FC2ブログ
Loading…
 

『キラリと、おしゃれ―キッチンガーデンのある暮らし』  津端英子 津端修一

4623049124
ミネルヴァ書房
Amazon

男の身勝手五十年の幕開け。

映画「人生フルーツ」で津幡夫妻に憧れた方は。
本書は読まない方がいいかもしれません。
正直、幻滅する人が多いと思います。

「男の身勝手五十年」と妻の英子さんは、
なんどもなんどもなんども繰り返します。

そう口にしてもバチは当たりません。
本当に、修一さんは自分のしたいように生き、
英子さんはそれを支える苦労の連続の結婚生活。

たぶん。私は耐えられない。

その耐えた日々が無駄ではなかったと。
辛かったはずに日々の中にも輝くものはあったと。
それはうっすら感じ取れるのですが。

それでも、渾身の「恨み節」がチラチラ覗きます。

修一さんも頑固ですが。英子さんもかなり頑固で。
意志の強さ、こだわりの強さは読んでいて少し息苦しい。

同じことを何度も。何度も。何度も。
ああ・・・しつこいなぁと読んでいて感じる。
しつこく書かずにいられなかったのは理解できるのですが。

良い本とは言えません。
冒頭の「本書へのメッセージ」も気持ち悪い賛辞の列挙。

生き方、暮らし方という点で。
学べるところは、拾えばたくさんあります。
それでも、全体に漂う「ちょっとイヤな空気」に負ける。

私の肉親愛が薄いだけかもしれないけれど。
英子さんの孫への執着も異常に感じられてしまう。

英子さんは与えられた人生を。
間違いなく「よりよく生きた」と言える人で。
今まで「素敵な人だな」と思ってきて。
その気持ちが変ったわけではないのですが。

得てして。
舞台裏は「見せ過ぎない方がいい」ものです。

映画で見ても感じ取れた苦労。
それを本人があからさまに口にしてしまうと。
やはり・・・なんだかね。なんだかね。

別に。聖女として崇めたいわけでもなし、
生身の人間らしさは歓迎なんですけれど。

うーん。
単純に。これは書物として成り立ってない。

ほんとのことだからいいでしょ。
本音だからいいでしょ。
正直だからいいでしょ。

それは・・・読者に失礼なのではないか。

自ら読み返してみて。
こんな具合の本はよろしくないと気付けないのは。
ちょっと・・・残念だな。だいぶ、残念だな。

節度っていものは必要だと思うのです。
(あ。あ。私にも欠けがちな点ですけれど・・・)

同じエピソードが同じ本に3、4回も登場、
同じ台詞のリピート率の異様な高さ・・・というのは。
プロの物書きでない事実を考慮しても、許容しがたい。

読む人の気持ち、考えてない。
(ま。ま、それも・・・私も自戒しまくらねばなりませんが)

晩年の夫妻の暮らしぶりは本当に素敵ですが。
そうしたくても出来ない人の気持ちに棘を刺す面がある。

「男の身勝手五十年」にせよ、苦労話の連続にせよ、
英子さんの嫁入り前の思い出話にせよ。
書き方が違ったら、すごく「よい気持ち」で読めた気がする。

内容よりも、表現方法の問題が大きいですね。
なんとも、残念なことです。

英子さんが文学少女なのがわかったのが微笑ましく。
どれほど我儘でも、しゅういちさんの人柄が憎めず。

なんか。私は前より、しゅういちさんが好きになり。
少しだけ、男であることが羨ましく感じました。

(2018.)
ききがきとして出版された夫妻の本の方が、
読み心地よく、楽しく、爽やかなのですが。
これを読んでしまうと、ちょっと疑いの目で見てしまう。
夫妻が築き上げた暮らしぶりは本物で。それだけでいいのかな。
それ以外のところまで見るのが、そもそも間違いかな。
映画の感動を消されたように感じてしまうのは、
それこそ「傍観者の我儘、五十倍」なんだと思います。
英子さんの「本物志向」ぶりが全体にちょっと重い。
本当は。その点こそ見習いたかったはずなのに。
それは「育ち」ゆえのもので真似ようがないと。
そう気付かされた無念が反感に化けたのかもしれません。

『ききがたり ときをためる暮らし』  つばた英子 つばたしゅういち 水野恵美子 落合由利子

4916110269
自然食通信社
Amazon

楽しくないと、長続きしない。

「人生フルーツ」という映画を観て。
つばた夫妻の暮らしぶりに憧れた人は多いでしょう。

畑で様々な野菜、果物を作り、
出来る限り生活に必要な物を手作りする。
雑木林に囲まれたお宅も、とても素敵。

スローライフ推奨っていうわけではないんですね。
最終的にそこに行き着いたというのが正しいかも。

だって。夫も妻も、かなり個性的ですよ。
その上、似たもの夫婦ってわけでもない。

晩年のお姿が、可愛らしく絵になる夫婦なので。
その点を過剰にクローズアップしてるところはある。

英子さんの立場になってみたら。
現代の女性だったら、とっくに離婚してるでしょ?
稼ぎを趣味のヨットにつぎ込み、
冠婚葬祭は一切、拒否。貯金ゼロ。常に借金生活。

それを「わがまま」「横暴」と捉えずに。
夫を支えることを当然と思えた英子さん。
ちゃんと(というのもおかしいけれど)幸せで。

理想のモデルでもないし。
憧れっていうのも違うな。
形を真似しても似ませんよね。

手作り生活の内容についても。
全面的に賛成っていうわけでもない。
英子さんは冷凍命ですが、私は冷凍が苦手なんです。

あ。でも、ひとつやってみたいアイデア、あった。
苺や無花果を、収穫したらグラニュー糖をまぶして冷凍。
食べたい時に凍ったまま土鍋に入れて煮るというジャム。

さっと作って。食べ切っちゃうんですね。
これは、いいなと思います。
保存を考えなければ、甘さ控えめに出来るし。

夫妻の暮らしぶりに批判的な意見も結構みかけて。
こんな暮らし、やりたくても出来ない、っていう。
うん。出来ないでしょ、ふつう。出来なくてもいいし。

自分のできる範囲で自分のしたい暮らしをする。
自分にとって何が大切か、だけ知っていたい。

英子さんも、修一さんも。
それぞれ、「思想」「信念」がありました。
最終的に。良いハーモニーとなっていったと感じます。

暮らしぶりというより。
心映えを見習いたい。

でも。気持ちだけでもダメで。
やはり、相当「頑固」じゃないと貫けないな。

心の背骨の支柱になるエッセンスに溢れた本です。

以下。ひでこさん、しゅういちさん、の言葉の引用。

『ふたりからひとり』  つばた英子 つばたしゅういち 水野恵美子

4916110463
自然食通信社
Amazon

なぜ、私がつばた夫妻に惹かれたか。

映画「人生フルーツ」を観て。
ああ、こんな風に暮らしたいと思った人は多いだろう。
その暮らしはひとことで言えば。
この本の副題にある「ときをためる暮らし」。

野菜も果物も庭で作り。土も作り。
梅干しでも、干し柿でもなんでも作る。
自給自足とまではいかないけれど。
現代においては最上級とも言える「手作りの暮らし」。

でも。それは決して「自然」なことではない。
時代の流れから言うと、わざわざ選んでやっていること。
強いこだわりか意志がなければ出来ないこと。

この暮らしぶりが誕生した経緯が知りたくて。
つばた夫妻の聞き語りの本を幾冊か読んできた。

もともと、超お嬢さまとエリートの夫婦なのだ。
背景だけを見れば、彼らは海外旅行へ行きまくり、
外車を乗り回し、ブランド品を買い漁っていてもオカシくない。

老後の生活で貯金がゼロは驚くが、それは貧しいからではない。
単純に「使い切ってしまった」だけのことなのだ。

だって、しゅういちさんの趣味はヨットだったんです。
彼は手紙を午前中と午後とにそれぞれ5、6通書く手紙魔なんです。
(切手代が月に1万円以上!)

英子さんの立場にあれば。もし普通の女性であれば。
「わがままな旦那に振り回されて苦労した」と愚痴るはず。

しかし。そうではない。英子さんは我慢はしていない。
英子さん自身の言葉で語られる思い出から教えられる。
ただ、努力はしている。とても。とても。
そして、その努力を楽しんで生きてきた。

どうしても英子さんの目線で見てしまうけれど。
この夫婦は「だんだんと良くなってきた」組み合わせで。
似てはいないんですね、全然。正反対でもないけれど。

しゅういちさんが英子さんに教えたこともたくさんあり。
英子さんがしゅういちさんのために日々重ねた努力もあり。
どちらも、「人生の滋養」というか。いや「根本」というか。

二人とも、時代に流されない人だった。
食べ物の好みも、生活習慣も趣味も何もかも違ったけれど。
日々の生活を大切にするという意識は共通していた。

この二人に育てられた娘さんたちは東京で普通に暮らしている。
「人間らしい暮らしができない」と言いながら。
憧れても。この二人のように暮らすことは難しい。
それはこの先、どんどん、そうなっていく。

でも。絶対にやれないということもない。
やれないというより、やらないだろうとわかってくる。
憧れと現実を埋めるだけの熱意は結局、私には無い。

せめて。ただ、羨ましがるだけで終わらずに。
自分の暮らしの中で「変えられること」を考えてみようとし。
その「考えるひま」すらそもそも欠如していることに気付く。

この忙しさはどこから来るのか。
その忙しさを本当に私は憎んでいるか。
ずっとやってきたことだから、この先も続けて行けるし。
すっかり馴染んだ暮らしなのだ。

できることからコツコツと、の感想で終えるのは簡単。
でも。そう言ってしまうとそれで安心して何も変わらない。

見習いたいけれど。見習えないか。
なんだかねぇ。憧れと励ましを感じつつ、虚無感に捉われる。

英子さんからのエール。たぶん、現代の私たちへの。

人はたくさんの個性を持っているから、自分のやりたいことに気づいてコツコツ続けていれば、きっといいことがあるわよ。
最初からりっぱなものをつくろうなんて考えないで。何でもいいから、自分の好きなことをやって、それを続けていると見えてくるものがあるから。それが大事なのね。ささやかなことでいいのよ。

ああ。この優しい励ましすらも刺さるほどに。
その「ささやかなこと」すら見失って生きている。

(2018.3.20)
修一さんがお亡くなりになられて。
それでも。英子さんは生活を崩さずに過ごしていらっしゃる。
多少のアレンジは加えつつ。穏やかに逞しい。
また、読み返したいな。しゅういちさんの言葉もいいの。
目線は英子さん寄りになりがちだけれど。
ふっと。修一さんの気骨ある変人(褒めてる)ぶりに癒される。
その修一さんはよくこう言っていたそうです。
「がまんしてやらないほうがいいよ」
「毎日楽しいことだけ考えてやったほうがいいよ」

『あしたも、こはるびより。』  つばた英子 つばたしゅういち

4391139936
主婦と生活社
Amazon

83歳と86歳の菜園生活

映画「人生フルーツ」を観て、つばた夫婦の暮らしに惹かれて。
映画だけでわからなかったところも補足してくれる本です。

ただ、この後、他にも夫妻の本を読んでみて思ったのは。
この本はやけに「可愛く」作られているな、ってこと。

エッセンスを集めました、という風です。
それはそれで、「ほっこり」出来るかも知れません。

写真が多いのが特徴的。

後に読んだ「ときをためる暮らし」の方が私は良かった。
まぁたぶん、そちらの方が遥かに文章が多いからでしょう。

マネできるか、参考になるか、ということよりも。
しゅういちさんとひでこさんの暮らしが教えてくれるのは、
「心の持ちよう」というか、
「何を大切にして生きるか」の考えというか。

それも、同じようであるべきというのでもなくて。
あくまでも、自分なりに誠実に、ということで。

なにしろ、時代も状況も育ちも違います。
そこをあまり掘り下げると批判や僻みが生まれる。

でもね。お二人が恵まれていたといっても。
同じ状況であっても、このように暮せないのが普通。
特に、ひでこさんのように夫を支えることは難しい。

夢のような暮らし、という奥にある、
お二人の精神の背骨のところに私は惹かれます。

そこが、この本だとしっかりとはわからないですが。
その分、可愛らしく、楽しく、仕上がっているかな。

(2018.1.12)
だんだん、この夫婦の本を読んでいるとわかりますが。
この溢れる「ほっこり感」は編集者の演出ゆえ。
英子さんサイドからみると、思いのほか「厳しい」暮らし、
だったことを私は感じてしまったりもします。
それを乗り越えたあとの老後なわけですが。
夫も妻も実はかなり強い個性の持主ですし。
敢えて見せていないところが気になってしまう私の性分。
そこを多少なりとも読み取る人は単純に憧れはしないだろうな。
だけど、だからこそ「心」と「暮らし」を通わせる道のヒントを
分けて頂けるのではないかなとも思います。

  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

<別館のご案内>
Instagram
99%、花の写真です。

moleskine絵日記
ちいさな絵日記。

カテゴリ

カテゴリー 月別アーカイブ

 

***