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『秘密 下』ケイト・モートン

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東京創元社
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それが「秘密」だったのか!

あ。騙された・・・
まんまと、ひっかかってしまった。
最後の一行まで驚いた。

心地よく欺かれました。
ある意味、思ってたのと違ったおかげで。
気持ちが晴れ晴れとしました。

しかしなぁ。
気づいてたポイントもあったのに。

ずーっと読みながら感じていた違和感。
その理由が解けた瞬間、すっきりしました。

でも。今回が調子悪かっただけで。
閃く場合もあるような秘密の真実ではある。

騙された方が楽しいけどね。
騙されなくても楽しめたと思う。

前作の小さなガッカリ感を打ち消してくれました。
いや、前作も私はあの雰囲気、大好きだった。

女性が不利である時代を生き抜く話、でもある。
私は本書に出てくる二人の登場人物が好き。

誰かは言うとストーリーのヒントになるから言わない。
でも。その魅力ある人物たちの描き方に技があったな。

当人が主張するのではなく、浮かびあがってくるの。
そして。最後の場面がとっても良かった。

(2018.8.14)
後半ね。ジェフリー・ディーヴァーか!と突っ込みたいような。
ジェットコースター・ミステリ的展開になって。
ああ、私、なんだかんだ言って、こういうの好きなんだなって。
翻訳も上手くて、安心して読めました。


『秘密 上』ケイト・モートン

4488010083
東京創元社
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手に取らずにはいられなかった。

読む本の98%くらいは図書館で調達するのですが。
ここ数年、図書館の本棚の前に立つことがありません。
読みたい本をネット予約し、カウンターで受けとるので。

本棚から本を探すのは大好きでした。
第六感だけを頼りに本を選んでいたものです、かつては。
ところが、選ぶ時間も無い・・・というのは言い訳で。

めぼしい本は予約した人のところを回っていて。
棚にはないという現状だったりするのですよね。
ま。売れ筋ならぬ貸し筋の本以外に良き本もあるわけですが。

私の行きつけの図書館は分室で、何しろ蔵書が少ない。
本館へ行けば、まだしも選べる本はあるのですが。
でも。先日、たまにはと本棚の間をうろついてみました。

しかし、翻訳本の棚の寂しいことよ・・・
そんな中、見つけた本書。
わ! ケイト・モートン! 

デビュー作の『リヴァトン館』がものっ凄く好きなんです。
第二作の『忘れられた花園』には少しばかり失望したのですが。
ええ。好きなのは変らないけど。面白かったけど。
あ・・・この路線か。そうか、っていう・・・

そうですね。
ぶっちゃけ二作目にして、マンネリ?
というよりもですね、後味が悪かったんですね。

いや。そこが持ち味なんだけど。
彼女らしさと言える妙技が、あざとくも感じられて。

で。本作のタイトル『秘密』ですよ。上下巻ですよ。
思いっきり嫌な予感しかしません。
のっけから「母の秘密」におののく娘の登場。
あ・・・クラクラするほど濃い既視感。

ではありますが。
読ませます。筆力あるんですよね。
それに古い時代のイギリスの話が私、無条件で好きですし。

過去と現代が交錯する作風も。
おい、またか!と言いたいところですし。
こらこら、孤児の登場率高過ぎやろ!と叫びたくなりますが。

クセのある、しかし魅力的なヒロインの描き方といい、
情景や背景と心地よく呼応する登場人物の心象風景といい、
読み出したら夢中になってしまいます。

メロドラマなサスペンスなミステリな英国趣味な・・・
また女子が好きな小物づかいが上手いのよね。

後半にかけて、どんどん盛り上がって来ます。
でも。あ。わかったわ!と思いました。
秘密がナニかということ。

ええ。とんでもない思い違いでしたよ。
著者を見くびっていたと謝ります。

ってのは下巻を読んでから思ったことですが・・・

(2018.8.14)
「悔いても悔やみ切れぬ過去を持つ女」というのが。
著者の基本のテーマなんですかね。
そこにドキドキハラハラゾワゾワするわけですが。
正直なところゴシップ的といいますか。
話にドラマがあり過ぎて安っぽい印象に陥りかけていて。
著者の文学や歴史の素養に救われているけれど。
結構、危ういところだなと感じるのです。

『忘れられた花園 下』ケイト・モートン

4488013325
東京創元社
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妄執の果てに。

運命の残酷さが際立つけれど。
それを呼び寄せたのは当人たちの想いと行い。

なぜ、そんなにも強く願ったのだろう。

わかるけれど。わかりたくもないような。
わかるから、無縁の世界にしておきたいような。

暗闇の中の仄かな光の魅力、魔力。
暗がりに咲く花の美しさ、怪しさ。

現代になったからと吹き払われるものでもないけれど。
良くも悪くも、薄れてしまったものたち。

知らなくてもよかったかもしれないけれど。
知ったことで芽生えたものもある。

結局、どちらかを選べるほど、人は強くない。
嫌が応にも流されて行く。

いいえ。それは違う。

「失ったもので人生を測っては駄目」
作中にて脇役の女性がヒロインに投げかけた言葉のとおり。

失っていないものも、たくさん。あるはずだ。
自分の持っているものの価値に気付けば、道を開くことはできる。
まだ。今からでも。

(2017.12.24)
主人公のひとりの出自の謎が物語を牽引しますが。
私は、割と早い段階で答えを察しました。
二代に渡って不幸な女性が描かれますが。
三代目の女性はその不幸の輪から抜け出します。
それでやっと、妄執と狂気の世界から救われるわけです。
しかし、闇があるからこそ生まれる陰影が本書の魅力。
宝探しと肝試しの入り交じったような探検気分を堪能しました。

『忘れられた花園 上』ケイト・モートン

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東京創元社
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知らぬが花ということも・・・

でも。知りたがってしまうんです、人って。
わかってはいるのだけれど。

読みながら。
ねぇ、いつまでこだわるの?
「それ」以外のことに目を向けられないの?
忘れるわけにはいかないの?

・・・と。思わず登場人物たちに問いかけました。

ええ。できないのだ。残念ながら。

そして。悲劇が次々に呼び起こされる。
避けられた気がするのに。
もっと誰もが幸せになれる道があったに違いないのに。

(2017.12.28)
リヴァトン館を以前読んで。気に入った作家。
なんとまぁ。もう3年以上前なんですね、読んだの。
本書も、薄暗くも華やかなヴィクトリア調の世界が堪能できます。
壮麗なお屋敷に秘密のお庭。不幸の気配の濃密さ。
お伽噺を鏤めつつ、三世代の女性の物語が同時進行。
さて。結末は・・・

『リヴァトン館』ケイト・モートン

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武田ランダムハウスジャパン
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古きよき英国の静かな崩壊の歴史と悲劇的な愛憎ドラマ。
語り手はとあるお屋敷のメイド。回想録として描かれている。

思い出すことすら頑に拒む彼女が抱え込んだ秘密。
そのうちの一つは読者にもわかるように語られる。
悲劇の発端となる出来事も隠さずに明示されている。

それでも・・・衝撃を受ける。真実が明かされた瞬間。
深い余韻。魅了される。物語の力を満喫して脱力する。

私がこの時代の英国に痛く惹かれるのは。
失われて行く美が濃厚に漂っているからなのだろうか。

滅びる運命を半ば自覚している制度の中で生きた人の思い出が、
なぜ、こんなにも輝いているのだろう。

自由を求めて、開かれた社会を求めて。
時代が進歩しているはずなのに、深い喪失感がつきまとう。

気品とか、品位、優美は。どんなに綺麗ごとを言っても。
結局のところ、圧倒的な格差の存在する社会に育まれるのだ。

私は自分がその養分としかなり得ない側に生まれるとしても。
そんな時代を生きてみたかったと夢想する。
どのみち、平等なんて信じたこともなければ、求めたこともない。

現代でも「格差」はある、もちろん。
けれど、それを克服し得るという幻想(ごくごく稀に真実)がむしろ、
人々の足場を脆くしているようにも感じる。

「変わることができる」「変えることができる」という可能性が。
「変わらねばならない」「変えなければならない」という強迫観念となり。

いつも、いつも、「ここ」じゃないどこかを求め続けて・・・
目標や夢をもって前進しろと、誰かに命令されているようで。
留まることは、愚かで怠惰だと責められているように感じて。

地下室でジャガ芋を剥く毎日に誇りを感じる方が。
針仕事で傷んだ指を見つめながら、振り返る過去と共に朽ちて行く方が。
もしかしたら私は、幸せだったような気がしてしまう。

それは、心の弱さであって。生きる力の脆弱さであって。
でも、そういう人間の生きる場所は。現代の方が狭いように思う。

私はただ、今、「ここ」にいたいのだ。変わらぬままに。

(2013.2.20)
新しいものにウキウキする性分だったりもしますし。
より良き明日を求めてジタバタする毎日だったりもしますが。
進歩というものに取り憑かれている人間(自分も含めて)に。
時々、途方もなく疲れ果てるのです。

本書の著者は英国人でなく、オーストラリアの方。
この頃の英国へ憧れを抱いている人は世界中に存在するのでしょうね。

カズオ・イシグロ「日の名残り」が絶品・執事小説だとすれば。
本書は絶品・侍女小説・・・ドラマ性がいっそう強いですが。
ノスタルジーではなく、物語は現代まで続いています。
  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

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