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美しくなるにつれて若くなる  白洲正子

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ランティエ叢書
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頭は使わなければわびつきます。人間も磨かなければ曇ります。

趣味がないのはよろしい。ただし趣味があってわるいのは、悪趣味というものです。

私は、すべての若い方達に目にみえるものでも、あるいは目にみえないものでも、たった一つでよろしい、どんなに小さくとも自分の一生をかけて守り通す大切なものをおもちになることを切におすすめします。考えただけではいけません。そのためになら何ものをも捨てるほどの覚悟とそれから勇気をもって、ただそれのみをみて突進なさい。

自分で探すということ、それは既に創造の一つです。創造にはいつも、産みの苦しみがつきまといます。その苦しみをぬきにして目的をつくり出そうというのは、あんまり虫のよすぎる話ではないでしょうか。見つからぬのは、苦しみ方が足りないのです。それほど必要を感じていないからです。しかし、もし探したなら、目的は何処にでもころがっています。仕事もそこら中にある筈です。忙しい、ひまがない、という人は、一生忙しいままで終わるでしょう。外からゆくり観察しようとするから、いつまで経っても、時がないのです。目的は、その日常の忙しい生活の中に見つけられる筈です。

創造というのは、そのように、新しくつくるというよりも、既にあるものをそのままで大きく完成させてゆくことです。新しいものは、びっくり箱のように、いきなり世の中にとび出してくるのではありません。

いったい何が素人で、何が玄人でありましょう。そんなものは世の中に存在しないのです。素人芸というものほどいやみなものはありません。それはひがみであり、虚栄であり、責任のがれです。

何かを書くということは、ある程度、独断でやらぬかぎり出来るものではありません。いや、ついには徹頭徹尾独断でないかぎり、人は何一つやってのけることは出来ないのです。

本文から、幾つか引用してみましたが。まぁ手厳しい言葉がバンバン降って来ます。私は読んでいて辛くなりました。著者が、それだけの勇気や気概や覚悟を持っていたのはわかるのです。だから彼女がこれだけのことを言い切れることも納得はするのです。

でもね・・・でもね。

わかっていても凡人として、素人として生きていくしかない人の方が大半なのだ、と抗弁したくなります。いや、違うな。「わかっていても出来ない」という言い訳に逃げ続けて生きることを自ら嫌悪しているから、白州女史の言葉が突き刺さるのです。

(2016.4.6)

ほんもの   白洲正子

4103107219
新潮社
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「銀座に生き銀座に死す」という一編が特に心に残る。
「むうちゃんが死んだ。」から始まる思い出話。

タンス一つ、机一つ、茶碗二つ、というような簡素な暮らしぶりで、昼間は大方寝ていた。たのしそうに遊んでいても、いつも彼女には一抹の淋しさがただよい(中略)、だがその淋しさは陰気くさくはなく、カラッとした白磁の静けさであった。

白州正子の記す、むうちゃんの姿。
こんな人っているのかしらと思うような、
怖いような、哀しい魅力。静かな磁力。

他には、骨董に関する話が面白い。
長いですが、ハッとした箇所を引用します。

 ふつう世間の人々は、贋物・真物を見分ける人を「目利き」という。それに違いはないのだが、私にいわせればそれは鑑定家で、経験さえ積めば、真贋の判定はさして難しいことではない。駆け出しの学者でも、骨董屋の小僧さんでも、そのぐらいの眼は持合わせている。むつかしいのは、真物の中の真物を見出すことで、それを「目利き」と呼ぶと私は思っている。
「名人は危うきに遊ぶ」といわれるとおり真物の中の真物は、時に贋物と見紛うほど危うい魅力がある。正札つきの真物より、贋物かも知れない美の方が、どれ程人をひきつけることか。


もう一つ、書き抜いた言葉があります。
これ、むうちゃんのことを書いていたのだっけ?
わからなくなってしまいましたが…

世の中にもし幸福というものがあるとすれば、それは他人に喜びを与える以上の幸福はない。そして、そのために、人はどれだけのことを忍ばねばならぬものだろうか。

本書は副題に「白洲次郎のことなど」とあり。
白州次郎の思い出も語られていた筈なのですが。

私・・・白州次郎に全く興味が湧かなくて。
彼に関することは記憶に残っていません(笑)

(2014.4.12)
著者が引用していた句が気に入って。
その句がおさめられた句集を読みたいと思いましたが。
どうやら、絶版のようですね。

「身の痛みひと息づつの夜長かな」
(成田三樹夫『鯨の目』より)


  

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Author:彩月氷香

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