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昭和の犬   姫野カオルコ

Posted by 彩月氷香 on 11.2014 その他は行の作家   2 comments   0 trackback
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幻冬舎
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白い色がすごく目立ったんだと思うの。なにか一つだけ目立つ要素があると、人ってそのほかの要素を見なくなってしまうというか、見えなくなってしまうんだよ、きっと

主人公がテレビの主役だった犬について言及する場面。
人間の思い込みの激しさ、先入観の強さを示すいい例です。

実は私も著者に対して同じような思い込みを持っておりまして。
「姫野カオルコ」という名前だけでアレルギーを起こし。
いまだかつて一度も手にとったことがない作家さんでした。

名前の印象はというと。
キラキラしてて「強い」女子。
とにかく、私が敬遠するタイプです。

この名前を「強そう」と感じる私の感性がおかしいような・・・
ともかく。強そうな女性が凄く苦手な私なのです。

それが、直木賞受賞の様子がテレビで写り。
あれ、面白いおばちゃん!と著者の印象が変わりました。
それでやっと読んでみようと言う気持ちになっという次第。

で。面白かったです。
ワンちゃん(色々出て来ます)と共に主人公の人生が語られる。
独特なユーモアのセンスが時々「?」になりますが。

作風から言うと。好きということはないです。
文章が上手いのか下手なのかよくわからないというか。
読みやすそうなのに、意外と読みにくいというか。

ただ。この作品がちょっと特殊なのかな?

(2014.8.7)
今後、その方針が守られるかどうかわかりませんが。
基本的には一冊読んだだけで作家を判断しない主義です。
よほど「だーめだ、こりゃ」な場合は別として。
同じ作家の本を二冊は読んでみることにしています。
でもね。近頃、人生の短さと読みたい本の多さに。
この方針は放棄しようかと考え始めています。

刑事さん、さようなら  樋口有介

Posted by 彩月氷香 on 21.2013 その他は行の作家   0 comments   0 trackback
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中央公論新社
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久しぶりにミステリを読んでビックリしました。

後味が悪くて当然!な内容ですけれど。
あまりにも見事に騙されてしまったので、
何だか妙な清々しさのようなものが残りました。

ネタバレになるので語れませんが、
読者の固定概念を上手く利用して裏切ってくれます。

そっかぁ。それで、このタイトルなんだ。

こういうのキライ!と感じてもおかしくなくて。
ギリギリ「面白い」と思えた作風です。

当たり外れがありそうな作家さんですが、
また読んでみたいなと思います。

(2013.9.14)

なずな  堀江敏幸

Posted by 彩月氷香 on 22.2011 その他は行の作家   2 comments   0 trackback
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集英社
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「なずな」という名前の赤ちゃんを預かった、中年男の日常。
子育ても男目線だと、何だかとても新鮮で。
日々成長する命への愛おしさが静かに心に満ちてくる。

牧歌的な毎日とはいかず、育児やつれの激しい主人公に。
幾つもの、温かな救いの手が差し伸べられる。

赤ちゃんは天使で。周囲を幸せにするなんて幻想だと。
そう思える世の中に、こういう心温まる物語があってもいい。

赤ちゃんと暮らすことで、書く文章にまで違いが現れる。
(男は、地方新聞の記者なのである)
そのくらい、気付かされること、学ぶことがある。知らず知らずに。

たぶん、男と赤ん坊の距離が程良いのかもしれない。

感情的にならず、先入観もなく、「大切な預かり物」として。
無心に、精一杯に、見守り育てる男の誠意と愛情は、きっと。
まだ物言えぬなずなちゃんにも、伝わっているのでしょう。

彼の子育てをサポートする人々も魅力的で。
その人間模様も、心に潤いを与えてくれます。

生まれてたった三カ月で、両親と離れるという不運が
預かった者にとって、かけがえのない美しい時間の贈り物になった・・・

夢のような話かもしれないけれど。

「私は守っているのではなく、守られているのだ、この子に」
この言葉に共感できる時間を持った人もたくさん、いらっしゃるでしょう。

(2011.11.13)
現代は、子供を育てることに不安を抱く人が増えていると思います。

確かに考え出したらキリがないほど、不安材料がありますし、
不幸な事件の情報も大量に溢れていて、嫌でも耳に飛び込んできます。

そんな時、この本を読むと赤ちゃんを迎えること、育てることが、
「楽しみ」に感じられるのではないかしら・・・。
(子供を持ったことのない私が偉そう言えることでありませんが)


放浪記  林 芙美子

Posted by 彩月氷香 on 18.2010 その他は行の作家   0 comments   0 trackback
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新潮文庫
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読み始めてから読み終わるまでずっと苛々していた。突然現れる「あの男」や「あの人」という言葉が誰のことを指しているのかわからない。いつの間に、どこからどこへ芙美子が移動したのかわからない。気がつくと、私も芙美子とふらふらと放浪しているような錯覚に陥っていた。混乱して、様々な出来事が頭の中でごちゃごちゃになった。

そのような状態でこの本を読むのはかえって、ふさわしいことなのかもしれない。はっきり、くっきりした頭で考えながら読むよりもこの本の雰囲気をよく捉えられる気がする。けれど、あくまでもストーリーのある小説としてこの本を読もうとした私には、この本はバラバラで細切れで、何が何だかちっともわからない苛々させられる本でしかなかった。その上に非常に厚い。精神的な疲労を感じながら半分から後ろの方は、すごい勢いでとりあえず読むだけは読んだという風で、文字は目に入っても頭には殆どなにも残らなかった。

それが一度目に読んでから随分日が過ぎた頃に改めて読み始めた時、私は以前読んだ時とはまるで違う印象を受けた。あらかじめ、この本が雑記帳をもとにまとめられた順序を重視しない形式で成り立っているという認識を持っていたことによる差もあると思う。何より、私が起承転結のある小説に慣れ過ぎていたことがこの本に対する苛立ちを生んでいたのだったから、その点にこだわらないことで、この本に対する見方は随分変わったのだろう。物語らしい話の展開に固執せずに読むことでむしろ情景も芙美子も生き生きとして、背景となる様々な登場人物と共にひとつの物語として見えてきたのだ。

そしてまた、この本は筋を追い、無理に物語として捉えようとしたりしないで読むほうが魅力があることに気付いた。芙美子のどん底にあってもぎりぎりのところで卑屈になっていない生き方、苦しみをわざと茶化して見せるひとりごとには、貧乏なんて知らず、物質的には何の不自由もなく育った私の心にも強く響いてくるものがあった。勿論、私に飢えや貧乏の苦しみがわかると言ったら嘘になると思う。わかる筈がない。想像してみることは出来たとしてもそれで芙美子の苦しみがわかるなどとは言えない。

ただ、この人の文を読んでいると私にとっては何でもないような食べ物がひどく、美味しそうに頭に浮かんだ。あんパン、うで玉子、おべんとう、とうもろこし、みそ汁・・・。私はこの本以外でこれらの食べ物の名をみておいしそうだと思ったことなんてない。実際これらを口にして特においしいと思うことも殆どない。なのに、この人の文章の中に見つけるこれらの名前は、匂いが漂ってきそうに思えた。美味な味として私の脳裏に浮かんでくるからではなく、芙美子の飢え、「食べたい、食べたい」という強い思いが私にも伝染したせいなのだろう。それ程、この人の文には力がある。美しく、取り澄まして小綺麗にまとまった文などは持ち得ない真の力、魂の響きのようなものがある。

そういったものは、たった一行読むだけでも感じられる。適当にパッと開いたページの、目についた箇所を無秩序に読んでも充分、心の満たされる本だと思う。ただ明らかにこの本に収められた中では一番新しいと思える文―芙美子がかなり安定した収入を得ていることのわかる文―から、私は不安を感じた。それまでの、貧乏暮らしに苦しんでいた芙美子の文にはなかった気弱さがそこにあるような気がした。

飢えの苦しみから解放されたかわりに、芙美子は重い鎖につながれてしまったかのように思える。不安で明日の何の保障もなかった頃には持っていた自由を失い、何事にも負けまいという芙美子の気の強さ、開き直って見せる態度など、私の惹かれた部分も失い始めているように見えた。どれほど苦しかったにしても、本当は芙美子にとって幸せなのは放浪の生活なのではないかと思いたくなった。

第三者の勝手な考えだろうけど私はひとつの場所に根をおろしてしまった芙美子を見たくなかったのだと思う。それくらい、放浪の日々を生きている芙美子が鮮やかで印象的だった。
私の頭の中の芙美子はいつまでも放浪し続けている芙美子だと思う。

(読了年月日不明)
いつも訪れてくださっている方は、少し驚かれたでしょうか。これは、例の高校時代に無理やり読まされた本たち(ご存じなく、気になる方はこちらをお読みください)の感想文の一つです。
連休中、どんなものが飛び出すやら恐ろしくて長年読めなかった感想ノートを、うっかり開いてしまいました。勇気を出して読んでみると、文章のあまりの素直さに軽く感動すら覚えました。
と、いうわけで。恥を恐れず、公開することにしました。全く、一語も手は加えていません。気になるところは多々ありますが。もとの文章は改行なしでみっしりと書かれているので、その点だけは読みやすいよう、区切りました。
思い出したくもないくらい、ひねくれた少女だったと記憶している自分の、意外なほどの真っ直ぐな気持ちに、どんなに暗く救いがたいものと本人が思いこんでいても、若さとは清々しさを失えないものなのだな、と今は微笑ましく感じます。
ご要望ございましたら、まだ人前にかろうじて出せそうなのは幾つかあります。



賞の柩  帚木蓬生

Posted by 彩月氷香 on 29.2010 その他は行の作家   0 comments   0 trackback
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新潮文庫
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傑作サスペンス、は褒めすぎと思う。
けれど気持ちよく読める。品位がある。
それが私には物足りなくもあるけれど。

ノーベル賞にまつわる陰謀、という題材に、正直なところ興味もない。
それでも、一つの道を選んで生きる人の姿勢の、様々な有り様に
考えさせられることがたくさんある。

「留学先で最新のものを学ぼうとしても、そんなものは時が経つにつれて色褪せる。それよりも、古いものを学んだ方がいい。深い所にある、ものの考え方を学ぶべきだ」

人物の描き方や、ヨーロッパの情景の描写などは、
静かで、一歩控えた語り口に好感が持てる。

「デザートに出たケーキは頭の芯が痛くなるほどに甘かった」
これは私の経験にもぴたりと呼応して、笑えた。懐かしく思い出した。

(2004.10.21)
端正な作風の作家だと思います。
一時期、まとめて何作か読みました。
安定感のある、極めて上質な小説をお書きになるのですが、
どうも、「お行儀が良過ぎる」印象があって、物足りないのです。
私の勝手な、感覚的な感想に過ぎませんが・・・。
でも、読んで泣ける力作だったりはするのですよね。
近頃の作品はどんな風なのか、ちょっと気になります。


  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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2011年11月22日 (火)
なずな  堀江敏幸
2010年08月18日 (水)
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2010年07月29日 (木)
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