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物語ること、生きること   上橋菜穂子 瀧 晴巳

Posted by 彩月氷香 on 25.2014 上橋菜穂子   0 comments   0 trackback
4062185687
講談社
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連名になっているのが、不思議だったんですけれど。
この本、聞き書きだったんですね。
それに関して、著者はこのように語っています。

 自伝ではなく、聞き取りならば、そこに現れてくるのは「自分が思い込んでいる自分」ではなく、「人から見えている私の姿」___読者が知りたい、と思って下さっている私の姿だろう。それならば、もしかすると、本にする意味があるかもしれない、と思えてきたのです。

ちなみに、本書は基本的に。
作家になりたい子供たちに向けて語る・・・という内容です。

「こうすればなれます」とか、「こうしましょう」ではなく。
わたしは、たまたまこうして作家になりました・・・と。
あ、言葉が悪いな。なりたかったけど、なれると思ってなくて。
でもなりたくて・・・という葛藤を乗り越えて、なれました、と。

著者の紹介を見ると大学の教授(しかも文化人類学)とあって。
私、ずーっと。教授が小説を書いたら売れちゃった?
へぇぇ。頭良くて、器用な人なんだなって思ってました。

違うんですね・・・。
この本の中で、上橋さんが号泣するシーンがあるのですが。
その時の心情を語った言葉にたいへん、共感しました。
ここには「親に迷惑をかけ続けられない」という想いが含まれています。

小説もダメで、研究者の夢もあきらめなきゃならないとしたら、私は、この先どうしたらいいのだろう。

とても彼女の人柄や悩みや挫折感に親近感を感じます。
一方で、ああやっぱりなと思わされる彼女の個性といえば。
ある種の潔癖さをはらむ強い正義感だと思います。
これは・・・私には全くと言っていいほど無いものです。

「私って、何?」ということよりも「人間って、何?」ということに関心がありました。「人」よりも「人々」に興味があったのだと思います。

この一節にも、彼女の「社会と個人」の関係の描き方から窺われる、
信条や信念の一端が表れているなと感じます。

あと。私自身、女子高出身なのですが。
彼女がそうだということは、ああ成程な・・・と。
いいとか悪いとかではなく、ありますね、女子高出身の「色」。

思春期に女の子だらけの中に暮らすということは。
人間形成に及ぼす影響はかなりあるんだなと思います。
まぁ・・・これは、個人的な感想というか、感慨です。

彼女のファンである人も、そうでない人も。
「物語る」ことを職業として選び取るまでの彼女の歩みから、
学んだり励まされたり、考えさせられたりするでしょう。

本書のタイトルの意味を語っているような一節があるので、
書き写しておきますね。これは私も心がけていることです。

 つらいとき、自分の外側に出て、「人生という物語」の中を、いま生きている自分を見る。そうしていると、つらい、悲しいことだけじゃないな、喜びもあるよな、と気づいたりする。


(2014.1.19)
高校二年の時、気の合う友人と文化祭で劇を上映したそうで。
原作は彼女が作り、ちょい役を演じたのが片桐はいりさん!
名前は出していませんでしたが、脚本を書いて演出した人も、
劇団俳優として活躍しているそうです。

以下は、本文から書き抜いた文章になります。
自分がメモしておきたかっただけなので・・・
お暇な方だけ、ご覧下さい。

狐笛のかなた  上橋菜穂子

Posted by 彩月氷香 on 23.2011 上橋菜穂子   4 comments   0 trackback
4101302715
新潮文庫
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12歳の少女が、子狐を助ける。
これが全ての始まり・・・

けなげ。健気すぎて泣ける。

母親を幼くしてなくし、引き取ってくれた祖母もなくし。
ひとりで生きて行く少女。

あ、なんか。上橋さんの物語はこのパターンが多い。
幼くして、トラウマになるほど残酷な状況で母親を亡くした少女が、
知らぬまま母から受けついだ能力ゆえに、権力闘争に巻き込まれる。

でも。いい。でも泣ける。
魂のことを考えさせられる。

信じる力。
踏み出す勇気。
自分の弱気に負けない心。
権力にも不運にも挫けない、屈しない心。

そう。ヒロインの魂はいつも、青い炎を燃やしている。

(2011.7.6)
シリーズものじゃない上橋さんの本は初めて読みました。
彼女の本は続きが読みたくなる空気を持っているので、
このお話だって、その気になればシリーズに出来そうですが。
こうやって、短く終わるのも、ぎゅっと濃い感じでいいな。

ところで。私、上橋女史の作品は涙なしに読めないようです。
悲しいから泣けるんじゃないんですよね~。
主人公が健気で、気持ちがまっすぐなところに、涙を誘われる。
なんでかなぁ。自分が失くしたものだからなんだろうか。

自分が泣く理由をを掘り下げて考えていたのだけど、
書かないうちに、忘れてしまった(汗)

次回、また上橋さんの本を読んで泣いたとしたら、
理由をきっちりみっちり追求してみます(笑)


闇の守り人  上橋菜穂子

Posted by 彩月氷香 on 22.2011 上橋菜穂子   2 comments   0 trackback
4101302731
新潮文庫
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守り人シリーズ2作目。1作目より、格段に面白いです。
テーマは、更にずしっと重いのですけれども。

生きる道を限定されてしまった・・・それも理不尽な理由で。
逃げ、闘い、そして、ひたすら強くなるための鍛錬の日々。
残酷過ぎる過去に、それでも主人公バルサは立ち向かう。

強くなるしかない、なれなければ死ぬしかない、という、
ギリギリまで、身も心も追い詰められて。

いっそ心が凍結してしまえば、楽なのに。
心の傷と痛みを自分の分だけでなく、他人の分も敏感に感じ取り、
それでも、それに足を掬われて身動きできなくなるまいと、
必死で自己を保ち続けながら、目を逸らさずに対峙する。

周辺の人間の心の弱さが、いっそいじらしくも見えてくる、その強さ。
だが、試練を与えられ、それに負けない人間だけを美化してはいない。
屈して敗退していく人間たちにも、静かに慈愛は注がれている。

上橋菜穂子が描く主人公は、「希望」を体現しているのだろうな。
想像を絶する艱難辛苦にも挫けない心、その心の「核」となるもの。
読者は気付かぬうちに、その「希望」を応援しているのだと思う。

自分の心にも、弱々しくとも同じものがまだ生きていることを、
ひっそりと、しかし強く願いながら・・・

(2011.2.17)
著者の描く主人公のひたむきさに、いつも涙してしまう。
それはどこかに存在していて欲しい「光」なのだ。
「負けないで」と祈る想いは、実は自分に向けたものでもある。



精霊の守り人  上橋菜穂子

Posted by 彩月氷香 on 21.2011 上橋菜穂子   0 comments   0 trackback
4101302723新潮文庫
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夢中で読みました。
重すぎるものを背負って生きる、一人の女。
獣の奏者を読んだときも思いましたが、
ドスーンと、ど真ん中な印象です。

なんだろ、このブレてない感じ。
いい意味でファンタジーの王道なんです。
だからといって、ありきたりだというのではありません。

何故、ファンタジーを著者は書くのか?しかも児童書として?
その理由があとがきを読んで、少し見えてきました・・・
ああ、そうか。そうなんだ。納得。
(すみません興味がある方は、読んでみてください)

彼女は文化人類学者でもあり、ここが強みだなと思います。
ファンタジーといえば、架空の世界を創造するわけだけど。
彼女の作る民族や国家、その背景の文化や政治システムは、
非常に骨格がしっかりしていて、雰囲気や幻想に走っていない。

小難しげで実は薄っぺらい権力争いや、ファッションの如き宗教、
それを取り巻くイメージ重視の呪術・・・を描いているファンタジーも、
残念ながらよく見かけるけれど、彼女はまるで違う。

うん、続きを読む楽しみが出来ました。

(2011.2.10)
突如、思う。「上橋菜穂子は、全部読もう!」決めた!
そもそも忘れてたけど、私、ファンタジーが大好きなんです。

「ゲド戦記」「だれも知らない小さな国」「木かげの家の小人たち」
著者が、こういう物語を書きたいという激しい欲求を抱いた本たちは、
私も愛読していたものばかり・・・。

ああ、そうか。それで。彼女の作品に懐かしさを感じるんだ。きっと。

恩田陸の解説だったりするんですね、また、これが。
で、上橋さんは、恩田さんの新刊に大喜びするほどのファンだそうで。
この辺も、面白い縁を感じるね。あ、そうだ、恩田陸も、読まなきゃ。
ううう、忙しい・・・



獣の奏者 4(完結編)  上橋菜穂子 

Posted by 彩月氷香 on 03.2010 上橋菜穂子   2 comments   0 trackback
4062156334
講談社
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獣の奏者は、<闘蛇編><王獣偏>で完結した物語でした。
<王獣偏>のあとがきに書いたように、あの物語は、獣(遠い他者)に向かって、ひたすらに思いを伝えようとする人の姿を描いたもので、その結末としては、あれがすべてだと感じていたからです。その思いは、いまも変わっていません。

上橋菜穂子さんの、あとがきの冒頭。
私は今回、何よりも、この箇所に心を打たれた。

だが、彼女は書いた。その後に続く、<探求編><完結編>の二作を。
「きれいな球体のように閉じた物語だというイメージがあり、そのあとになにかをくっつけた感じにはしたくなかった」という思いを曲げて。

正直に言おう。彼女のその思いは正しい。

続編として書かれた二冊が蛇足だったというつもりは毛頭ない。
多くのファンと同様、私もこの物語に魅せられ、
続きをせがんだ側の人間なのだ・・・。

そして、母としてのエリンや、息子である生意気なチビすけジェシの、
成長と苦難の道を共に、無我夢中で歩んだのだ。

でも。<王獣編>のあとがきの時には理解できなかった著者の、
「完結した物語」という意味が、本作を読んで身に沁みた。

それが、何故か、を言葉にすることは難しく、
誤った印象を与えてしまうかもしれない。でも、書こう。

私の勝手な感慨に、お気を悪くされるファンもあるかもしれないことを、
あらかじめ、お断りさせていただきます。


  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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