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彼女について  吉本ばなな

Posted by 彩月氷香 on 23.2011 吉本ばなな   0 comments   0 trackback
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文藝春秋
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なつかしい。

「気持ち」になる前の、胸のなかに浮遊する、
秘かな息遣いのような、「想い」の断片。

光を充てると、ふときらめいてその存在を知らせる、
細かな塵のように、捉えどころのない微細なるもの。

その儚いもの達は、見えないふりをした方が、
日常が円滑に過ごせるから・・・

日々の雑事に抹殺されて、ただの「もやもや」として、
ひとまとめにして、心の中の「何でも箱」に放りこんである。

よしもとばななさんの本を読むと。
それらの強制的に眠らされているものたちが甦ってくる。

その表情の、多彩な美しさに胸が痛む。
半分、目を閉じて、半分、耳も閉じて、偽りの平穏を生きる自分。
それゆえに失ったものの、今は遠く思える静謐な輝き。

日常の細部への細やかな愛情。
一瞬、一瞬のきらめきをつぶさに追い続けて紡ぐ心模様。
それが健やかに存在できないほどに、病んでしまった世の中で。

繊細な感受性は、それを保ち続ける人自身の心を壊し続ける。

哀しくて。怖くて。
人はどのみち、ひとりぼっちなのであれば。
せめて、自分を信じて、澄んだ心で生きていたいのに。

救いのない現実に、それでも癒しが生まれる不思議。
ひりつくような痛みに沁み入る優しさと安らぎ。

ありがとう。

(2011.4.22)
もう、だいぶ以前に手放してしまったけれど、
著者の「哀しい予感」という作品が、大好きでした。


  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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