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文章のみがき方  辰濃和男

4004310954
岩波新書
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「文章の書き方」を読んで感動して。
ええ。文章の書き方の本なのですけど、お役立ち本ではなくて。
技術を学ぶというよりも、文章を書く志を叱咤激励される本なのです。

で。続編?姉妹編?のこちらも読んでみました。

やっぱりね。いいわぁ。いいねぇ。良い文章って、はぁぁ〜。
つまるところ、ため息しか出てきません。

例に挙げられる文章にうっとりするばかりです。
けれど。お手本と言っても。とても親しみの持てるものばかり。
文章読本といえば、文豪の名文をズラリ並べがちなものなのに。

よしもとばなな、村上春樹、宮部みゆき、池波正太郎、向田邦子、
浅田次郎、武田百合子、川上弘美、宇野千代、田口ランディ、
俵万智、姫野カオルコ、北川悦吏子、高村薫、宮本輝、板坂元、
山口瞳、大岡昇平、岡本太郎、甘糟りり子、須賀敦子・・・

これでも全部じゃないんですけど。疲れたからもういいですか。
とにかく、バラエティに富んでます。いや、読んでますねぇ辰濃さん。

私も濫読家ですが。これは負けます。
姫野カオルコとか田口ランディとか甘糟りり子とか、
北川悦吏子とか・・・読まず嫌いで手をつけてないです。

それが・・・引用されてる文章を読むと、唸っちゃいます。
え〜。やっぱり読むべきでしょうか。いや読みたくなってきた。
これじゃあ、読書のススメ、ではありませんか。

いやいや。ちゃんと。実践的な提言もあるのですよ。
その為に、これらの作家さんたちの文章の膨大な引用があります。

目次をちょっと覗いてみましょうか。

Ⅰ 基本的なことを、いくつか
 1 毎日、書く
 2 書き抜く
 3 繰り返し読む
 4 乱読をたのしむ
 5 歩く
 6 現場感覚をきたえる
 7 小さな発見を重ねる

お。1〜5までは。私、実践出来てる気がしますぞ。
でも、そうだねぇ、6と7。サボってますね。

Ⅱ さあ、書こう
 1 辞書を手もとにおく
 2 肩の力を抜く
 3 書きたいことを書く
 4 正直に飾りげなく書く
 5 借りものでない言葉で書く
 6 異質なものを結びつける
 7 自慢話は書かない
 8 わかりやすく書く
 9 単純・簡素に書く
 10具体性を大切にして書く
 11正確に書く
 12ゆとりをもつ
 13抑える

これは・・・うわっ。厳しい。イタイとこ突きますね。
1以外は、全滅なんじゃないでしょうか、私。
2、3、4は心がけてはいますが。5以降は・・・もう泣きたい。

小見出しは省きますが、
「Ⅲ 遂行する」「Ⅳ 文章修業のために」と続きます。
どの章を読んでも、例文が神々しくてクラクラします。
さらに、辰濃さんのそれらの文章を読み取る力も眩しい。

感動と絶望に交互に襲われながら。
うわぁ。どひゃあ。どうしよう。やだ〜。
ど、ど、ど、ど、努力とかで、間に合うの?
ぶ、ぶ、ぶ、文章力とかって、いまさら身に付くの?

ダメだ、ダメだ、ヤダー。ポカポカポカ。
漫画風に自分の頭を叩きたくなります・・・
さらに視界がぼやけてきました・・・

はい。深呼吸。気を取り直しまして。
己の文章力の向上を願う方は、怖れず読んでみて欲しいです。
さんざん私が脅かしましたが、稀有な才能と比べるのが間違いなだけ。

素直に感動し。ちょびっとでも見習おうとし。
その為に、辰濃さんが教えて下さる心得を胸に刻み。
よし、今日も書くぞ、明日も書くぞ、読むぞ、考えるぞ〜。

よく読み、よく書き、よく考え、よく観察する。
この積み重ねが文章をみがく・・・ということなのだと思います。

当たり前のことなんです。
名文と言われるほどのものを書いた人は、とことん突き詰めたんですね。
生来のもの・・・そりゃ当然ありますが。凡人でも進歩はしますとも。

と、自分に言い聞かせつつ、ひっそり涙する私なのでした。

(2012.4.5)
最近読んだばかりの山口瞳『人生論手帖』からの引用もありました。
山口瞳の文章について辰濃さんはこのように書いています。
「そっけない文章だからこそ、それがかえって読み手の想像力を呼び起こす」
数ある私に足りない資質のなかでも、これは最大のものかもしれない・・・


文章の書き方  辰濃和男

4004303281
岩波新書
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「文は心である」
著者が伝えたいのは、そのことに尽きるのです。
ちょっと長くなってしまいますが、まえがきより引用します。

正確にものごとを見る訓練をおろそかにしている人が、はたして正確な文章を書くことができるでしょうか。大自然と遊ぶたのしさを知らない人が、人の心をとらえる自然の描写をすることができるでしょうか。品性のいやしさが顔に表れている人が、品格のある文章を書くことができるでしょうか。いらいらせかせかの気分のまま机に向かって、読む人の心にしみる落ち着いた文章を書くことができるでしょうか。ひとりよがりなことばかりをいっている人が、目配りのきいた、均衡のとれた文章を書くことができるでしょうか。表面はごまかせるかもしれません。しかし心のゆがみは、その人の文章のどこかに現れます。

うっ(言葉に詰まる)。あわわ(焦る)。だって、だって(言い訳が巡る)。
わぁ~ん(泣く)。ごめんなさいっ(耳をふさぐ)。
きゃ~、どうしよう(ジタバタ)。

文章を書くことの恥ずかしさに、今更のように襲われ、
私、皆様の前から姿を消したくなってしまいます・・・。

いえ。朝日新聞の「天声人語」を担当してらした辰濃氏。
怖い人ではありません。説教口調で「文章とは」と語りもしません。

書くこと、読むことに愛情を持ち、それゆえの厳しさが、
気配りの行き届いた優しい文面から立ち上ってきます。
でも、その厳しさを他人ではなく、ご自身へ向けておられる。
だから、本書そのものが文章のお手本になっているのです。

筆者の書きたいことが明確で、濁りなく伝わってくる。
「思い」が「人柄」をも感じさせつつ、読み手に届く。
そして、我が身を振り返って「さて、では私は?」と考えさせる。

引用される名文の数々を読むだけで楽しいのです。
良い文章は甘かったり、苦かったり、香りがしたり、色が躍っていたり、
鋭く刺さったり、ふんわり包んでくれたり・・・。

深呼吸して、思いきり吸い込みたいような、そんな文章たち。
見えないからつい、普段は忘れがちな貴いものを甦らせる。
その鮮やかな像は、しかし仰々しさはなく、ふとそこに在るという印象で、
それは「空気が美味しい」と感じる瞬間の幸せに似ている。

かの如き名文は、どこか遠い「芸術」という畑に育つものであって、
いいんだもん、私は「素人雑文」という空き地に映えてる雑草だもん。
って、雑草に失礼過ぎる・・・あの健気な可憐さは私には無いのに。

やっぱりね、精一杯、良い文章が書きたいな。下手は下手なりにも。
その為に自分の後ろ姿をきちんと見ることをおろそかにしないようにしたい。

ほんとは見たくないんだけどなぁ・・・みっともないに決まってるもん。
きっと背中が曲がってて、トボトボと歩いてるんだもん。
捨てるべき荷物をズタ袋に入れてしょってる気がするし。
いや、大切なものを置き去りにして、せかせか歩いてるのかも・・・。

でもわかっていて直そうとしないのは、心のゆがみ、なんだと思う。
私の場合は心のひがみ、か。いやいや、手抜きか。
いずれにせよ、見て見ぬフリは、自分に跳ね返ってくる。

書くこと、もしくは読むこと、あるいはそのどちらもを愛する人へ。
まだ読んでなかったら、ぜひ読んで欲しいなぁと思います。

(2011.5.9)
「これはもうご存じかと思いつつ」と、私にこの本を教えて下さった人。
今、お元気でいらっしゃるでしょうか・・・。祈る思いでいます。
優しい波のように、穏やかに心に寄せ打つ文章を書く女性でした。
いつも、私が書き得なかったことを、その鋭く繊細な感性で読みとって、
温かな、でもドキリともするようなコメントを贈って下さいました。
いくたび、彼女の言葉に励まされ、気持ちが潤ったことでしょう。
彼女の住所を私は知りません。連絡先も。お名前すらも。
ただ、福島県にお住まいだったということしか・・・。


  

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