Loading…
 

万年筆インク紙  片岡義男

4794969392

晶文社
Amazon

万年筆を買い、インクを買い、紙を買う。

ただ、買うのではありません。買いまくるのです。
買いっぷりがまぁ・・・凄まじい。

その昔。モンブランの22を金ペン堂で買った。
インクはパーカーのウォッシャブルブルー。
以来、同じ万年筆とインクを使い続けた。

それは。良いと思います。
私も気に入ったものをしつこく使うタイプ。
が!たくさん「書く」ということを考慮しても。
なぜ「30本は買った」となるのか?

万年筆って消耗品でしたっけ?
その名の通り、長く使えるものではないの?

とにかく。彼はモンブランをどんどん消費し。
ある日、その型はもう無いと言われて。
代わりに勧められたペリカンを今度は気に入り。
即座に5本購入する・・・五本???

その後、なんとあっさりワープロへと転換。
30年以上万年筆を使わないで過ごすのです。
うーん。これもわかるようなわからぬような・・・

そして。再び万年筆を買う日がやってくる。
ここでまた、あれもこれもと買いまくる。

物欲っていうのとも、違うような。
いや、その中の一つのカテゴリだとは思うんですが。
この感覚は私にはないなぁと感じます。

もちろん、皆無ではありません。
万年筆を順々に買って試し出したところは、わかる。
財力不足でマネできませんが、私もやりそうな行動です。

何故、そんなに買わねばならぬのか。
ひとことで言えば「より良い一本」を求めるからでしょう。

これが、より高価であるとか、美しいであるとかなら。
こういう買い方にはならないはずで。
より「書きやすい」を求めるから、こうなる・・・

道具にこだわるということは物欲の中でも底なし沼。
「使いやすさ」というのは人それぞれで。
しかも人(=当人)もいつの間にか変わるのです。

万年筆は、書き味の個性が幅広い。
書ける線の太さから、ペン先のしなり具合から、
軸の握りやすさやら、重心のバランスやら、
インクのフロー(出方)やら・・・

さらに。片岡氏も書いていますが。
万年筆を選ぶことは紙とインクを選ぶ事でもあります。
インクや紙が変わると書き味が全く変わってしまうので・・・

この三つの組み合わせのベストな物を探す。
気が遠くなります。頭痛がします。吐き気がします。
いえ、凝り性の人間はあれこれ試すのが楽しいわけですが。
その結果、使わないペンや紙がゴロゴロ・・・うぅ・・・

実は私も、運命の一本を見つける長い旅の入り口にいます。

でも、この本を読むと、もうそんなの探すんやめときーな。
今あるものを、その悪いクセも許容して、大切に使いーな。
欲張ったらあかんわ。完璧なんてないねん。

と・・・そんな・・・気持ちになります。

一方で。どこかにあるかもしれない、
「まるで私のために生まれて来たような一本」を夢見てしまう・・・


(2017.3.5)
正直に言いますと。私の好きな書き味は。
ユニボールシグノ極細0.38mmなのです。
ええ。万年筆でもボールペンでもなく、ゲルペンです。
ノック式はダメ。キャップ式に限ります。
これは、もうずーっと、ずーっと昔からそうなのです。
で。もうこれでいいやん!と、たまに思うのですが。
チープな見た目がどうしても許せないという困った性格で・・・

海を呼びもどす  片岡義男

4334716407
光文社
Amazon

スタイリッシュな卑怯者。

主人公がモテモテで。
えらい彼に都合のいい話だなぁと思って・・・
ふと浮かんだのが、冒頭の言葉。

そして。なぜか思い出したのが。
若い頃、大好きだった村上春樹の「ノルウェイの森」。
それから、「ノルウェイの森」を愛読していた青年。

彼が自分のことを「卑怯者」と言い切った瞬間のことも、
ほんとうにほんとうに、久しぶりに記憶に甦りました。

ちなみに。私は「卑怯者」が嫌いではありません。
私が嫌っているのは「偽善者」です。

偽善者は自分に酔いしれていますから。
自分の真の姿を直視できませんから。

卑怯者は、自分自身をわかっている人です。
自分が卑怯だと知らない卑怯者はいないと思います。
だから私は偽善者は絶対に愛せないけれど。
卑怯者を愛することはできます。

実際、ね。
卑怯者は愛されているでしょう。多くの場合。

あれ。この文脈からすると。
本書の主人公が卑怯者で。著者も卑怯者で。
とばっちりのように村上春樹も卑怯者だと・・・

えええーっと。そう言ってるように聞えますか?

うん。まぁ。そうだと言いたいわけではないのですが。
そう取られてもやむなしというか。

で。そもそも。「卑怯」ってどういう意味なのよ?

勇気がなく、物事に正面から取り組もうとしないこと。
正々堂々としていないこと。また、そのさま。

あれれ。そういう意味でしたか・・・
なんか違うな、私が思ってるのと。

「卑怯者」はどうだろう?

勇気のない者。心の卑しい卑劣な者。

そうか。勇気がないってところは外せないのね。
正面から立ち向かわないというのは、そうかな。

あ。ちょっと待って。
私のイメージしている「卑怯者」は。
ハイレベルな「卑怯者」なんだわ。

そう、だから「スタイリッシュな」もしくは「小洒落た」
もしくは「堂々とした」が形容詞としてつくわけです。

うーん。でも「偽善者は卑怯だ」とも言いますしね。
だんだん、言葉遊びに過ぎないような気がしてきました。

そして自分が「卑怯」と自覚していない「卑怯者」も。
やっぱり、それは・・・存在するんでしょうねぇ。

私は卑怯であることを自覚していなければ「偽善」になる、と。
そういう風に捉えているのかもしrません。

卑怯な人間も。偽善者も。うわべは優しいですからね。

なぜか私は偽善者の優しさは許せないし、優しさとは思わず、
卑怯者の優しさは、優しさと認めることが出来ます。

でも。どうだろう。
卑怯と卑劣との境界もあっさり引けないものですが。
私は卑劣な人間は激しく憎んでいる・・・

もっと言うと。
「卑怯」も「偽善」も。
自分自身が持っている要素だと自覚しています。

そして。卑怯者であるのは仕方なくても。
偽善者にはなるまいと思っています。

あ。わかった。

卑怯者というのは「正面から立ち向かっていない」人のこと。
偽善者はそんな自分を美しくラッピングすること。

なので、私の言う「スタイリッシュな卑怯者」は「偽善」に近づく。
卑怯なのに「おしゃれ」なわけですから。

でもね。スタイリッシュな卑怯者は「おめかししている」意識がある。
偽善者は「装っている」という意識はない。

そう。ここ。ここの違い。

偽善者が薄々自分の「偽善」に気がついているということもあり得るし。
そうなるとまた、この線引きの意味が薄れてくるのですけれども・・・

あ。よし、わかった。

偽善は美しくはあり得ない。
そして卑怯ももちろん、美しくはない。

ただ、偽善に洒落た服は着せられないけれど。
卑怯に格好いい服は着せることができる。

本質から偽っているのが「偽善」
そもそも、「偽」ですからね。
中身が美しいという、盛大な大嘘。
装う必要なんてありませんよ、と見栄を切っている。

卑怯は本質は「醜」のままですから。
それが美しく見えるとしたら衣が美しいのだ。

偽善も「衣」だけの美しさなのかもしれませんが。

私は「偽善」にだけは騙されない自信があるのです。
だけど「卑怯」になら騙されてやってもいいかと思う。

ははは。何がいいたいんでしょうねぇ。
こんな文章からでも、本書のイメージは伝わるでしょうか。

たまには、こんな訳のわからない感想もいいかな。
・・・と。開き直るのは「卑怯」でしょうか(笑)

(2016.12.22)
片岡義男の小説は若い頃すこし読みました。
とても空疎な印象で、ただ独特の空気感が嫌いではなかった。
エッセイの方が好きだったかな。
懐かしくて検索してみたら、こんな記事を見つけました。
片岡義男さんインタビュー
この中で思わず膝を打ってしまった一節を引用します。
 女性は素敵でないといけない。男性は格好良くないといけない。そしたらもう、話はできたも同然だから。惨めな女や、箸にも棒にもかからない男も書いてみたいと思うんだけど、なかなかできない。そうはならないんです。
ああ。潔いですね! 全然卑怯じゃない!(笑)
ちなみに「卑怯」という言葉は失礼かと思いますが。
私は決して貶すつもりではありません。

なにを買ったの? 文房具。  片岡義男

4487803381
東京書籍
Amazon

文房具、大好き。
この本を読んでいたら、文房具屋へ走りたくなった。

著者の趣味でアメリカの文具が多め。
私は、ヨーロッパ趣味なので、そこは違う。

ノートブックが呼ぶから買う。
・・・と10年以上のストックを抱える著者は言い切る。
かつては私もノートを大量にストックしていたっけ。

著者が文具について書いた前作「文房具を買いに」は、
私をモールスキンノート(モレスキンと最近は呼ばれてる)に
出会わせてくれたのだけど・・・。

幸か不幸か、今の私は物欲から遠く、
この本の中の文具に惹かれることは無かった。
幾つか私の愛用品を見つけて、ほくそ笑みはしたものの。

ちなみにそれはツバメノートと、封筒を作るためのステンシル。
それから、ココイーナのスティックのり。

文房具を被写体とするために買う、という贅沢。
その成果としてのまるでオブジェを写したかのような写真。

これ、使いきれないよね、どうするの?と内心つぶやきながら、
羨ましさを捨て切れない。

個人が、どんな文具を必要とするかということは、
ライフスタイルや思想を表してもいる。

ノートは、特に。紙質、サイズ、罫の幅、罫線の太さや色、
表紙の色や材質やデザイン、綴じ方、ページ数・・・と、
ありとあらゆる選択と考察の余地がある。

(私の理想のノートはまだ、見つかっていない)

数ある中で「これが私の定番」と呼べる文房具を
選べる明確な価値観を持っていたい、という強い思いは、
昔からずーっとある、と。本書を読んで再確認。

・・・たかが、文房具と侮るなかれ。

(2010.11.10)
余談になりますが。
モールスキンノートって何?と疑問な方、こちらをどうぞ
http://www.moleskine.co.jp/Moleskine-World

ゴッホ、ピカソ、チャトウィンが愛用したというので、
神格化されている(行き過ぎ)感もありますし、
何故こんなに高いの?(1890円)というのが一般的な意見かと。
しかし、私にとっては無くてはならないノート。
円高の時に、アマゾンでまとめ買いしています。

  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

<別館のご案内>
Instagram
99%、花の写真です。

moleskine絵日記
ちいさな絵日記。

表示中の記事

カテゴリ

最新コメント

データ取得中...

月別アーカイブ

***