おいしいくふうたのしいくふう 山本 ふみこ
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ふしぎな、と私には思えてしまうような、
伸びやかな、発想と話術を持つ人だ。
あれ?と思い。あっ、と気付かされ。
彼女の文章は私の心に小さな旅をさせる。
そして、思いがけぬ場所に、ストンと降ろされる。
エッセイのひとつひとつに、へぇぇ。ふふふ。なーるほど。
・・・私のアタマ、ずいぶんと硬直してたのだ、と
彼女の発する柔らかなコトバと思考に教えられる。
日々の暮らしのアイデアや美学を語る本は、
にょきにょきと気味悪いほど、書物畑に生えているが。
どこかの学派に属してるの?と尋ねたくなるような、
分類できる、似たカオをもっているものが多い・・・気がする。
山本ふみこさんの書く文章は面白い。
話の展開がスキップしている。カツカツとまっすぐ歩かない。
リズムよく、楽しげに弾んでいる。
おやおや。私、毎日、何を見て暮らしてるんだろう。
「あおむしさんたちっ」と青虫に話しかけるところから、
思わぬドラマが展開する彼女のエッセイを読み、感じる。
心の隙間を、形あるもので埋め尽くさねばならぬとばかりに、
頭に心を従属させ、窮屈に生きることが、すっかり習い性な私。
ああ、勿体ない!こんなワクワクが身近に溢れているのに。
ふみこさん、ありがとう。
くふうは、たのしいですね。えがおの素ですね。
私の心が、久しぶりに大口を開けて、笑いましたよ。
(2011.6.14)
すぐ、読めちゃいます。字、少ないので。
しかし、この少ない言葉数に包まれるものが大きい。
自分の中にも、この広場はあるはずなのに。
どうしてつまらぬ、しゃちほこばった理屈に占拠させてるのだろう。
ふみこさんにかかると、思いもかけぬところに楽しさが生まれ、
澱んでいた空気もぱっと明るく晴れ渡る。
何か新しい朝をプレゼントしてもらったような、
そういう清々しさを送り届けてくれる本です。
おいしそうなお料理のレシピも載ってます。