『デンジャラス』 桐野夏生
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ほんまのことなん?
谷崎潤一郎の晩年を描いた作品なん!
知らんと読み始めたんで、びっくり。
一応、谷崎文学はひととおり呼んでます。
読んだのが昔過ぎて忘れてたりはしますが。
本作を読んでいると、無性に「細雪」を再読したくなる。
そっか。そんなに明確なモデルがいたんやね。
私、あまり、創作の裏側に興味なくって。
おかげで作家の現実生活はあまり知らないんです。
松子夫人のことはぼんやり存じ上げてますが。
その妹さんがねぇ・・・
ほんまに、こんな感じやったんかな?
谷崎の異常さだけはよくよく伝わってくるし。
私が大嫌いなタイプの女がうようよしてるなぁとも思う。
いや。ほんとに私って女だったか?と疑うほど。
ここに出てくる女たちが異次元やわ。
ああ。めんどくさ。しんど。あほらし。
やっぱ、女なんて辞めたいわー。
まぁ。でも。ひとことで言えば、面白い。
実際のところどうだったかは、ともかく。
自分勝手な人間だらけの人間模様が見飽きない。
視点を変えれば幾つも異なる物語が出来るやろうな。
そして、どれがほんまってこともない感じがする。
谷崎の才能は本物やし。
それを支えた女神たちがいたのも間違いいない。
その関係がややこしかったんも。
しかし。イヤな女だらけの中でも。
重子って最高にイヤな女やね。
だいたい。男性が魅力的と思う女性は。
女から見ると「最低・最悪」なんちゃうかな。
絶対にそうとは言わんけど。
ま、谷崎だって、ヤな男やろ。
世の中は(特に男と女の関わりなんてものは)、
面倒くさいことを面白がらんと、つまらんのかも。
(2018.4.30)
私も女の端くれなんで。
わからないわけじゃない。
わかるからイヤ、ってこともある。
桐野夏生さんがねぇ、と吃驚なような題材だけど。
それでも、桐野夏生らしさは感じる。
読者をぞっとさせるのが、上手いなぁ。