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二つの旅の終わりに  エイダン・チェンバーズ

4198617449

徳間書店
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夢中で読んでいた。
思春期の若者の気持ちに。無理なく、入り込んでいける。
思い出すのではなく、もう一度、その時間を生きているように。

「アンネの日記」を愛読している主人公の少年。
ああ、私も。そういえば。そうだった・・・
繰り返し繰り返し、何度も何度も。飽くことなく読み返した。

日記を書き始めたのも。それがきっかけだったし。
以来、毎日ではないながら、途絶えることなく書き続けている。

「おれの墓で踊れ」を読んだ時も思ったことだけど。
著者はどうして、「そこ」んとこが分かるんだろう、って。
時々・・・ハッとさせられる。

本書の中でも、とある場面に心を鷲掴みにされた。
わかるわかるわかる・・・と同調し過ぎて震えるくらい。

登場人物ひとりひとりに、奥行きが感じられる。
たくさんの答えのない問いかけに満ちているのに、
そこには温かな、人間そのものを信じる心がある。

わからないことは、わからないまま。
悩みは晴れ渡ったりはせず、共に傍らに。
それでも、「大丈夫だよ」と力づけてくれる・・・

何か。小さなお守りを一つ。手に握らせてくれるような。

(2012.10.2)
思春期の少年を描いていても。
「おれの墓で踊れ」とは随分と雰囲気が違う。
あちらは、もっと限定された濃密な心模様を描いていて。
張りつめた神経が生み出す独特の空気が魅力的だった。
今にも粉々に壊れそうな脆さが美しかった。
それと比べると、こちらの主人公はずっと逞しく感じる。
それでも、二人に共通しているのは。
成長の過程で失わざるを得ない何かを美化することなく、
くっきりと浮かび上がらせて体現していることだろう。
悲哀に閉じ込めることなく、明日へと続くものとして。

おれの墓で踊れ  エイダン・チェンバーズ

4198607818
徳間書店
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例によって、早とちりな私は。
ハードボイルドミステリだと思って読み始めました。
なんか、それっぽいタイトルじゃありません?

青春小説だったんですね。途中で気がつきました。
苦手で、なるべく避けるようにしていたのに。

しかし・・・

これは凄い。ほんとうに。こんな風に書けるものなのか。

墓の上で踊る少年の心理が、胸に迫る。
迷いと、不安。求めながら、拒絶すること。
強く願っていることを自らにも認められない矜持。

強固な自我の向こうに透ける研ぎすまされた共感力。呼応能力。
伝染病のような・・・あの独特の熱。

熱いのに、冷めているもの。
醒めているのに、夢の中を生きているもの。
儚きもの。弱きもの。純粋とは呼びたくない、魂の透明度。

心に「若者」はずっと生きている・・・おそらく誰でも。
けれど「懐かしさ」に訴えるだけの青春小説は好きではない。

著者自身が自らの中に永遠に生きる青春、を描き切ってこそ。
物語のなかで再び、若者の時間を生きることが出来る。

夢とか希望とか友情とか愛とか。そんな単純なものではない。
名付けようのないもの。居場所を求めてさすらうもの。

今読んでも素晴らしい体験だったけれど、
もっと若い時に読んでみたかった。

(2012.7.23)
1980年代に発表され、以後ヨーロッパで読み継がれている、
児童文学なのだそうです・・・ええええっ。こ、これが?
確かに主人公は16歳ですけど・・・びっくり。
若い人向きの読み物は西洋文化のほうが成熟してますね。

今年もまだ4ヶ月残ってますが、
2012年の読書の中のベスト10に間違いなく入ります。

構成が見事。いや斬新と言ってもいい。
私は素直に時系列に一人称で描かれた作品を好み、
凝った手法を嫌う傾向が強いのですが・・・

この本を読んで、その気持ちが吹っ飛んでしまいました。


  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
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時々、写真や雑記も。

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