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『楽な読書』  古屋美登里

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全然、「楽」じゃないよー

『雑な読書』の続篇なわけです。
私、前作が好きで好きで好きで。
大急ぎで、こちらも出版後すぐ読みました。

ただね。倉橋由美子愛が強過ぎる著者には。
正直なところ、ちっとも共感ができませんでした。
ええ。かなりの頁を倉橋由美子に割いているのですよ。

まぁ。あまりにも熱がこもってるので。
毛嫌いせずに、再チャレンジ・・・する?という気も・・・
気も・・・気も・・・起きない!

ごめんなさい!!! 倉橋由美子ファンの皆様!

勿論それ以外の本も55冊紹介されています。
で、そのうち13冊を私は読んでいました。
ヒット率が高過ぎるぞ。

これにはちゃんと訳はあって。
この書評は、もともと『BURRN!』という雑誌の連載で。
それが何故か、ヘヴィメタ雑誌なんですね。

編集長が一つだけ、著者に条件をつけていて。
「なるべく、今手に入る本を取上げて欲しい」と。

読者に本を読んで欲しいので。今すぐ買える本を、って。
なので。新しくて、そこそこ、ひっそり話題の本が多い。
その中の良書というか、力作というか、秀作ではありますが。

つまり。私も手を出しやすいジャンルだったんですね。
そんなに気負わなくても読めて。満足感もあるタイプの。
本を読み慣れていない人にでも勧めやすい、とも言えます。

エンターテイメント性がある文学というか。
文学の香りがあるエンターテイメントというか。

本を読みすぎるせいで、どんどん忘れる私も覚えている本だし。
本書のラインナップから選んで読むとハズレは少ないと思う。
好きか嫌いかは別としても、読み応えは味わえる。ソンしない。

正直なところ。前作ほど書評としては面白くはない。
雑誌のね、文字が大きくなってね、文字数が減ったんですって。
あ・・・それで。無駄話が減ってスマートになったのね。

自由奔放な感じの本の紹介ぶりが好きだった・・・

それでも。読みの鋭さというか。表現力のクセは光ります。
だからむしろ、書評的には質が上がったかもしれない。

私、最近、書評に個性はいらぬという論を読んで怒ったのですが。
そういう人にはこちらの方が良い書評なんだな、間違いなく。

本のことだけを語って欲しくはないなぁ、私は。
読み手のことも知りたいし。
っていうか、むしろ読んでいる人に興味がある。

本のことはね。あとで読んだときに自分で考えられるし。
あ。読みたい気分にさせなきゃいけない?
でもね。本の内容ばかり語られると興醒めるというか。
もう読まなくてもいい気分になってしまう。

読みたい気分だけを煽るような書評は嫌い。
それでも、それがきっかけで読むこともあるけれど。
あまり自分にとっていい読書だったことはない。

この人がこんな風に勧めるんだから。
・・・と。紹介した人を信用して読めば間違いなし!ではないです。
えええ〜っ!なにコレってことはむしろ、そこそこある。

でも、いいじゃないか。
自分では面白いと思えない本を。
面白くて面白くて気が狂いそうだと熱弁してる人に出会う。
そのほうがよっぼど面白いもの。

要領のいい書評なんて、ホント、つまらない。
読み手だけの妙なこだわりとか、ヒットポイントとか。
そーゆーところに触れるから読んで楽しいんだ。

うん。やはり。読み返すと。
古屋さんは本のことの前に自分を語る。
自分ていうかだな・・・とにかく本の内容以外のことを。

え。だから?というところから。本の中身の核心に繋げる。
正確にいえば、彼女にとって核心だと思えたところだね。

それが私には楽しい。
本の読み方って、そういうものだと思う。
その人の中で、その人の感覚や経験から掴むもの。

きっと。私が読んだら、それとはまた違う。
でも、わかるわかると思うかもしれないし。
実際、あ、そこ!と感じたりもするけれども。
それを言い表したい時に思い浮かべるものは異なる。

比喩で語るときに。
例えにつかうものが違うだけでも、
言いたいことは似てても同じではない。

ああ。私の好きな書評はね。
自分が読んだことがある本なのに、読んで面白い書評。

読ませようとするだけの書評だったら。
すでに読んでいる本の場合はすごくつまらない。

個人的感慨やら熱狂やらが滲んだり溢れたりしていると。
自分がすでに読んだことある本の書評でも面白い。

第三者的に。誰でも読みたくなるような。
誰にでも公平に内容が平たく伝わるような。
もしくは面白さばかり強調して伝えてくるような。

それよりは、拗れて小難しくて。
グダグダしてる学者さまの書評の方がまだいいぞ。
それが好きっていうわけではないのだけれど。
そのように語らずにはいられない気持ちは察せられるから。

言いたいことが上手く言えない感じですっきりしない文章も。
本の紹介としては、ある意味、とても誠実なものだと思う。

基本的に。私は本の話をしている人には好意を抱き。
その語り口や内容を技術的な面からジャッジしようとは思わない。
好き嫌いはもちろん、あるのだけれど。

嫌いと先程繰り返した個性のない書評も。
屁理屈みたいだけれど、そういう没個性性が個性だとも言える。
その人がその本のことを語りたい姿が、そのような型ならば。
そこから何かしら、感じ取ることも不可能ではない。

つまり。本のことを語る文章は総じて。
私には読み甲斐のある文章なわけなのです。

一方で我が身を振り返らされて。
アタタ・・・っていう、刺さる部分もありますが。

古屋さんが恵まれていたのは。
編集長が好きに書かせてくれたことなんだと思う。
字数が減ったとはいえ、基本、好きなように書いている。

「好きなように」と言われても。
だいたい、自分で自分を縛ってしまうのが人間で。
「自分ルール」をなぜだかヒトは作りたがる。

もちろん、著者にだってそれはあるのだ。
だけど。読み手に窮屈さを感じさせない。
その上で、取上げた本の肝のところは押さえてある。

いいなー。

読むのは「楽」ですけどね。
書くのは「楽」ではないでしょう。

(2018.2.28)
付録的な対談も、二つ。これも愉快。
どうも書評に限らず、私は翻訳家の書くものが好きみたい。
翻訳家になりたかった過去ゆえか。
というよりも、翻訳家は翻訳文学がそもそも好きな筈で。
翻訳文学が好きになる素地というものは何か共通項があるのだろう。
国文学好きの人より、通じやすいところはある気がする。
(いえ。国文学も好きですけれどね)


『雑な読書』  古屋美登里

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BURRN!叢書
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書き出しの上手さ、マネしたくなる。

いや。突拍子もないんですけどね。
だってね。羽生善治の本の紹介の出だしが、こう。

「近くの空き地に蛇が一匹棲みついていた」

かっこいいわ・・・
私、こういう書評、大好きです。
そもそも、本好きの書いた書評や読書日記が大好物なんだけど。

これは! これは! これは!

やられた!
くやしい!
楽しい!
面白い!
読みたい!
大好き!

久々に本を読みながら大興奮。
で。一周回ってやっぱりなんか敗北感。

お行儀のよい、ザ・書評って好きじゃなくて。
本とは関係ない雑談が繰り広げられるようなのが楽しい。
でも、ちゃんと最終的には話が繋がってくるというのが最上。

古川さんの書評はまさにそのタイプ。
しかも読者たる「自分」が主張しまくっている!

書評家の個性とかプライベートは邪魔という意見もあるけれど。
私は、どんな人が読んでいるかってとこが気になるの。

本の情報を知りたいわけではなくて。
本が好きな人が何を感じてるかに興味がある。

本書で紹介されてる本、かなり私は読んでいて。
だから余計に、唸りっぱなしだった。

たとえば、こんな一文。

もともと北村薫は、美しさや哀しさが消え去るのを惜しむようにして物語を書いてきた作家である。

そうなのよー。そうですよー。
あー。こういう風に表現したかったのよ。
北村薫の魅力って、ここなんだよね。

著者の読書の傾向があまりに私と近くて。
紹介される本がすべて面白そうで。
一気に読みたい本が増えました。

一年間大学へ行かず、ひたすら本を読んだという逸話も凄い。
そのとき自分にとって何より、読書が必要だと思ったそうで。
うん。若いうちに読めるだけ読んだ方がいいよね。

私ももっと読んでおけば良かったと後悔してる・・・

それにしても、ページを巡るごとにワクワクして。
ニタニタ、ホクホク、ぴょんぴょん、と心が弾む。
なんだこの底抜けのたのしさは。

(2018.2.16)
あ。古川さんの本業は翻訳家。
彼女が訳した本も、読んでみたいな。

  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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