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黒ヶ丘の上で  ブルース・チャトウィン

Posted by 彩月氷香 on 24.2016 ブルース・チャトウィン   0 comments   0 trackback
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みすず書房
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 ラドノーシャーのほとんどの農夫は聖書の物語や詩句に親しんでいる。新訳聖書よりも旧約聖書のほうを好むひとが多いのは、旧約のほうが羊の飼育にまつわる物語が多く入っているからだろう。

 彼女はたいそう大柄で憂い顔をしていて、ひどく神経質だった。一日の大半を台所で過ごし、イタリアで習い覚えた料理をこしらえた。着ているのはいつもヘリオトロープ色の服で、ドレスとショールの中間みたいな形だった。琥珀玉のネックレスもつけていた。彼女はよく泣いた。

 メアリーは今、『キャスタブリッジの町長』を読んでいたが、前の週に読んだ『森に住むひとたち』ほど熱中できなかった。ハーディ特有の「不思議な巡り合わせ」が鼻につきはじめていた。

 彼女は趣味のよさと、お金を掛けないで「工夫する」能力に恵まれていた。一面の白壁に薄い青を塗り重ね、別の面には黄土を薄く塗り重ねた。ダイニングテーブルには壁紙貼り職人が使っていた架台を用いた。詰め綿を塗ってカーテンにし、ソファーは馬用毛布で覆い、クッションは馬具用の格子柄の生地でこしらえた。「楽しさを押しつけるような」ものは決して使わない主義だった。

以上、私が読みながら付箋を挟んだ箇所。
以下、読後にツイッターに呟いた感想。


ブルース・チャトウィン『黒ヶ丘の上で』読了。彼の紀行文しか読んでいなかった私は驚いた。ちょっとトマス・ハーディを思わせるような。土地に根付いた人々の物語。ままならないことの多過ぎる人生を生き抜いて行く中で。人は哀しく、自然は美しく、生も死も呆気なく、しかし心にずっと留まる。

「わたしはいつも紀行作家と呼ばれることにいらだちを感じてきました。そのせいで、決して旅などしたことのないひとたちについて書こうと決めたのです」とチャトウィンは『黒ヶ丘の上で』を執筆した動機について語っていたという。なんだか微笑ましい。


(2015.8.13)
また読み返したいなぁと思う本です。
チャトウィンもこういう本を書いたんだなぁ、書けちゃうんだなぁ。
なんだかね。妙に嬉しくなりました。

どうして僕はこんなところに  ブルース・チャトウィン

Posted by 彩月氷香 on 17.2011 ブルース・チャトウィン   2 comments   0 trackback
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角川書店
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不思議な美しさ。
冷たいほど、素気ない文章で・・・
しかし、何とも・・・美しい。

飾り気のない、切り詰めた語り口が生む、
硬質かつ繊細なイメージ。

この人の、興味を呼んだものに、
私も触れてみたいと、強く思わせる。

この本は、手元に置きたいな。

(2006.7.3)
「書くこと」と「旅すること」に生きた人。
私は、このように生きたいのかもしれない。

この後、憑かれたように彼の著作を読み漁ったっけ。
まるで、遠い昔のように思えるけれど・・・。
(この本も、買わないうちに絶版になってしまった)

彼の目にしていた対象ではなく、
彼の眼差しに、強く惹かれていたと思う。
魂の憧れを掻き立てるものがそこにあった。

今もそうであるかどうか・・・自信はない。


  

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