FC2ブログ
Loading…
 

『デンジャラス』  桐野夏生

412004985X
中央公論新社
Amazon

ほんまのことなん?

谷崎潤一郎の晩年を描いた作品なん!
知らんと読み始めたんで、びっくり。

一応、谷崎文学はひととおり呼んでます。
読んだのが昔過ぎて忘れてたりはしますが。

本作を読んでいると、無性に「細雪」を再読したくなる。
そっか。そんなに明確なモデルがいたんやね。

私、あまり、創作の裏側に興味なくって。
おかげで作家の現実生活はあまり知らないんです。
松子夫人のことはぼんやり存じ上げてますが。

その妹さんがねぇ・・・
ほんまに、こんな感じやったんかな?

谷崎の異常さだけはよくよく伝わってくるし。
私が大嫌いなタイプの女がうようよしてるなぁとも思う。

いや。ほんとに私って女だったか?と疑うほど。
ここに出てくる女たちが異次元やわ。

ああ。めんどくさ。しんど。あほらし。
やっぱ、女なんて辞めたいわー。

まぁ。でも。ひとことで言えば、面白い。

実際のところどうだったかは、ともかく。
自分勝手な人間だらけの人間模様が見飽きない。
視点を変えれば幾つも異なる物語が出来るやろうな。

そして、どれがほんまってこともない感じがする。

谷崎の才能は本物やし。
それを支えた女神たちがいたのも間違いいない。
その関係がややこしかったんも。

しかし。イヤな女だらけの中でも。
重子って最高にイヤな女やね。

だいたい。男性が魅力的と思う女性は。
女から見ると「最低・最悪」なんちゃうかな。
絶対にそうとは言わんけど。

ま、谷崎だって、ヤな男やろ。
世の中は(特に男と女の関わりなんてものは)、
面倒くさいことを面白がらんと、つまらんのかも。

(2018.4.30)
私も女の端くれなんで。
わからないわけじゃない。
わかるからイヤ、ってこともある。
桐野夏生さんがねぇ、と吃驚なような題材だけど。
それでも、桐野夏生らしさは感じる。
読者をぞっとさせるのが、上手いなぁ。

『錆びる心』    桐野夏生   

4167602032
文春文庫
Amazon

表題作を含む6篇を収録した短編集。

◆「虫卵の配列」
作中の一節がこの一篇の要約になっている。
それにしても、何という精緻で魅力的な妄想だったのだろう。

◆「羊歯の庭」
自らがナイーブだと信じている人間ほど、おそろしく利己的である・・・。

◆「月下の楽園」
荒れ果てた庭に病的な執着心を抱く男・・・。
人が何を好むか、って不思議なものだ。

◆「ネオン」
ヤクザってハタ迷惑だけど、物悲しく滑稽で面白い。

◆「錆びる心」
タイトルがいい。生活について考えさせられる。
10年がかりで準備した復讐が描かれるのだが、奇しくもそれは、
自分自身を10年がかりで腐敗させる結果を生み出しているように思う。
相手よりも、自分を多く、損なうものだと・・・。
主人公の絹子の夫への復讐よりも、彼女の意地が生み出した、
完璧な主婦ぶりが私には強く印象に残った。

妄想、妄執、憎しみ、歪んだ愛・・・。
人間の心の奥底に潜むものは、怖くて、醜くて、そして、妙に魅力的。

(1999.1.17)


光源  桐野夏生

4167602059
文春文庫
Amazon

面白かった。

シンプルで力強い印象。
どうして、と思うほど色濃くくっきり描き出される登場人物。
人間って勝手なものだなというのが一番感じたこと。
他にもっと上手く生きる道がありそうなものなのに、自らを苦しめる道を選んでいる。

与えられた立場や役割のなかで生き切ることと、自分自身の感情とは相いれない。

仕方のないことだ。当然のことだ。

妻子ある人を愛することも、妹を愛することも、自分を守るため人を傷つけることも。

ただ、その結果生じる因果は背負わねばならない。
しかし、その覚悟もなく思いに任せて行動し、後悔する者も少なくない。

一体生きるために人が求めているものは何だろう?
失っては生きていけないと思う大切な絆も、命をかけたと思う仕事も、
実際は無いなら無いなりに生きていけてしまう。

傷は深く、残りはするけれども。

(2002.6.26)

  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

<別館のご案内>
Instagram
99%、花の写真です。

moleskine絵日記
ちいさな絵日記。

表示中の記事

  • 桐野夏生

カテゴリ

カテゴリー 月別アーカイブ

 

***