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白い果実  ジェフリー・フォード

Posted by 彩月氷香 on 14.2010 ジェフリー・フォード   4 comments   0 trackback
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国書刊行会
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美しい、悪夢。

この物語を読む前の人に、何らかのイメージを与えたくない、
と、私はそう思います・・・。
ですので、ストーリーには、触れません。

読み始めて、最初は少し戸惑い、そのうち間もなく、
輝く異世界の断片が精緻に織りなす闇に、
主人公とともに、彷徨う自分に気付くでしょう。

スケールの壮大さ、
散りばめられた幻想の鮮やかさ。

しかし、そこには常に深い影が寄り添い、描かれる世界は仄暗く、
脳に訴えかけるような神経の痺れと、視界の揺らぎに支えられて、
甘美な陶酔と嘔吐感が交互するような酩酊状態が続きます。

心地よい、心地悪さ。

何故か、懐かしさすら、感じて・・・。
どこか私の見る夢にも似ています。
細部がくっきりしているのに、肝腎なところがぼやけて見えない。
自分自身への不信と世界の崩壊の予感。

贅沢な、豪奢な闇。

恐怖すら、音もなく虚無に吸い込まれていくようだ。
陰惨な残虐さすら、美に化ける・・・。
気味悪さと愛しさが両立し、魅惑的な濁りを纏う光を放っている。
自由自在に駆け巡る幻想に、諧謔がピリリ、と利いている。

奇想を疾走させて物語が成立しうることへの感嘆が、
著者への羨望となって私の心に沁み通る・・・。

(2010.11.13)
1997年度、世界幻想文学大賞受賞作。三部作の第一部。
ガルシア・マルケスや、カフカが好きな人なら、気にいるんじゃないかしら。
きわめて簡潔に言い表すならば「大人のファンタジー」といったところ。
山尾悠子さん(彼女一人でなく共訳ですが)の翻訳も素晴らしい。



シャルビューク夫人肖像  ジェフリー・フォード

Posted by 彩月氷香 on 28.2010 ジェフリー・フォード   0 comments   0 trackback
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ランダムハウス講談社文庫
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美しく詩のような、幻想的な物語。
読み始めてすぐ、その世界に惹き込まれてしまう。

謎の婦人と画家、という設定。
この類の物語にありがちな、独特の世界観にのめりこみ過ぎた危うさがなく、
歯切れのよさを感じる理知的な語り口・・・抑制が利いている。
絶妙な匙加減で、心地よいほろ酔い加減で読めました。

(2006.10.5)
この本の表紙の絵を見て、ピンと来た方?
あなたは、かなりの西洋絵画通ですね!?
これは有名な絵の一部を使用しているんです。 


元の絵は、こちら↓
b0031055_14214100.jpgジョン・シンガー・サージェント「マダムX」

実在の夫人を描いたものだが、人妻を描いたものとしては官能的過ぎて下品と非難され、サージェントはその騒ぎから逃れるために、パリを離れてロンドンに転居したと言われている。

そうかしら? 昔の道徳観って、厳しかったのね。

サージェントはイタリア生まれのアメリカ人。
(1856~1925)
ローマやパリで絵画を学び、パリのサロンや、
ロンドンのアカデミーに出品していた。
上流社交界の人々を描いた優雅な肖像画で知られるが、
晩年は肖像画の注文を断り、水彩の風景画を描いていたという。



  

プロフィール

Author:彩月氷香

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読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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