女彫刻家 ミネット・ウォルターズ
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巻末の野崎六助氏の「ミネット・ウォルターズ論」なるものに、
非常にびっくりさせられた・・・本の感想が吹っ飛ぶくらい。
要は、ミネット・ウォルターズの作品は無用の伏線だらけで、
しかも収拾を半ば放棄して強引に突っ走っており、
計算はずれ、不統一、混乱という短所を持ち味にしている、と。
「だからといって本作の価値が低くはならない」と付け加えられても。
まるでフォローになってないと思いますが・・・
彼はルース・レンデル以上にミネット・ウォルターズが苦手と言う。
つまり、この二人を同種と位置づけているわけですが。
私はレンデルは苦手だけど、ミネット・ウォルターズは大好き。
過度に女臭いって・・・うう。そう・・・ですか?
レンデルには感じるけど、ウォルターズは違う気がしますが。
しかし。差別的な発言かもしれないし、
私自身は今まで思い浮かばなかった言葉だけれども、
「女臭い」というのは確かに避けたい要素ですねぇ。
私は今まである種の女らしさを受け付けないと思ってたけど。
女らしさは良くっても、女臭さが駄目ってことなのかもしれない。
そうは言っても。
女らしさと女臭さは境界線を引くのは本人ではなく他者だから。
結局、見る人によって違って来るのだよね。
ウォルターズが過剰な書き手だとも野崎氏は述べていて。
それに関しては否を唱えるつもりはまったくありません。
だけど、そこが魅力なのにねぇ・・・無駄って言われても・・・
(2012.11.28)
後味は悪いというか。不気味というか。
これを「やり過ぎ」と言いたくなる気持ちはわかります。
読者を不安な気持ちにさせる作風ですよね。
え?え?そんなことが?この人もあの人も実は?みたいな。
本来、そういうのは好きじゃないんですけども。
ミネット・ウォルターズの人間の暗部の描き方には魅力を感じます。