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文藝ガーリッシュ  千野帽子    

4309017851
河出書房新社
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そもそも「文藝ガーリッシュ」とは?
まず著者はその説明からスタートする。

長い説明で、要約が難しいが、
「志は高く心は狭い文化系小娘のためのジャンル」らしい。

要は、小生意気な少女趣味、ってことね。
可愛いなんて言わせないぞ、とつっぱる(死語!)美少女のイメージ。

どうも私自身がその基準から外れるせいなのか、
素直に入りにくい文章にしばしば、ぶつかった。
趣向は面白いんだけど、凝りすぎたんじゃないかな・・・

先日読んだ「読まず嫌い」の方が断然、面白かった。
取り上げられてる本は、私の得意分野なのに。

まず、読んだことある本がずらっと、
幸田文「草の花」、小川洋子「ミーナの行進」、森茉莉「甘い蜜の部屋」、
佐々木丸美「雪の断章」、武田百合子「富士日記」、長野まゆみ「雨更紗」、
瀧澤美恵子「ネコババのいる町で」


他には取り上げられた本は読んでいないが、おなじみの作家、
森田たま、三島由紀夫、小沼丹、矢川澄子、野上弥生子、津村節子、
笙野頼子 、小泉喜美子、金井美恵子、綾辻行人。


それなりにクセのあるラインナップだ。
独特の世界に浸りながら自分も世をスネてみる、という読み方が似合う。

文学に納まらない異色の香りを持ち、少女の感性を湛えている、
そんな作者であり作品群でもある。

読みたい気持ちを揺り起こす千野氏の紹介の上手さは侮りがたく、
気がつくと、私の読みたい本リストに長い追加の列が・・・。
チラとよぎった不安どおり、調べてみると絶版本があり得ないほど多い!

ほんとに困った本を書く人だなぁ、千野さんって。
「読まず嫌い」を読んでる限りじゃ男性と思ってたけど、もしかして女性?
こんなに少女小説を読んでる男性、って・・・ありなの? 

と、ここで、ググる。
へ~ぇ、正体は岩松正洋というフランス文学者、かつ関西学院大学の准教授。
ネットって便利で、でも夢を潰すよね・・・。無名の勤め人の方が素敵なのに。

この出来過ぎた少女の考察は、女じゃないから出来ることだと思う。
少女(「元・少女」も含む)は、こういった分析などはせず、
どっぷり浸りきるか、さらに妄想の世界を広げていくかだものね。

あ、本の紹介の合間に「文学少女の手帖」というコラムが挟まれてて、
これはとても秀逸なミニ文学論で、好きです。

(2010.4.20)

読まず嫌い  千野帽子

404885027X
角川書店
Amazon

タイトルと著者名(帽子さん?)から、もっと軽い読み物と予想していた。
意外にも、文章のタッチこそポップだけど、内容はかなり骨のある文学論で、
しかも面白くて、読みやすい。・・・すごく、トクした気分。

ありきたりのいまの小説に飽きた私たちにとって、ほんとうに新鮮なものとはなにか。それはジャンルとか「空気」といったものがまだないところで書かれた古い作品、不滅の名作や忘れられた名作なのではないか。

「本を読むことなんて、いいことばかりではない。夢中になると、ほかのことが手につかなくなる。読めば読むほど、私のような碌でもない役立たずになってしまうかもしれない。なにが碌でもないと言って、自分の碌でもなさをすべて本のせいにしてしまっているのが碌でもない。

随所に共感できるところがあったのも良かった。
上記2か所は、とくに、うんうん、と首を縦に振りながら読んだ。
帽子さんは学生時代、授業中に机の下で読書したそうで、私と同じ!

本書で登場する名作たちも、ほぼ読了済みだし、
私も結構、へんてこな隠れた名作を読んでると自負しているけど、
著者も言う通り、普通に読書していると、
一生かかっても文学全集は読み切れない計算になる。

そろそろ、本当に読みたい本が何かを真剣に自らに問わないと、
イマイチな本ばかり読んでるうちに人生が終わってしまうよなぁ。
文学は独特の、一段違う満足感を与えてくれるんだよね、やっぱり。

名作なんて、と思ってる人に是非、読んでもらいたい本。
きっと、名作を読みたくなるはず。

ちなみに、帽子氏も何度か登場させている、「文学全集を立ちあげる」
(丸谷才一、三浦雅士、鹿島茂)は数年前に読んだけど、これ、最高。
架空の文学全集を編集する3人の会議の記録なんだけど、
それぞれの文学論や読書の思い出が織り込まれてて。楽しいです。

文学そのものより、文学とは何か、を考えることの方が
実は、面白かったりするのだ。
勿論そのためには、「文学」を語れるくらいの幅広い読書量と、
高い知性と教養が必要なんだけどね。
私?ええ、すみません、語る資格はございません・・・

文学全集を立ちあげる (文春文庫)文学全集を立ちあげる
文春文庫

(2010.3.31)
  

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Author:彩月氷香

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