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福岡ハカセの本棚  福岡伸一

4840149275
メディアファクトリー新書
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人間には、地図をこよなく愛し、目的地に向かうときに必ずそれを頼りにするマップラバー(map lover)と、最初から最後までそんなものを必要とせず、自分の勘と嗅覚で目指す場所にたどり着けるマップヘイター(map hater)の二つがあると思います。たとえばデパートに入ったとき、「売り場案内板」に直行するのがマップラバー。まわりの様子を一瞥して、いきなり歩き出すのがマップヘイター。マップラバーは鳥瞰的に世界を知ることを好み、起点、終点、上流、下流、そしてもちろん東西南北をなによりも大切にします。行動に移る前に、世界全体の見取り図を手にしたいのです。

本書内から引用した、この一節。
著者の福岡氏はマップラバーだそうです。

私はと言うと、明らかにマップヘイター。
まず、地図が苦手。東西南北を常に気にせず動いている。
鳥瞰的な視点を好まない。予備知識も極力避ける。
「新鮮に」世界と出会いたいという思いが強いんです。

ただ・・・少しはありますよ、マップラバー的側面も。
グールドやバッハを好きなのはマップラバーゆえと言われると、
どちらも偏愛している私としては異論を唱えたいです。

まぁでもね、この二つの分け方は面白いなと思いました。

残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。

これは本書の中…と言っても、レイチェル・カーソンの名著からの引用。
ああ、そうならずにいたいな・・・ってもう遅過ぎるか?

あと、須賀敦子について語った文章が印象的。
私の大好きなエッセイストの一人ですが、また読みたくなりました。

須賀はこれまで紹介してきた作品とはまったく毛色の違う、しかし、やはり精緻な地図を思わせるたたずまいの作品で、私が長く傾倒してきた人です。
 いつの頃からか、彼女を知った私は、手元に著作を集めて繰り返し読むようになりました。その魅力は、なにより幾何学的な美をもった文体にあります。柔らかな語り口の中に、情景と情念と論理が秩序をもって配置されている。その秩序が織りなす美しい文様。長くイタリア文学の翻訳に携わった須賀がエッセイを書き始めたのは、60歳を過ぎてからだったといいます。

なんと言っても、福岡氏の著作は人柄の温かさが感じられて良いな。
知性が尖っていないというか、やわらかくて優しいです。

(2013.10.1)
さよならトンボ
ケルト 装飾的思考
ダ・ヴィンチの遺言
かたち フィリップ
微生物の狩人
盗まれたフェルメール
暗号解読
どこから行っても遠い町

紹介されている本のどれもを読みたくなりますが。
とりあえず、ざっとメモしたのは以上の本。


(2013.10.10)

ルリボシカミキリの青  福岡伸一

4163724303
文藝春秋
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しかしその青は息がとまるほど美しかった。しかも見る角度によって青はさざ波のように淡く濃く変化する。こんな鮮やかさがなぜこの世界に必要なのか。いや、おそらく私がすべきなのは、問いに答えることではなく、それを言祝ぐことなのかもしれない。

「言祝ぐ」という言葉の美しさに、ハッとする。
誠実さと奥ゆかしさが、その鄙びた言葉を新鮮に響かせる。

「ルキボシカミキリの青は、フェルメールにも描けぬ青」
著者は、その青への思いをずっと胸に大切に抱いて、学者への道、
そして、研究者としての道、なおかつ、教育者の道を歩んでらした。

賞を取り、話題になった「生物と無生物のあいだ」を読んだ時も、
何よりも強く感じたのが、著者の心映えの清々しさだった。
・・・正直、本の内容は、理科系にとんと弱い私の頭には難しく、
途中から、ついていけなくなってしまっていたのだが。

生物学の本に対して、美しさとか誠実さとか優しさというのは、
どうにも的外れな感想だと思うのだけれど・・・。
私は、その書物に漂う「空気」の清浄さに心を打たれた。

難しいことを易しく説明する文章の、その平坦さのなかに窺われる知性も、
ちょこちょこと顔を覗かせる、少年のような真っすぐな感性も、
知りたいという思いと、知ることの喜びを伝えたいという思いも、
何か、渾然とした、なのに、すっきり爽やかな魅力となっている。

本書は、週刊文春に連載されたコラムをまとめたもの。
理系音痴にも難しくない内容で、時事的、文化的要素が強い。
で、ありながら、科学の香りが、ほんのりとする。

結構、ドキっとすることを書いてもいる、と思う。
でも、そこにユーモアと思いやりがある。大らかな優しさと。

おっ!と思わせる、一歩踏み込んだところもあれば。
そこで、でも敢えて一歩、踏みとどまってもいる。
読者に、その先を考えることをゆだねるように・・・。

本書から、強く感じたことは。
何か好きなことがひとつあり、
その好きなことがずっと好きであり続けられることの幸せ。

新年のはじまりに、とても良い本を読みました。

(2011.1.3)
福岡さん、読書家なんですね。読んだ本についての文、時々、登場。
短い一言のなかに、書物への愛情と作者への温かな目を感じます。
で、しっかり彩月の読みたい本リストに、ここから3冊追加。

◆福岡伸一「できそこないの男たち」
◆ローワン・ジェイコブセン「ハチはなぜ大量死したのか 」
◆マーシャ・ガッセン 「完全なる証明」

村上春樹を愛読しているようすで、そんなところも親しみが持てます。



生物と無生物のあいだ  福岡伸一

4061498916
講談社現代新書
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いい本です。
何だか著者の人柄や佇まいがよく伝わってきて、気持ちのよい本です。

しかし、内容は難しい。ほとんど理解不能。
なのに、放り出す気にならず読みきった。

静かな力を感じる。
ゆっくり読めばわかるのだろうか。それとも繰り返し読めば・・・?

いや、内容はわからずともメッセージは充分に伝わってくる。

(2008.3.16)
  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
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時々、写真や雑記も。

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