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連舞  有吉佐和子

4087464725
集英社文庫
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芸の世界の厳しさよ。
親子の情も、夫婦の在り様も、一般常識も。
すべてが歪められた世界。

より美しく舞うために。
その道を守り続けるために。

芸術は生贄を必要とするのだと。
そう、思わされる過酷さ。

母に「才能がない」と見捨てられても踊り続けた少女。
天才と騒がれ、自分とは違い家元の血を継いだ妹を、
憎むことすらできない・・・その芸を愛するがために。

血と涙の上に、築かれるものの底知れぬ美。
その昏さと艶やかさは狂気と共に静かに立つ。

渦巻くような、業の苦しみのなかに浮かびあがるもの。
闇の中から、いつか輝きを放ち、人々も魅了するもの。
それは舞い手自身をまるで喰い殺すかのように凶暴で。

だからこそ、気高く美しく、魂に響く力を持つのだろう。

このようにしか生きられぬ世界に生まれ育つ気持ちなど、
知り得ることは決してないのだけれど・・・。

少し、ほんの少し、羨望の思いもある。

(2011.2.9)
私、偶然、京都の二寧坂にある竹久夢二が通ったことで有名な
甘味処にて、おぜんざいを食べながらこの本を読んでおりました。

隣に座られた年配のご夫婦が、映画かドラマから抜け出てきたように、
はんなりとした京都弁で会話をしていて、しかも踊りの話をしていて。

きれいに髪を結い、着物姿の奥様が店内に生けられた花(小菊)を見て、
「小さい花いうんは、なんや健気なもんどすなぁ」とおっしゃられ。
これが芝居がかって聞こえないことに、感嘆しました。

旦那さんも、昔はよく遊んだに違いないと思われる粋なおじいさま。
二人の会話のリズムと声の音色は、ある種芸術的ですらあり。

やはり京都にはまだ、こういう人々が生息してるんだなぁ・・・と
うっとり聞き惚れつつ、のんびり古都の空気を満喫した休日でした。


  

プロフィール

Author:彩月氷香

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  • 有吉佐和子
2011年02月24日 (木)
連舞  有吉佐和子

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