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どこから行っても遠い町   川上弘美

Posted by 彩月氷香 on 10.2014 川上弘美   0 comments   0 trackback
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新潮社
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川上弘美「どこから行っても遠い町」読了。小さな町の中で、ほんの少しずつ重なりあった人間模様。生き方は違っていても、誰もどこかしら淋しい。淋しさは表は違う色をしていても、内側は似た色をしている。私はずっと自分の淋しさしか見えない人間だったな、とふと思う。たぶん、見たくなかったのだ。

自分の中の淋しさは、ある意味、親しんだ友のようなもので。その淋しさに押し潰されそうになろうとも、結局どこか愛着のようなものを抱いている。他人の中に見る淋しさは、怖い。理解できないからではなくて・・・。自分以外の人も淋しいということが、怖い。うまく説明できないけれど。

淋しさは共有できないし、したくない。同情っていうものが嫌いだ。でも同情しないというわけでもない。同情されたら腹が立つというのでもない。同情を買うような言動を自分が全くしないでいられる、とも思っていない。でも、だから同情は嫌い。そして、淋しさは同情できるものではないと思っている。

何が言いたいかよくわからなくなってきたから、やめておこう。つまるところ、私は淋しさは好きで。淋しさに満たされたこの本が好きだ。最後の一篇はきれいにまとめようとし過ぎた感じで、なくて良かった気もするけれど。自分の外で淋しさに出会うのは怖くて、でもどこかホッとする。なぜか懐かしい。


以上、読後のつぶやきの転載にて、失礼いたします。

(2014.2.10)
ひなびた町が舞台の・・・群像小説。
若い頃は良さがわからなかった形式なのですけれど。
今になってみると、好きな群像小説がたくさんあります。


ざらざら  川上弘美

Posted by 彩月氷香 on 28.2012 川上弘美   0 comments   0 trackback
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マガジンハウス
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23もの、ほんとうに短い、お話。
しかし、何でもない日常を「読める」小説に出来る著者は凄い。

ちょっと、歯を喰いしばって、笑ってやり過ごすような、人生の苦痛。
泣けそうな、泣きそうな、でも涙は流さないまま、乗り越えてしまう哀しみ。

こうして、人は生きていく・・・自分の心の中の一枚の景色。

川上弘美はもっと読んでみたい。

(2006.10.18)
その後、川上弘美はボチボチ読んで来ましたが。
たぶん、今読んでも、この本は好きです。川上弘美さんの小説は
「どこにでもありそうで、どこにもないもの」だと思います。


東京日記 卵一個ぶんのお祝い   川上弘美 門馬則雄

Posted by 彩月氷香 on 14.2012 川上弘美   4 comments   0 trackback
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平凡社
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いいなぁ。

こういう日記、大好きです。
つぶやきのような、何気ないひとこと。

面白くて、ほんの少し、時々だけどホロリとする。くすっと笑える。
心地よく、小さな笑いに満たされる。

いい感じにとぼけていて、案外ドライなのだ。
私もこんな日記を書きたい、と思った。

挿絵もいい感じ。
ほのぼの本。でも甘くない。

(2006.3.20)
きっと、全てが本当のことではないのだろうと思います。
ちゃんとね、あとがきで、ご本人もこのように断っていらっしゃる。
「本書は、本当日記です。少なくとも、五分の四くらいは、ほんとうです。」
なんとも、妙に怪しげな、へんてこ具合が愛らしい。


センセイの鞄  川上弘美

Posted by 彩月氷香 on 01.2010 川上弘美   0 comments   0 trackback
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文春文庫
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すてき。

シンプルな言葉で、とぼけたような短い会話で、
紡ぎだされる物語の豊かさに、思わず溜息がこぼれる。

ゆったりと、小説のなかで時間が流れてゆく・・・。
描写は、細やかなようでいて、多くを語り過ぎない。

なんといっても会話が楽しい。

好き。

(2007.4.19)
誰もが、きっと読んだら優しい気持ちになれます。
川上さんの、もっと毒のある作品も好きなのですが、
やはり、このトーン、いいですね・・・。
谷崎潤一郎賞受賞。




真鶴  川上弘美

Posted by 彩月氷香 on 29.2010 川上弘美   0 comments   1 trackback
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文春文庫
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何とも、心を騒がせる小説。

題材はありがち(夫の失踪、思春期の娘、母、不倫の恋)なのに、
確かに川上弘美にしか書けないであろうと思わせる、何かがある。

静かに心がざわめく。鋭さはない、痛み。
深くもなく、浅くもなく、中くらいでもない、不思議な感情の浮き沈み。
甘美な不安が全身に、ひたひたと広がってゆく。

切ない、と表現してしまえば簡単だが、
そのありきたりの形容詞で評したくはない。

「女」を濃密に描いている、はずなのに、
生々しさが行間から溢れるのに・・・、さらさらとした肌合い。

若手の小説家の、透明感とは全く違う、独特の風合い。
心のひだ、すきまに吹く微かな風、を鋭く捉えている。

言葉づかいに魅力があるのだ。
常套句に逃げず平明な言葉で、かつ新鮮な表現をしている。

描かれた世界に吸い込まれるような読書、ができたのは久しぶりのこと・・・

(2007.4.12)


  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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