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正義(上)(下) P・D・ジェイムズ

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ハヤカワポケットミステリ
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さすが。P・D・ジェイムズの人物造型は見事の一語に尽きる。
ミステリとしてというより、もはや文学としての価値がある。

じわじわと、人間の業や、つかみどころのない悪を
力強く描き出し、読み応えも充分。

犯罪人にも魅力があり、それはありふれた悪党像とは、
まるっきり一線を画している。

通りすがりの脇役にも深い洞察の目が向けられ、
その描写にも抜かりがない。

「本書の完成度の高さは、ブッカー賞にも値する」と、
サンデー・タイムズが評したというが、まさに私も同感。

(2006.11.15)
何やら、べた褒めですが、私、P・D・ジェイムズはいくら褒めても、
褒めすぎじゃないと思うくらいに心酔しております。
けれど、何しろ、読んだのが昔のことで、調べてみると、
絶版になってる作品の多いこと多いこと!
何故? 彼女の作風は、現代には重すぎるのか!?
やっと、絶版じゃないものを見つけて、嬉しい~。
重苦しさにウットリ出来る(!)人に超お勧めな作家さんです。
絶版作も古本で入手する価値は絶対にあると思うなぁ、私。



人類の子供たち  P・D・ジェイムズ

ハヤカワ・ミステリ文庫
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苺を一粒口の中に落としたザンは、身体をひねって、ワインに手を伸ばした。
「イヴリン・ウォーの『ブライズヘッド再び』そのままじゃないか。テディ・ベアが必要だぞ、これは」

好きな小説の中の印象深いシーンが登場して、ほくそ笑んだ。
しかし後は、暗く重たく、地を這う足取りで物語は進んでゆく。

「罪悪感を抱くことは、人間であることの一部なのよ。
 そのことに気づかなかったとでもいうの?」
・・・主人公セオに向けられた台詞が、我が身にも響く。

P・D・ジェイムズは痛切に、人間存在の根源にある深い闇を描き出す。
簡潔な筆致とシニカルなウィットで。

孤独と隣りあった生活の風景の描写の、
端正な物哀しさに、私はいつも、惹かれる。
彼女の描く人物は強い。
その強さのために押しつぶした諸々の感情とともに、
自己をたゆまず見つめて生きている。

(2000.2.22)
この作品はミステリではない。
P・D・ジェイムズの意欲作というか、実験的作品というか。
こういうタイプの小説は苦手な人も多いかもしれない。
気分が落ち込んでいる時の方が、読みやすい本だと思う。


策謀と欲望  P・Dジェイムズ

ハヤカワ・ミステリ文庫
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 P・D・ジェイムズは信用に足る作家・・・私にとっては。
人物、情景、心理、どれをとっても描写が確かで安心して読める。

人間の内面、外面のどちらにも神経の行き届いた洞察力がすばらしい。
登場人物のひとりとして、おろそかにしていない。
各々が抱える、人は誰もが逃れることのできない孤独が、滲み出ている。

重苦しい色調のなかに、毅然とした、強い姿勢がくっきりと浮かぶ。
ミステリとしてというより、人間の奥深さを捉えたドラマとしての値打ち。

生き方、ということを考えさせられる。

 

 (1999.7.16)

  

プロフィール

Author:彩月氷香

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