Loading…
 

名残り火  藤原伊織

4167614065
文春文庫
Amazon

「てのひらの闇」の続編にして、著者の遺作。

くたびれた冴えないオジサンである筈の主人公の、無軌道ぶりは相変わらず。
しかし、なんとまぁ。魅力満載な物語であることやら。

登場人物たちの行きつけのバーの女店主、ナミちゃんときたら、最高。
こんなに店主のワガママを反映して営業されてる店なんて、あっていいのか?
そりゃ、集う人間が個性豊かでは済まされないクセ者揃いなのも納得だ。
いいなぁ。私も仲間に入れて欲しいな。通いたいぞ、この店。

堀江(主人公)を「課長」と呼び続ける大原さんも、素敵な女性。
鈍感な人に恋するのは疲れるだろうなと、同情しつつ、
憧れてしまう聡明さ。芯の強さと共存する、意外な奥ゆかしさ。

そして、今回登場の、三上社長。アリですか、こんなキャラ。
反則でしょう~。60歳を超えて、突如、大型バイクに乗ろうって!
ていうか、この度量のとてつもない広さは何だ。
どういう人生を生きたら、こんなヒトが出来あがるのか?

さて。
簡単に言うと、主人公の親友が殺されて、その犯人を法スレスレの、
個人プレーで追っかけるというハードボイルドには珍しくない設定。
特筆すべきは、堀江氏が、その外見からは想像もつかない過去を持ち、
やったら、めったら強い人であることでしょうか。

おかげで、私は、途中、思考が脱線して、またも「暴力」について、
ちこっと、真面目に考えてしまった。

はい、またお得意の(?)脱線の時間がやって参りましたので、
時間と興味のある方だけ、続きをどうぞ・・・



てのひらの闇  藤原伊織   

4167614022
文春文庫
Amazon

地味な、オジさんだなぁ・・・という幸先の悪い、主人公の印象。
まぁ、それが読み進むうちに、一変します。

中年サラリーマンの悲哀物語が、いつの間にか!
やたらとカッコいい男たち&女たちの、スリルとサスペンスと
ミステリとバイオレンスの、怒涛のアクションストーリーに。
しかも、知的なんだよ!(っていう私の感想が、「非・知的」)。
・・・主人公の堀江課長、素敵過ぎる。

無我夢中で読み終え、大満足な私ですが、落ち着いて振り返ると、
あり得ねーだろ、それ、という設定のてんこ盛り!
もし書き方が下手だったら、読みながら怒り狂うくらい
(たまに、そういうことあるんです)の非現実さ。

でも、私、好きだわ。かなり。
無茶な話が、無茶に思えない筆力に、惚れる。
純文学も過去には書いたという著者の来歴も納得。

しっかし、派手。派手なのに、渋い。
ていうか、私、今頃気がついたんだけど、
もしかして、ハードボイルドが、めっちゃ好きなのかも?

過去に読んだハードボイルドを思い返すと、なんかいつも、
読後の感想がハイテンションだった気がする・・・。

えっと。白川道氏と、東直己氏。
それぞれ、2冊くらいしか読んでないけど・・・うん、好き。

翻訳物だと、王道のレイモンド・チャンドラーはもちろん、
ケン・フォレットとか、ハモンド・イネスとか、いいよね。
ものっすごい過激な武闘派だけどさ・・・。
あれれ。私、ハードボイルドと冒険小説をごっちゃにしてる?

・・・ま、それは置いといて。

たぶん、ハードボイルドは読者を選ぶジャンルかなと思う。
この本を読んで面白くない人は、そもそもハードボイルドが読めないってこと。
・・・褒めすぎ?いやいやいや、このレベルの上質娯楽作は滅多にないです。

そういえば、本書の解説の逢坂剛氏も、好きで昔、けっこう読んだなぁ。

(2010.7.16)


ひまわりの祝祭  藤原伊織

4043847025
角川文庫
Amazon

これは、良かった。
孤独、そして自分のための正義、独自の生活スタイル、
ひとクセある脇役陣。
・・・ハードボイルドに欠かせない要点をきっちり抑えている。

ゴッホの8枚目の向日葵、という設定にも惹かれる。
あんパンと牛乳、という主人公の食事も。

劇的な最後のシーンに至るまで緊迫感が切れることがない。
一方で、妻の思い出を物悲しく美しく織り込んで殺伐さを和らげている。

事件が派手過ぎ、登場人物が個性的かつバラエティに富みすぎ、
テンポが良すぎ・・・、ハードボイルドはサービス精神過剰の娯楽小説、
と言えなくもない。それでも、好きだ。

人と人の心のふれあいは、儚いけれども存在する。
しかし、やはり、生きるということは一人ぼっちだ。
自分の弱さを容認して生きていくしかない。

美は存在する。
しかし生きていくことは美しくはない。

(1997.10.30)
忘れていた作家さん。
読んでない本を読もうと思って調べたら、お亡くなりになってたんですね。
この本だったか、他の本だったか、判然としませんが、
私の好きな散歩コースを歩いている描写があったような気がします。
佐伯祐三(私が偏愛する画家)についても心に残る一文があったような。


  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

<別館のご案内>
Instagram
99%、花の写真です。

moleskine絵日記
ちいさな絵日記。

表示中の記事

  • 藤原伊織

カテゴリ

最新コメント

データ取得中...

月別アーカイブ

***