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presents   角田光代

4575512400
双葉文庫
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名前。ランドセル。初キス。鍋セット。うに煎餅。合い鍵。ヴェール。
記憶。絵。料理。ぬいぐるみ。涙。

以上、12個のpresents・・・贈り物。
まつわる思い出が、決して感傷的過ぎることなく、
ユーモアと皮肉をスパイスに、語られる。

モノより、やはり「思い」なのだ。
カタチでなく、そこに込められた願いや祝いや喜びや、
悲しみや苦い記憶が、ずっと心に残るのだ。
・・・たとえ、その「モノ」が消滅したとしても。

「思い」は時に、いや、しばしば忘れ去られたりもする。
それでも、いつか、必ず、ふと、思いがけず甦ってくる。

・・・大切なモノは何だろう?
・・・どこにしまってあるだろう?
・・・私も、いつか、そんな素敵なプレゼントを、
誰かに贈ることが出来るだろうか?

それは意図してなされるものではなく。
きっと自分も忘れてしまっているのではないか。
それで、いい。そうありたい。

自然でムリがないからこそ、
作為もなく「あげる」という意識もないからこそ、心に届くのだ。
・・・受け取った側の感謝が返ってきて、
初めて自分が贈り物をしたことに気付く。そういうものだ。

そして、「ありがとう」の言葉が、
今度は贈った側への最大のプレゼントになる。

だから。
照れくさくて言えないままに、時が流れてしまったとしても、
そして相手がすっかりそんなこと忘れていたとしても、
もしも、伝えることのできるチャンスが来たならば、
「あの時はありがとう」と伝えたい。

もし、伝えられぬまま二度と会えなかったとしても、
その贈り物にこめられた「思い」をまた別の誰かに贈りたい。
・・・自分なりの、カタチで。

ささやかな、ほんの小さな思いやりに、人は救われる。
切羽詰まった時こそ、ひとしずくの「思い」の欠片が、
まばゆいきらめきとなって、深く心に残像を残したりする。

あるいは。
行き詰った感情が、出口を失って、どんどん溜まって。
ああ、もう駄目、と思った次の瞬間に、何故だか、
不思議なことに、呆気なく乗り越えていたりする・・。

その支えとなるものは、過去の贈りもの、かもしれない。

大切な贈りものは、人に贈るもの、人から贈られるもの。
そして、ここで語られてはいないのだけど、
自分に贈り、自分から贈られるものでもある・・・と、私は思う。

(2010.10.10)
この本を紹介して下さった、まいまい様、ありがとうございます。
優しさと切なさが入り混じって、じんわりと心に沁みる本でした。
読み終わって、晴れ晴れと、清々しい気持ちになりました。
角田光代さん、こういう小説も書くのですね・・・。
また、他の作品も読んでみたくなりました。


おやすみ、こわい夢を見ないように  角田光代

4104346020
新潮社
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怖いぐらいに身近な、「負」の感情。
そしてその想いが生む、暗い、煮えたぎるようなエネルギー。

7篇とも、おそらく誰もが
自らの内に抱え持っているような憎しみがテーマである。
憎しみを消すことが出来ぬ自分自身を哀しみつつ、
それでもやはり、どうにもならず、生きていかなくてはならない・・・。

刺さるようにくっきりと、甦るマイナスの感情の熱。
ああ、誰も同じなのだなと、ほっとしてしまえたりもする。

これは、傑作と呼んでもいいくらい。
平凡であることの、苦々しい程にちっぽけな、悩み。
ありふれていても、軽くはなり得ない、重荷。

(2006.5.6)

ロック母  角田光代

4062140330
講談社
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「私は短編小説を読むのが好きで、おおざっぱな言い方だが、いい短編を書きたいと、デビューしたころからずっと思っていた」と、著者はあとがきに書いている。
このあとがきが私は一番好きだった。
短編小説への愛と憧れが熱弁されてて、気持ちが良い。

収録された短編もキライではない。
なかなかいいとは思うのだが、私の感性にピンとくる感じではないのだ。
上手い、と面白い、とそれ以上の何か、も感じつつ、繰り返し読みたいほどではなかった。

(2008.1.5)
  

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Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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