愛らしくも軽やかに、でも実はどっしりとした名言集。幾つになっても可愛い人、のイメージのセツコさん。
でも。お母様と妹さんの介護に長く苦労されたのですね。
その時間をこんな風にふりかえっておられます。
不器用ながら精いっぱい、やれることはやって、ふたりの最期を看取れたことは、本当にしあわせなことだったと思います。それだけではありません。気づくと、心もからだもとても丈夫になっていました。
何より、響いたのは、ここ。
「自分は寝たきりになって、娘に迷惑をかけているんだ。娘を苦しめているんだ。早く死んでしまいたい」
そんなことを思わせてはいけないと思うんです。自分を産み、育ててくれた母親なんですもの。
だからセツコさんは、下の世話をされるのを恥じるお母様に「何でも侍女にやらせて、よきにはからえ、ってふるまう、ベルサイユのお姫様みたいじゃない」「ホラホラ、ベルサイユのお姫様」と。それでも「わたしはそんなの慣れていない」というお母様に、にっこり笑って「なるようになるわ〜」とケセラセラを歌ってみせたり。
私。絶対に。このことを覚えていよう。私の母はまさしく、
「娘に迷惑をかけるくらいなら早く死んでしまいたい」と思う人だから。
以下、簡略化していますが、セツコさんの名言を幾つか。
(実際はもっと可愛い言葉で書かれています)
日常生活のなかで身のまわりのものをかわいがる、好きな食器や部屋にあるものをきれいに磨く、洗濯物をゆっくりていねいにたたむ、手にクリームを塗ってあたたかくなるまでやさしくなでる、鉢植えに水をやる、好きな音楽を聴く・・・それらはどんな薬よりもよく効く。すべて、そのように何かに集中していることを瞑想と言う。
心配事や不運に出会ったら、心のエクササイズのチャンス到来と考え、おどけた仕草で肩をすくめながら、その上に上機嫌のシャワーをふりまく。哀しいこと辛いことがあっても上機嫌にふるまうことで自分自身が鍛えられ、しなやかで元気な自分になれたら、それはとっておきの魔法。
流行は関係ない。着てて楽しい、動きやすい、の方が大事。ご機嫌うるわしく過ごすためには何を着ればいいかしら、がおしゃれの軸。
自分だけは自分を信じる。自分のことを一番信じてあげられるのは、やっぱり「自分」。
今持っているものに、心からの「ありがとう」を捧げる。
ひどいことがあったら、「いい勉強になります」「あなたのおかげでいろいろ学びました。ありがとう」と心の中でごあいさつ。
死ぬことは、人間が神様から与えられた贈り物ではないか、と思えるようになりました。誰にでも分けへだてなく「ごくろうさまでした。では、ゆっくりお休みなさい」と渡されるごほうび。だから安心して、その日まで目いっぱい、遠慮なく元気に生きなさい。そう言ってくれているのだ、という気になりました。
人生は、次々と起こる出来事をどう受け止めるかという選択の連続です。何を選ぶかは自分次第。
息を吸うときは、薔薇の花の香りをかぐように
「どんなおばあさんがお好きですか?」って訊かれたとき、この頃は、「カリッと仕上がったおばあさんです」って答えるの。余分なものが抜けて、焼き海苔みたいにパリパリとした香ばしいテイストのおばあさん。おばあさんだからって、しっとりしていなくてもいいと思うの。
「過去は変えられる」という言葉を聞いたことがあります。何を選んだかは変えられなくても、それをどう受け止めるかは変えることができるんです。選択したときからみるとずっと先の未来にいたわたしが、これでよかったんだ、と思えば、その選択からつながるさらなる未来には、プラスの道が続いていくはずです。
なにはともあれ、自分で考え、自分で選んでつくってきた人生ですもの。それに誠実に応えていくことが大事じゃないかしら、と思う今日この頃なのでございます。
(2016.12.25)
セツコさん、ありがとう! 心に良い香りを運んできてくれました。「★★★★★」 また読みたい本