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蒲公英草紙  恩田 陸

Posted by 彩月氷香 on 29.2016 恩田 陸   0 comments   0 trackback
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集英社文庫
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 私は、世界はもっと劇的なものだと考えておりました。ひとつの激しい流れのようなものがあって、そこに投げ出されたり、飛び込んだりするというような。
 けれど、実際のところはそうではないのです。いつのまにか、ひとは目にみえない流れの中にいて、自分も一緒に流れているので流れの速さを感じることができないのです。
 そして、世界は一つではなく、沢山の川が異なる速さや色で流れているのでした。見たこともない川、流れているのが分からないほどゆったりとした大河、またはちょろちょろと茂みの陰を流れる支流や、ひっそりと暗渠を流れる伏流水、などなど。
 彼らはどうやらそういう流れの一つらしいと私は気付き始めてちました。彼らは、私たちとは異なる川で生きているのです。

 聡子様の聡明で曇りのない輝きが空気を満たし、世界が透き通っていきます。何とも言えない清々しい、明るい気持ちが胸に溢れだします。私はうっとりしました。
 そうだった。このひとはこういうひとだった。向き合うと綺麗な光に照らされているような気がして、恥ずかしいくらいだった。

「光の帝国」に続く常野一族シリーズ二作目。
わぁぁぁ。前作以上に「恩田陸らしくない」。

ナニコレ。普通に泣けるんですけど。
めっちゃ、王道なノリ・ストーリーなんですけど。
なにしろ素直すぎるじゃありませんか!

でも。好きです。だから好きです。

こんな万人受けしてしまう物語を書いてしまうなんて。
恩田陸らしくないぞとちょっと腹を立てつつ。

「いい話」過ぎて、なんか鼻白む・・・いやそれは言い過ぎ、
でもちょっと凡庸に感じるよな・・・やっぱり。
ああだけど。素直にしんみりと感動したのだから、それで良し。

とか言いつつ、読者を素直にさせない恩田陸(笑)。

どうしても「まとまり」を欠いてしまう傾向にある彼女にしては。
なんか、やたら「ちゃんと」纏まってるんですけど!

私にとっては恩田陸の小説はいつも何か納得いかなくて。
それが標準になっちゃってると、こういう作品は調子狂う。

言い出せば、なんか、ほら、もっと、こう・・・
何かがどうにかなりそうな・・・とか。
うーん。あ。そうだな。
病人の描き方はちょっとアレだなと思ったりはする。

不自然、までは行かないのだけれど。
ファンタジーな病人だなって。うん。リアリティ薄いのよ。
まぁ。でも、そういう儚い病人もいなくはないのかも。

ていうか。そもそもファンタジーなんだからエエんよね。

ははは。何故だか難癖つけたくなってくるけども。
まぁ。好きなんですよね。
目立つ瑕疵があっても許せてしまうのは恩田陸ならでは。

いつ読んでも、ちょっと不思議な作家だと思います。

(2016.7.7)
恩田陸さん関係の記事が面白かったので貼っておきます。

作家の読書道 弟36回:恩田陸さん
大賞作家恩田陸さんが副賞10万円で購入した本 2005年本屋大賞

上記の記事を読んで思うのは。
乱読家としてはほんと、私と傾向似てますねー
挙げてらっしゃる本、全部読んでますもん。
あ、漫画は別です。私、漫画はあまり読んでない。

たまたまかもしれないけれど。
恩田さんの挙げてる本は「ザ・エンターテイメント」で。
私、そういうのが心底好きなんだろうなと今更に実感。

でも。万年文学少女の気概も持ってます!
ふふふ。そのうち、文学老女になってやるのだ。

(すみません。本の感想になってなくて)

光の帝国  恩田 陸

Posted by 彩月氷香 on 17.2016 恩田 陸   0 comments   0 trackback
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集英社文庫
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 主人は美しかった。存在感は大きいのに、からっとした明るい軽さが漂っていて、皺の一つ1つが芸術品のように見応えがあるのである。自分の仕事に精進して充足している人間だけが持つ安らかな表情には、虚勢が微塵も含まれていなかった。篤はこういう人間を見ると、激しい自己嫌悪と羞恥を感じてしまう。自分が歳をとってもこういう顔にはなれないだろうと思うのと、こういう顔の日本人がかつてはいっぱいいたのに、みんな自分たちをおいて先にいなくなってしまうのだという絶望を感じるのだった。

 運命というものがあるならば、と最近では篤は考えるようになっていた。一人の人間が一生に為すべきことは、既に決まっているのかもしれない。もしかして、自分も何かをするのかもしれない。自分でも知らないうちに、大きな営みの中で、何かの役目を果たすことになるのかもしれない。

「常野物語」と副題にあり。明らかに「遠野物語」を意識しているのだなとわかる。言ってしまえば、超能力一族を描いた連作短編集なのだけれど、全体に懐かしさのような、少し古風な雰囲気が漂っている。

私が恩田陸作品に対して感じる苦手要素が極めて薄いというのも特色。それにはまず何が苦手かを延べる必要があると思うが。えーと。「なんでそうなるー!?」という展開の不条理というか、もっと言うと個人的には「これって失敗では?」と言いたくなる整合性のなさというか、作者自ら世界感を崩してしまうクセというか。

この本を読んで思ったのは「あれー。恩田陸とは思えないくらい、ちゃんとしてる!」(失礼。ごめんなさい!!!)・・・なので、恩田陸が苦手な人も読めると思う。恩田陸らしさに欠けるというわけでも勿論なく、宿命的なものを背負って孤立している者たちの淋しさの描き方が魅力。かつ、珍しいくらいに優しさと光もある。

(2016.14)
ただ、恩田陸に「がっかり」することももしかすると読書の楽しみだったのかもしれず、妙に肩すかしを食らった気分であったりもするという読後感・・・。微妙に既視感もあって、下手すると平凡になるというのがこの路線なのだと感じている。

夜のピクニック  恩田 陸

Posted by 彩月氷香 on 03.2011 恩田 陸   4 comments   0 trackback
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新潮文庫
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忍君が好きだ。融くんも悪かないが、私の好みからはハズれる。
青春だなぁ・・・爽やか一辺倒でないところが好感度高い。

ただ、男の子だけ、女の子だけ、な小説の方が好きかも。
研ぎ澄まされた印象で。より一層、痛々しくて(笑)
恩田さんが描く場合は、その方が持ち味が生きる気がする。

個人的には女子たちに、魅力が足りなかった。
それでも、若さゆえの空回りと鋭すぎる精神活動が懐かしく甦る。
夜のピクニック・・・楽しそう。こういう行事、いいねぇ。羨ましいな。

ちなみに弟の通った高校にはありました。
なんと、「夜行登山」。この小説と同じく夜通し歩くのだ。
52kmの道のりを・・・。1925年から続く伝統行事なんだそうですよ。

へぇ~じゃあ、川端康成も歩いたの!?と思いましたが。
彼が在学してた頃には、この行事は無かったのですね。な~んだ。

とは言え。ふーん。いいなぁ。そもそも、共学が羨ましいよ。
女子高を選択したのは、私の人生のなかでも痛恨のミスだったわ。
まぁ・・・どっちにしても、明るい学生生活は思い浮かばないんだけど。

女子ばかり見てるより、目が楽しかったと思う。

(2011.5.15)
恩田さん、賢い高校生だったんだなぁと、毎度毎度、思います。
いいなぁ・・・私、眺めるのはキレイな顔が断然好きですが。
自分の持ち物としては、カオよりアタマを望みます。
もちろん! 両方あれば言うことなしなんだけど(笑)

顔は整形できるけど、頭は整形できないからなぁ・・・
ていうか。顔はたとえ醜く生まれても整形しないと思うけど。
頭は手術で賢くできるなら、今からでも絶対にやる!

ああ、賢くなりたい・・・(て、本の感想じゃないし)


六番目の小夜子  恩田 陸

Posted by 彩月氷香 on 03.2011 恩田 陸   0 comments   0 trackback
4101234132
新潮文庫
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どんな学生時代を送ったんだろうなぁ、恩田さん。
この人の描く「高校時代」、私、好きです。
賢くて美しい少年少女が多過ぎる・・・とは思いますが。

ああ~。そうだった。そんな感じだった・・・と、甦ってくる、
不安だらけで、でも希望が溢れていて、
遥か彼方を見通せるような、若さゆえの世界の広さ、
そして、地団駄踏んで叫びたいほどの閉塞感。

心の中は、いつも、ごちゃごちゃしていて、
ヒリヒリするほど熱くて、だけど、しーんと凍りついていて。

相反するものが、渦巻いて暴れて、飛び出しそうになっていて。
何もかもを馬鹿にして、何もかもにうんざりして、
夢なんてないとうそぶきながら、自分の可能性を信じている。

一生懸命、堪えている。何かとんでもないことをしでかしそうな自分を。
そんな勇気なんてないことを承知しつつ、少し残念に思いつつ。

妬みや、憎悪も、自分自身を燃やしつくすかのように。
負の感情のエネルギーの強さが反転するとき、
突如、身をとりまく世界が、束の間の天国になるように。

一足、進んだだけで、心模様が逆さまになるほど不安定。
どっちが前か後ろかもわからない中、「前進」しようとする闇雲さ。
苦しかったけれど、やはり、「生命力」は輝いていた。

そっか、いちおう、私にも「青春」はあったかもしれない。
・・・そう思わせてくれる。(これは凄いことなんですよ)

(2011.4.29)
内容の説明が皆無で、ごめんなさい。
純粋に面白い。ヒネリ具合が綺麗な模様になってる感じの物語です。


ネバーランド  恩田 陸

Posted by 彩月氷香 on 20.2011 恩田 陸   10 comments   0 trackback
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集英社文庫
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男子校の寮で冬休みを過ごす4人の少年。
おっと。どうした、この少女マンガなノリは!

それぞれの秘密が徐々に明かされていく七日間。
う~ん青春。なんとまぁ心地よくもナイーブな。

暗い過去、重いしがらみ・・・不自由な身の上ではあっても。
いいなぁ。いいなぁ。きらっきらしてるなぁ。若いもんなぁ。

少女より、少年の方が楽しそう、と密かに思っている私。
これって、まさに理想的な少年生活だなぁ。
何とも気持ちのよいほろ苦さと吹き抜ける爽やかな風。

今はもう恩田さん、こういう作風では書かないんだ。
残念・・・この雰囲気、大好きなのに。

著者がとても楽しんで書いたんだなって感じる。
リアリティ?それがどうした!
どこかに、こういう素敵な少年たちが存在してると思いたい。

恩田陸さんに特有のノスタルジックさが、
いつもの毒々しさで彩られず、拍子抜けするほど、
美しく素直に物語が進行する。

じゃあ物足りないかというと、それもなく・・・
時々、こういうのも書いて欲しいなぁ。

(2011.4.6)
恩田さん、低体温な雰囲気の小説を書く人だと思ってましたけど。
肌のぬくもりのある小説も、ちゃんと書けるんだな。意外でした。


  

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とにかく本が好き
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  • 恩田 陸
2016年09月29日 (木)
蒲公英草紙  恩田 陸
2016年08月17日 (水)
光の帝国  恩田 陸
2011年04月20日 (水)
ネバーランド  恩田 陸
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