Loading…
 

銀座幽霊  大阪圭吉

4488437028
創元推理文庫
Amazon

大阪圭吉「銀座幽霊」読了。戦前の探偵作家ということで。なんていうか独特の古さを感じる。作品もまだ伸び代があるという感じで。何しろ超短篇ばかりだし。でも好き。端正なおどろおどろしさとでもいうのか。作品の表情の薄暗さの加減が何となくしっくりくる。どきっとする怖さが時々ある。

読後に、こんな風に呟いていました。
私は好きですけれども。
物足りなさを感じる人もあると思います。

作品の出来から言えば。
「とむらい機関車」の方をおススメします。

ミステリとしても、短篇小説としても。
完成されてはいないのかもしれないのだけれど。
何か魅力を感じるのですよね。何でしょうね。

人間の描き方がちょっと怖いなと感じるのです。
哀しい不気味さというのか・・・
同情はできない、共感しない哀れさというのか。

だけど。余韻が残る。何か響く。

(2014.12.28)

とむらい機関車   大阪圭吉

448843701X
創元推理文庫
Amazon


読むまで知らなかったのだけれど古い作品。
そう。著者はなんと、戦前の探偵作家なのでした。

古さゆえというばかりでもなさそうな、独特な雰囲気。
私・・・好きです。なんか馴染みます。

表題作は、なんとも・・・
これはこれは・・・としんみりしました。

小説以外に随筆も収められていて。
こちらも、かなり良いです。妙に共感します。

随筆で良かったのは「停車場狂い」。
著者は旅には出ずに、駅をぶらぶらして旅気分を味わう、
という趣味?道楽?をお持ちだったりするのですが。

その趣味に合う駅について述べていて。
東京駅では駄目だとおっしゃる。その理屈は以下の通り。

人も建物も、「旅」を覚えさせない。あそこにいる人々は、誰も彼もハリ切って忙しそうに見える。その人々の顔には、旅そのものよりも、目的地ばかりが生き生きと輝いている。全くやり切れない。

そして、上野はいい、と続くのですが。
現代の上野駅を観たら、彼はそうは言わぬかもしれないな・・・

「二度と読まない小説」という短いエッセイも素敵。
私が思わず膝を打って、感心したところを引用します。

「宝島」が私に与えて呉れる溌剌たる思い出は、同じ作家の探偵小説なぞ、かなりの距離に押しのけてしまいます。それどころか涙というものの不思議なカラさを味わいながら感激にひたったいろいろな小説、それ等は誰でも一度は読んでいるような極印づきの傑作であり、自分でもずっとあとになってから感銘を以って読んだものでありながら、それにもかかわらずそれ等の名作にも劣らぬ鮮やかな印象を、遠い昔の「宝島」が与えて呉れようとは、われながら不思議に思うくらいであります。恐らくこの理由はただひとつ、それはその小説が必ずしも「宝島」であったからではなくて、その小説を子供の時に読んだからではないかと思います。或る意味では、子供の清新な感受性くらい、優れた名翻訳家はいないと思います。その意味で、この小説は、二度と読まないでおくつもりでおります。

「子供の清新な感受性くらい、優れた名翻訳家はいない」
これは名言です。すごく、すごく、すごく、よく分かります。

私は読まないでいる、と言い切れずに。
恐る恐る読んでみようとしてしまう性分ですけれど。

(2014.7.24)
  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

<別館のご案内>
Instagram
99%、花の写真です。

moleskine絵日記
ちいさな絵日記。

表示中の記事

  • 大阪圭吉

カテゴリ

最新コメント

データ取得中...

月別アーカイブ

***