FC2ブログ
Loading…
 

『美男へのレッスン』橋本 治

4120023672
中央公論社
Amazon

悔しいほど面白く、やがて息切れ。

読み終えた本が。
付箋で膨れ上がっておりました。

端的に言いますと。
内容は「屁理屈が踊る」です。

こういうの大好き〜
マネしてみたいくらいだけど。
私の屁理屈くらいじゃ、こんなに長く踊れないかも。

思うに。ふつうの人も長時間は踊れる。
それは一晩中、盆踊りを踊る感じで。
多少の振り付けやノリや曲の変化はあっても。
基本、ずーっと、同じことをやっている。

ま。盆踊りも達人レベルになると。
延々と踊っても、観客を魅了できるわけですが。
(こういうタイプの踊り手さん(書き手)も多い)

橋本さんは違う。
盆踊りも踊るが、タンゴもサンバもフラダンスも、
社交ダンスも、バレエも、ヒップホップも踊る。

だから、見ていて飽きない。
だけど、衣装と顔は変ってないから、なんかオカシイ。
そして、一貫性はないようでちゃんとある。

しかし、どの踊りもその道のプロからは眉をひそめられそうで。
じゃあ下手かというと、上手い。

という、非常にわかりにく比喩は置いといて。
もう少しひらたく説明いたしますと。

「美男とは何か」を延々と語り続け。
「だから、結局、美男てなんなんだよー!」
……と、読者に絶叫させるであろう「美男論」です。

面白いんです。目から鱗が落ちるというより。
目から飛び出した鱗が乱舞して、眼の前が花吹雪、みたいな。

美の基準は変化する。時代とともに。
それはまぁ、ありきたりな話。
しかし、洞察の鋭さと見抜いたものの表現法は非凡。

説明が難しいな。
ものすごく真面目な文化論として読める部分も多々あり。
「は?は?はぁー?」と意味不明になる部分も少々あり。

ただ、とにかく。頭の中は読んでいて忙しい。
クルクル回る脳内の景色にワクワクする。

随所で。
「そうそうそうそうそうだよ!」と首を縦振りし。

時々。
「んんんんん……?」と首をガクッと傾げ。

度々。
「ちゃうちゃうちゃう!」とブンブン首を横振りし。

ええ。頭の中と同時に首も忙しい読書でした。

どんどん進んでっちゃうんだもんなぁ。
調子はふざけているけれど。
ギクッとするような鋭い指摘があって。

でも。チャラチャラ〜、ラッタッタ〜!と通過して行く。
スキップしてるみたいに。リズムがね。
時々、ワザとコケてイテテとやる過剰なサービスつき。

ご自身の前言を撤回してるのか、展開してるのか。
それとも転回しているのか。放り投げているのか。

続いているようで続いてないような。
いや。途中までは細部には異論もありつつ。
その繋がりの糸が見えていたのだけれど。

最終章あたりから、糸が切れて飛んでった感があり。

あ。見失った。
え。飛んでったと思ったら、ブーメラン式に帰って来た。
あ。足元に落ちて来た。

……みたいな。

(2018.8.23)
いやぁ。楽しかった。読んでいる間のライブ感が。
最後に「知性は、それ自体が美である」って言われると。
ちょっと、つまらなくて。それを見越したように添えられた、
「あるいは、なーんだというような話」で終わっちゃった印象。

「美しさ」をなぜ人は求め、何を「美しい」と感じるか。
「美の基準」はわかるようで、わからない。明確ではない。
その対象を「男」というものに限定したところで正解などない。
「これが美男です」と言って、万人が納得できるわけがない。

美男を語りながら。「自分の顔を持て」と連呼する著者。
きっと。マジメな人なんだろうね。たぶん。
本気でふざけるというのは偉大な才能のひとつで。
それが出来る人は恐ろしく真面目な人なんだ。

……とか、真面目にまとめちゃってゴメン。
(という気分になる本でした)

読みつつ貼った付箋、85枚!

『マチネの終わりに』平野啓一郎

4620108197
毎日新聞出版
Amazon

恋愛小説・・・のはずですけれど。

いえ。正真正銘、ベタな恋愛小説でしょう。
著者のイメージには「恋愛」はなく。
かえって面白いかなぁ・・・と読んでみたのです。

実は。デビュー作と、二番目の作品を読み。
駄目だこりゃ、と読まなくなった作家。

美しい日本語って言われてましたが。同意出来ず。
美しげな言葉で書いた内容のない小説と断定。

まぁとにかく。好奇心で読み始めた本作。
心理描写が丁寧。細やか。わかりやすい。心に響く。
加えて、読み心地がいい。

主人公の男と女。
私は女の方に感情移入できませんでした。
女性全般に嫌われそうなタイプですね。

ふたりの恋路に邪魔が入る。
これが・・・「昼ドラですか?」な陳腐な展開。
思わず、本をぶん投げそうになりました。

でも。たぶん。私が歳をとったからなんでしょう。
昔だったら怒り狂ったであろう人や出来事が「許せる」。

言ってしまえば。
こんなもんだよね、と納得出来る。

恋愛って。
好きだから好きだ、好きなんだから仕方ないだろー!
・・・と突っ走るのが、ザ・王道でしょう。

愛しているから「引く」というのもありますけれど。
ていうか。その方が実は多いかもしれませんけど。

引き過ぎているんですね、この小説の二人。
そこに親近感かつ、リアリティを感じます。
突っ走らないのは極めて現代的。

恋愛が全てに優先していない二人でもあって。
自らの「生き方」「使命」「目的」「役割」ということを。
日々、真面目に考えている。だから恋愛に振り切らない。

そこがすごく共感できる。

この人が疑いもなく「運命の相手」だとわかっているのに。
その「運命」は諦めるべきものと思ってしまう。

しかし、別れのきっかけだけは。
なんか他に方法がなかったかな?
昼ドラ展開にしないでも、描けなかったのかな?

主役の男と女は。とにもかくにも「主役級」の人材で。
脇役は「どう転んでも脇役でしかない」人材で。
そのことを傍役自身に自覚させ語らせる残酷さは、上手い。

心模様の織り方が好きですね。
とても、美しい模様です。
恋愛というものがあってもなくても良かったような・・・
特に、恋模様に私は見惚れるということはなく読んでいました。

感想は難しくて。

十分に好きだけれど。
何かが違えば、もっと好きになれたかもしれないと感じさせられる。
だからと言って、それを「惜しい」と言い換えるのも安易なような。

うん。でも。
私がかつて思っていたよりずっと。
平野啓一郎という人は「書ける」という印象とともに。
ちょっと、興味も湧いてきた・・・かな。だな。

同世代観、みたいなのは、意外とある。
すごく、真面目な人なんだな、きっと。
そして、残念ながら。この人の「底」はそれほど深くはない。

(2018.1.30)

『猫には推理がよく似合う』深木章子

4041044537

角川書店
Amazon

おや、これは、なかなか新鮮なミステリー。

猫とミステリーの組み合わせは珍しくない。
その猫が真っ白のスコティッシュフォールドで。
しかも、気を許した人間だけに喋るとしても。
ま、さほど驚くことでもない。

猫の名前に関しては笑える。
(これから読む人のために言わずにおきます)
猫の程々に我儘な性格もいかにも猫らしくていい。
猫が実は大のミステリー好きなんていうのも面白い。

のどかなミステリーだと思っていたら。
最後にちょっとした急展開。

私・・・勘だけで犯人、わかっちゃいましたけど。
犯人以外のところでビックリしました。

そ、れ、は! 想像もしていなかった!

このアイデアと作品全体の雰囲気、買えます。
ただ、最後は尻すぼみと言いますか。
衝撃の事実の後始末的な展開のところが弱い。

初めましての作家さんでしたが。
いわゆる当たり外れのあるタイプでしょうか。
創意工夫があり、細やかなんだけど、ちょっと雑。
一生懸命ミステリー書いてる人にありがちな・・・

でも。案外、この感じは好きかもしれない。
そもそも、ミステリーなんて不自然なんですから。
リアリティーを求め過ぎると社会小説になっちゃう。

失礼ながら、外れる覚悟を持って読めば楽しめそうです。

(2017.6.3)
ミステリの「当たり外れ」って。
まぁ個人の好みが相当、影響するんですよね。
レビューを読むと、絶賛の声と酷評が同数ってのいうもザラ。
相対的に評価が高くて、安定感がある人は大抵、超人気作家。
でも、人気作家の作品って新鮮ではないんです。
ちょっと下手、なのが愛嬌になる気がします、ミステリって。
基本的には私の好みは、「ザ・王道・本格・傑作」ですけれど。

『昭和の犬』姫野カオルコ

434402446X

幻冬舎
Amazon

白い色がすごく目立ったんだと思うの。なにか一つだけ目立つ要素があると、人ってそのほかの要素を見なくなってしまうというか、見えなくなってしまうんだよ、きっと

主人公がテレビの主役だった犬について言及する場面。
人間の思い込みの激しさ、先入観の強さを示すいい例です。

実は私も著者に対して同じような思い込みを持っておりまして。
「姫野カオルコ」という名前だけでアレルギーを起こし。
いまだかつて一度も手にとったことがない作家さんでした。

名前の印象はというと。
キラキラしてて「強い」女子。
とにかく、私が敬遠するタイプです。

この名前を「強そう」と感じる私の感性がおかしいような・・・
ともかく。強そうな女性が凄く苦手なのです。

それが、直木賞受賞の様子がテレビで写り。
あれ、面白いおばちゃん!と著者の印象が変わりました。
それで読んでみようと言う気持ちになったいう次第。

で。面白かったです。
ワンちゃん(色々出て来ます)と共に主人公の人生が語られる。
独特なユーモアのセンスに時々、置いてきぼりをくらいますが。

作風から言うと。好きということはないです。
文章が上手いのか下手なのかよくわからないというか。
読みやすそうなのに、意外と読みにくいというか。

ただ。この作品がちょっと特殊なのかな?

(2014.8.7)
今後、その方針が守られるかどうかわかりませんが。
基本的には一冊読んだだけで作家を判断しない主義です。
よほど「だーめだ、こりゃ」な場合は別として。
同じ作家の本を二冊は読んでみることにしています。
でもね。近頃、人生の短さと読みたい本の多さに。
この方針は放棄しようかと考え始めています。

『刑事さん、さようなら』樋口有介

4120041972
中央公論新社
Amazon

久しぶりにミステリを読んでビックリしました。

後味が悪くて当然!な内容ですけれど。
あまりにも見事に騙されてしまったので、
何だか妙な清々しさのようなものが残りました。

ネタバレになるので語れませんが、
読者の固定概念を上手く利用して裏切ってくれます。

そっかぁ。それで、このタイトルなんだ。

こういうのキライ!と感じてもおかしくなくて。
ギリギリ「面白い」と思えた作風です。

当たり外れがありそうな作家さんですが、
また読んでみたいなと思います。

(2013.9.14)
  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

このサイトはAmazonアソシエイトに参加しています。

表示中の記事

カテゴリ

カテゴリー 月別アーカイブ

 

***