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『書きあぐねている人のための小説入門 』保坂和志

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中央公論新社
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二度読んでも、書きあぐねたままでした。

ものっすごい、面白いです。
一行ごとに唸らされる。
そうか。そうか。そうだなーと。

猛烈に付箋を貼りつつ読み進みまして。
その数、100枚を超えたんじゃないかと。

ですけれどもね。
誠に誠に残念なことに。

私は「書きあぐねたまま」なんですね。

ま。そもそも。他人に火をつけてもらおうってのが。
ムシが良すぎるってことなんでしょう。

書きあぐねている人にもそうでない人にも。
小説や文章が好きな人には楽しい本だと思います。

あ。文章を書くことが好きな人全般にとって、かな。
そうそう、保坂さんのファンにとっても楽しいはず。

へー。こういうやり方で書けるんだ!って。

ある意味、惜しみなく企業秘密を晒しているとも言える。
でもなぁ。やっぱり私は保坂氏とは異なる人間なので。

参考になるかならないかで言うと。参考にならない。
でも。読んでいる間と読み終えた瞬間は。
自分にも書ける!と言う気持ちにはなります。

(2018.5.15)
以前読んだのは、5年前か、10年前か。
書き方指南というより、応援歌としての価値があるかも。
作者(小説に限らず)として生きたい人に対しての。
だから。また。数年後には読み返す気がします。

『試行錯誤に漂う』保坂和志

4622085410

みすず書房
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保坂さん、読者に喧嘩売ってます?

いや。まぁ。そう取る人もいるかも・・・な内容。
私自身は、かなり共感しました。
著者が考える「読む」「書く」の定義に勇気づけられます。

それにしても読みにくい読みやすさとでもいったリズムの彼の文章は、伝染性がありますね。ベケットを思い出させるというよりも、ああ、ベケットの作風ってこんな感じに活用できるんだなという発見に「やられた」感があるというか、妙に悔しさが生じます。

私・・・ベケットを泣きそうになりながら根性で読み切りましたから。しんどくて退屈でイライラして、でもやめられなくて、うわぁ何で私はこんなものを読まねばならぬのかと悩みながら読みましたから。だけど明らかにベケットの影響が見える保坂氏の文章は読んで楽しく、それはたぶん文体の魅力というよりは内容が私には近しく感じられるからではあるけれど、すっきり整理された言葉よりも書きながら考えて進んで行く手探りの質感が魅力でないわけでもなくて、つまるところ息継ぎの感覚が常に「遠い」から少し読み心地が息苦しいのも、ある種の思考を描くには効果的なのですよね。

手元に本がないんで、全然違うかもですけど。
ちょっとそれ風に書いてみました。
(ベケットファン、保坂ファン、ごめんなさい! 見逃して!)

さてさて。では私がブンブン首を縦振りしたところを幾つか。

文脈は乱れずに一貫させるためにあるのでなく、乱れようがどうしようが考えを前へ進ませるためにある。

誤読されるものは誤読される。意味じゃないところで激しい共振を起こさなければ文章なんて伝わらない。それを受け止める読者は少数だ。正しく書かれた文章はクリアで意味が間違われずに誰にでも伝わるというのは、社会の側が作り出した思い込みであり、誰にでも伝わる文章は誰の心も揺り動かさない。

私にとって小説は文学ではない。一番大ざっぱな言い方をするとそういうことだ。文学というのが、総体として意味を語る(創る)ものだとしたら、私が小説というときの小説は、行為とか手の動きとかにちかい。そのつど何かを考える、当然「そのつど」の意味はあるが、全体としてのまとまりのある意味を構成する必要はない。

困難を掻き分けて力を振り絞って書いた言葉は、困難を掻き分けて進んでいる人間に勇気を与えてくれる。

 書くとは自分の中に外からかすかに聞えてくる音ともいえない音、声ともいえない声、あるいは頭の中の遠くにある像ともいえない像、光の筋ともいえない光の筋を少しでも近づける、またはそれに近づくためだ、という書くがある。
 何のためにそんなものを読まなくてはならないのだ、と言う人がいる。しかし私はそういうものをこそ読みたい。

小説をたちまち解釈する人がいる。そういう人はけっこう多く、明晰だとか頭がいいとか思われているが、そんなことはない。小説が解釈されて、その解釈で足りるなら、小説はその言葉の連なりである必要はなく、解釈されたその言葉でいい。

読むとは読むのにかかった時間のあいだに、読者であった自分が進んだりどこかにズレたりすることで、その時間の響きが読んだ人に起こらなかったら読んだことにはならない。

最後に引用した文から判断するならば。
私はこの本を「読んだ」と胸を張って言えます。

しかし、その読書体験は現在進行形の要素が強過ぎて。
読んでいる最中は心と頭がフル回転して「生身」の自分に、
ビシバシと響いてくる熱気があったのですけれど。
読み終えたら、スコーンとその熱も思考も飛んで行き。

え。余韻がないんですけど。
急に、さっぱりと頭が空になったんですけど。
蓄積しないってことも読み味の流派の一つかもしれませんが。
いや。正直、なんか寂しいんですけど。

私って、素直過ぎる読者なんだわ・・・

しかし。読書に「ライブ感」があるのも良いですね。
ちなみに夢中になれる小説だからと言って「ライブ感」は無い。
主人公になり切る、というのは自分が「参加」してませんから。
ライブには「主人公」(歌手)がいますが、
観客も、その場(ライブ・コンサート)を創る要因なわけで。

「読む」という行為も「創作」なんです。
そう思えるような「読み物」に出会い続けていたい。

そんな格好いい台詞を吐いてみたくなる本でした。

(2017.3.7)
私が今、一番好きな文章は精神科医の中井久夫氏の書くものなのですが、奇しくも保坂氏も本書の中で何度か中井氏の著作に触れていました。中井氏の文章を「気高い」といい、中井氏の著作に「あまりにも激しく感動」と書いている。わかります、わかります。となると、保坂氏と私の好みが似ていると解釈して良いのだという推察が成り立ちまして。であれば、彼が褒めちぎっている作家たちの本は読むべきだということでしょうか。何やら歯ごたえのありそうな本が並んでいますが・・・。

「★★★★★」 また読みたい本

『途方に暮れて、人生論』保坂和志

4794214928
草思社
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今年読んだ本のベスト10に絶対入る本。
これはね、ほんと、素晴らしい。
・・・何が?って?

ちょっと横着して、この本の良さをわかりやすくまとめている、
コピーの文章を拝借。

人生のあいまいで複雑な豊かさについて粘り強く考え、丁寧に言葉をつみかさねていく。読めば読むほど世界の広がりが増していく、不思議な人生論。

名言だらけなのだ、この本。
しかも、こう、他人が見過ごしてしまうようなところに、
ズバっとではなく、のらーりくらーりと入ってくる。

切り口が鮮やかというのと違う、その独特なゆるい鋭さが、
妙に実感を伴って、強く訴えかけてくる。

多くの、時代に乗れない人々(私も当然その一員)の救いとなる、
そんな一冊だろう・・・何だか、ほっとする。

世の風潮に流される我が身を嘆きつつ、そんな自分を傍観している私も、
自分の価値観を取り戻して生きていけそうな、気力が湧いてくる。

何度も読み返したい本。

(2006.7.25)
ええ、4年前に読んで以来、一度も読み返してません・・・
まぁ、毎度毎度のことではありますが。
どんどん列を伸ばす「読み返したい本」のリスト。
すでに、一生のうちに全てを読み返すのは不可能な冊数に達しています。
ああ、何を読むべきか、読まざるべきか・・・。
それを悩むのも、ある意味、楽しみのひとつかもしれません。


『カンバセイション・ピース』保坂和志

4103982047
新潮社
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気になる箇所、文章のところに付箋を挟んだら、異様にたくさんだった。

著者が日常生活のなかで立ち止まる場所は、私にも覚えがあるところ。
そういう意味で親近感は湧くのだが、そこから展開していく思考法とか、
表現法が、私にはできないものだと感じる。

そこまで深めて考えたことがないからか、個性の違いか、
性別の違いか、年齢の違いか、その全てか。
・・・そして、その違いが、何を生むのか。

考えるタネに満ちている。

(2009.1.10)
  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

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