野さん流に見ると、いちばん浮かび上がってくるのは、
「国を運営するために必要な資質」ってことかな。

私はどうも大局的に物事を見ることが苦手で、
なんでも個人レベルで小さく眺めてしまう、「知」より「情」の
人なので、歴史がいまひとつ、身近に感じられない。

何千、何万、もしかしたら何百万単位で人間を数えることに
心理的にすごく抵抗があるらしいのだ。
しかし、個人感情レベルに留まっていると見誤ってしまうことは
思う以上にたくさんあるのだな、と改めて感じた。

たまたまだか、のし上がってだか、理想に燃えてだか、
理由はそれぞれ異なれど、とにかくも一国のリーダーとなった人間は、
その大きな責任を背負って、いったいどのように生きるのか。

あんまり私が考えたことのない分野だけど、これは相当、興味深い。
ローマ時代に限らず、日本の戦国時代だって、そうなのだろうけど。
国のリーダーとしての資質、執政、戦い・・・その道筋には、
それを支えた人、反発した人も含めて深い物語と教訓があるのだよね。

リーダーたる者、大勢の人(民衆)の心を動かすことが絶対に必要な訳で、
それは現代だって変わらないんだけど・・・
じゃあ、どんなリーダーがいいんだろう。考えても、浮かんでこない。
っていうか、そんなこと具体的に考えたことも無かった。

思い描いたら、そういうリーダーが登場する、ってわけもないけど、
でも、この穏やかな無関心(本人が自覚すらしていない)が集まって、
真のリーダーが生まれ得ない土壌を作っているのかもしれないなぁ。

・・・と、柄にもなくそんなことを考えた。

(2010.6.24)



ローマ人への20の質問  塩野七生

Posted by 彩月氷香 on 28.2010 塩野七生   0 comments   0 trackback
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文春新書
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面白かった。
何より読みやすくてわかりやすい。

それにしても、自分の歴史の知識の乏しさを実感した。
ギリシアとローマの関係すら理解していなかったのだ。

著者がローマに肩入れしすぎの感は否めないけれど、
歴史への素朴な興味を甦らせてくれた、貴重な本。
ギリシア・ローマの時代の歴史、勉強してみても楽しそう、
とそんな気持ちが湧いてくる。

キリスト教世界より、ギリシア・ローマの多神教の世界の方が好きかも。
悪の根絶でなく、節度を「徳」とした、っていう辺りが気に入った。

酒を飲まなかったのではない、酔っ払わなかっただけだ、って。
・・・私もそういう姿勢で生きていきたい。

(2001.7.27)
最近、塩野さんのローマの本を読み始めています。
うん、やっぱり興味深い。ローマは気になる。
私は、祖母がクリスチャンであったり、自身もミッションスクール卒で、
家に仏壇も無かった・・・などなどの理由で、仏教よりキリスト教に
理解と愛着があるのですが、その弊害も感じていて、
いっそキリスト以前、の時代に惹かれたりします。
実はローマよりギリシャの方が私は好きかもと思うんだけど。
塩野女史はローマフリークな人だから。
ギリシャ愛好家の本も読んでみなきゃ不公平よね。何読んだらいいんだろ?


  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
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時々、写真や雑記も。

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