賛否が分かれる本ですよね。
ゆるりまいさんのイラストが正直、あまり上手くない。
シリーズで「なんにもない」と連呼するのが何となく気に障る。
良くも悪くも本人のミーハーなノリが軽い印象を醸し出す。
いい物を選んでるのはわかるんだけど・・・
何だろう、あまり面白みがないというかセレクトが平凡。
でも。汚部屋の住人からここまで登り詰めた(?)のは。
純粋にその熱意が凄いなぁ・・・と感心します。
ご本人が楽しそうにしてらっしゃるし。いいと思う。
参考にもならなかったし(好みが全然違う)。
憧れもまったく感じないし(やはりガラーン具合が受け付けない)。
なかなか、ここまでやり切れる人はいないということで。
この「ガラーン」が商品価値なのだなぁと思います。
そんなエラそうな上から目線な発言をしてる私はと言えば。
統一感はそれなりにはあるけれど、物は結構多いという、
ごくごく普通な(たぶん)、暮らしぶりだったりします。
ミニマムな生活への憧れはまだ消えてはいなくて。
少数精鋭志向と、コレクター魂が闘っている状態。
しかも・・・。私事になりますが。
長年、危険だから手を出すまいと誓っていた、
万年筆の世界に先日とうとう、足を踏み出してしまいました。
万年筆なら一本で充分!と理性が言い聞かせても。
細い字を書きたいときもあれば、太い字を書きたいときも。
黒字もいいけど、ブルーブラックやボルドーの気分の時も。
カジュアルな日もあるし、フォーマルの日もある。
だから、だから。
保管に苦労しない程度なら持ってもいい。
物がない方が落ち着く人ばかりじゃないんだ。
(あれ・・・。完全に開き直りだしたぞ!)
でも。物が多くなり過ぎないためのルールは守っています。
万年筆はルールを崩壊させるくらいの威力があるアイテムですが。
その危険な海原に乗り出すことを決心したからには。
きっちりと自分の作ったルールは守り切るつもりです。
あ。本の感想じゃなくなってる・・・
強引に話をまとめますと。この本が教えてくれたことは。
「物が極端に少ない暮らしを私は望んではいない」ということ。
物が少ない部屋や家に共通しているのは色彩の単調さで。
色や素材が数えられるくらいに限定されている。
(だからこそ、すっきり見えるわけですけれども)
私は色のグラデーションやハーモニーが好き。
高級なものを絞りこんで持つことでは生まれない、
思いがけない安物の中にも見つかる理想の色合わせが愛しい。
ふと。森茉莉の「贅沢貧乏」を読み返したくなりました。
(2015.6.15)
「物が多くなり過ぎないためのルール」は実はかなり曖昧です。
一例として、万年筆に関してのルールを挙げます。
(ツイッターでつぶやいたものの転載)万年筆。奥が深くて楽しいに決まっているけれど。どっぷりハマるのはやはり怖い。だから。自分なりに心構えというか、ルールというか、節度を保つための決まりを持って、その道に入っていきたいと思う。文字を書くことを楽しむ、というところから外れないように。あれもこれも、と欲張らないように。
できれば。一つのメーカーは一本まで。色違いとかは買わない。この型ならこの色!と絞る。うっかり増やしたら手放す。軸とインクの色のコーディネイトにはとことん、こだわる。それぞれの軸に一番似合うインクを真剣に探す。とにかく、一本一本に愛情を持って接する。希少価値だからと浮き足立たない。
贅沢貧乏森 茉莉
新潮社
Amazon
ある意味、私の原点とも言える本。