『イギリス暮らしの雑記帖』 河田ヒロ
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ほっこり和む英国暮らし。
イギリス本と聞くと。
あ、あの感じねーって思う。
正直、もう飽きたな。
とか言いながら、ブックオフで安くて。
表紙のイラストも可愛かったので購入。
イラストレーターの著者。
イギリスへの憧れが嵩じて渡英。
5年暮らした思い出を綴ったエッセイです。
などと解説いたしますと。
あぁまたか・・・って感じですが。
著者の視点や語り口が心地よくて。
ありがちな「英国礼賛」にはなっていない。
アンティークや、銀の匙や、花や、庭。
取上げる話題は、誰もが浮かべるイギリスらしさ。
それこそ散々、どこかで目にしたような。
でも。著者の感性が瑞々しく、優しくて。
絵を描く人だからか、文章にも色彩を感じる。
ふんわりしつつ、いい意味でラフで、
ご自身のイラストの雰囲気に似ています。
ところで。私は曇り空が好きという変わり者。
なかでも自分の好みの曇り具合があり。
昔から勝手に「英国日和」と呼んでいます。
そんな私は本書のなかの一節に、にっこり。
イギリス得意の、曇り空だって捨てたものではありません。一点にわかに搔き曇った時の重い灰色は、時にグリーンがかっていたり、紫がかっていたり。強風に乗って見る見る空を覆っていく、そのスピードも好きでした。それに灰色って、レンガやテラコッタの煙突の赤とよ良く似合うのです。
そうそう。灰色のなかに見える、紫や緑!
ここでは触れられていないけれど、藍色も。
青空よりも、陰影や表情があって飽きない。
何より、心が落ち着くのです。
この一節のあとに、英国のことわざが紹介されますが。
これがまた、とても素敵です。
"Every cloud has a silver lining."
どんな雲にも銀の裏地が付いている。
(2018.1.27)
河田ヒロさんのブログを発見。おしゃれです。
タイトルからして、すてき。
↓
草の上 花の下