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『灯をともす言葉』  花森安治

4309021956
河出書房新社
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暮らしと結びついた美しさ。

花森さんは、暮らしと美は分ち難いものと考えていました。
本書には彼の哲学が溢れています。
共感のあまり、ワクワク・ゾクゾク・イライラします。

ありたくて、あれない姿。
氏の語った頃よりも悪化している現実。

単純に共感して終わりたくない。
私の生活のなかで、この「お叱り」はどう活かせるか。
今流行りのシンプルライフを実践すればいいわけでもない。

美しい暮らしってどういうものだろう。
物心ついた頃から考えている私にとって大切な課題の一つ。

さて。では。バンバン引用しちゃいましょう!

芸術を租末にして、
暮しを大切にしていいのかどうか知らない。
しかし、とにかく、
僕たちの暮しに、
色と色の美しい調和がなさすぎるのは事実だし、
それでは、というので、
何か美しい芸術品を、
ひとつ部屋におけばいいと、
いった考え方が多いのも事実である。

暮しと結びついた美しさが、
ほんとうの美しさだ。

色と限らず、
美しいことについての
感覚のまるでないひとたちが、
日本の政治や経済を
動かしているところに、
いまの世の中の不幸がある。

美しいということは、
こころにしても、体にしても、
幸せなことです。
幸せになりたいとねがうことを、
恥ずかしがらないように。

ケチは決して美徳ではない。
浪費は美徳ではないが、
消費は美徳なんだ。

まいにち じぶんの使う道具を
まるで 他人の目で みている
みがいてもやらない
ふきこんでもやらない
つくろってもやらない
こわれたら すぐ捨ててしまう
見あきたら 新しいのに買いかえる
掃除機を買ってから なんだか
掃除が おろそかになった
冷蔵庫を買ってから どうやら
食べものを よく捨てるようになった
物を大切にする ということは
やさしいこころがないと できないことだった

われわれは
伝統を守るために暮しているのではないし、
古い伝統を
捨てていったからといって、
それは、古い伝統を
踏みにじることでもなければ、
こわすことでもない。
古い伝統にとらわれないで、
もっと、くらしよい暮し方を考えるときに
生まれてくるもの、
それが、やがて新しい伝統の一頁を
作っていくのである。

どうせ二度と生まれてこない、
しかも短い、宝もののような一生ではないか、
命ある限り精いっぱい働き、
精いっぱい楽しむのがいいのである。
なにを自分の手で、
自分の一生を、
狭く、暗くしてしまうことがあろう。

世間のために気兼ねすることはない。
自分に気兼ねすることはない。
世間の人に気兼ねをして、
自分のしたいことをしないなんて、
最も恥ずべきことだと思うな、自分に対して。
罪悪を犯していることになる。

あなたの目尻のシワなんて、
気にしている奴は、一人もいませんよ。
気にするのなら、シワではなくて、
目じゃありませんか。
女のひとで、年をとってくると、
へんに、いやみな、意地のわるそうな
目つきになる人がある、
あれが、わびしいですね。
目が、きらきらと、きれいに澄んでいたら、
シワなど、どうだって、みんな、あなたが好きで、
きれいな人だとおもうのです。

私たちは今、
いつも〈なにか〉を買いたがっている。
買いたくてうずうずしている人間の前に、
まるでこれさえあれば
〈幸せ〉がやってくるような顔をして、
新しい商品がつぎつぎに現れたとき、
〈商品をみる目〉など、
一体なにの役に立つだろうか。

ぼくらに ものを捨てることを
教えたのは たれなのか
物を作りながら
その物を捨てさせることばかり考え
物を売りながら
それを捨てて
新しく 買わせることばかりを
考えているのは
たれなのか

こうやたらに
物を欲しがらされ、買わされ
後悔させられている、
これはたいへんな災難だが、
しかし台風か洪水みたいな
「天災」とは、
だいぶちがうのである。

まったく、
「あたる」広告がやけに目につく。
万年筆を買うと腕時計があたったり、
腕時計を買うと万年筆があたったり、
ベッドもあたれば真珠もあたる、
ラジオもあたれば金三千円ナリもあたる。
そういう広告の一つや二つに、
あたらぬ日はなさそうである。
「あたる」広告をみると、
気の毒になあ、とおもうのが、
ぼくのクセである。
とうとう、この商品も落ち目になったか、
左前になったか、とおもうのである。

政治家は選挙民に迎合する、
経営者は社員に迎合する、
親はこどもに迎合する、
教師は生徒に迎合する、
そこから生まれるものは、
その日暮しの無定見と、
やり場のない倦怠感と、焦燥感である。
それはがん細胞のように、
世の中のいたるところに、
すさまじい勢いで転移してゆく。
一度それに侵されてしまうと、
ぼくたちの感覚は、マヒしてしまう。
なにがよいことで、なにがよくないことか、
その判断の基準が、ぐじゃぐじゃに
くずれてしまうのである。


花森氏の優しさと怒り。
どちらにも彼の強い「美意識」が背景にある。
私も私なりにもっているつもりだけれど。
比べてしまうと、甘いな・・・

鋭くないんだよね。
良く切れるナイフじゃなくて。
ちょっと刃こぼれしちゃってる。

そこをやたら反省するでもなく。
切れない刃物を使うくらいなら。
手でちぎっちゃえ!とかもアリかもね。

ちぎり絵の良さ、っていうのもあるから。
ただ。切れ味が鋭くないのは良いにしても。
妥協が妥協を呼び続けて、
自分の心を誤摩化した結果であるなら、最悪。

うん。
励まされもするけれど。
けっこう耳が痛かった。

(2018.5.11)

『花森安治のデザイン』  暮しの手帖社

4766001737
暮しの手帖社
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来年は花森さんのカレンダー買おうかな

やっぱ、いい。
花森さんの絵。大好き。
シンプルな線画がものすごい好みですが。
こうして見ると、色もいいなぁ。

センスありすぎでしょう!
癒される・・・。

生活感がありつつ、澄んでいる。
非現実ではないけれど、心地よい夢の気配。
手が届きそうで届かなくて、でもそれが苦しくない。

心が辛くならない憧れ。
ふわっと。ほわっと。すーっと。
だけど。ちょっと厳しさも隠してる。

花森さんの絵は、きっと花森さん自身だ。
あたたかく、洗練されていて、嘘がない。
見る人を幸せにしてくれる。


(2018.3.8)
暮しの手帖社からカレンダーが毎年出てて。
来年は、それを買おうかな。
癒しとセンスという点で米津祐介さんのと悩むなぁ。

『美しいものを(花森安治のちいさな絵と言葉集)』  

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暮しの手帖社
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絵も言葉も沁みます。

イラストがなんとも言えず愛らしい。
ほぉーっと見惚れてしまいます。

身近なものを描いているのだけれど。
美しく、優しく、表情が柔らかい。
かつ、芯の通った凛とした気配がある。

ぜんぜん、古くない。

センスがあり過ぎる、と思う。ズルイ。
力みはないけれど、軽くはなくて。
本物のお洒落って、こういうものだよ、と思う。

花森さんの言葉というか。
信念の確固たる強さにも打たれます。
ぐにゃりと曲がった背中がぴしっと伸びるような。

甘くはないんだ。だけど厳しいばかりでもない。

こういう人がいてくれて良かったな、と。
暗い手元を照らしてくれるような言葉たち。

編集も洒落ていて。
うん。枕元に置いて、眺めていたいような本。
小さめサイズなのも内容に似合っています。

(2018.1.11)
イラストの図案集というか参考書にもなりそう。
でもなぁ。ただのマネっこになってしまうぞ・・・
この独特の風合いは花森氏独自のものだなぁ。
花森さんの絵の中でも、私は線画が特に好きです。
この本が気に入ったのはそのせいもあります。

  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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