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二人のウィリング  ヘレン・マクロイ

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ちくま文庫
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冒頭から惹き込まれる。

描写がとても繊細。
随所で。ほぉーっと。感嘆してしまう。
特に。人物描写。

通りすがりの人間も。
丁寧に細やかな筆致で描く。

精神科医が主人公ということもあるかな。
探偵役としてはありそうでない職業。

本格ミステリだけれど。
サスペンス風味も強い作風。
でも、そこにあざとさがない。

他にももっと読んでみよう。

(2018.5.7)
びっくりな展開でも。
ジェットコースター感はなくて。
じわじわ、ひたひた、しっとりな印象。
読み心地の静けさが好きです。

首斬り人の娘  オリヴァー・ペチュ

4150018642
ハヤカワ・ポケット・ミステリ
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能天気に面白がれない。

17世紀ドイツ。
魔女狩りの記憶もまだ新しい時代。
代々首斬り人の家に生まれた大男が主人公。

いいですか!
主人公は男です!
娘じゃない!
邦題に偽り思いっきりアリです。

「首斬り人」ってタイトルじゃ売れないと思ったのかな。
ま、たぶん、そうだろうな。
(娘が出て来ないわけではありませんよ)

何より、著者が首斬り人の家系の出というのが吃驚。
自分の出自を知ったとき、絶対にショックだったと思う。

主人公を「こうだったらいいな」と描いたそうです。
処刑や拷問が「職業」だった祖先を恥じたり怖がったり・・・は、
きっと、したくはなかったでしょうし。

現代がいいなんて感じたことはあまりないけれど。
こんな時代に生まれたらどうなっただろうと不安になる。
私も魔女扱いされそうだ。いや、されるに違いない。

あ。本作は魔女の疑いをかけられた女性を救うべく、
「真犯人」を探すというミステリーとなっております。

怖いのは。
魔女と目された女性が犯人でないと知っていても。
彼女が死ねば民衆の暴動が抑えられると判断し、
冷静に彼女を犠牲にしようと決める人間が存在すること。

スケープゴートが必要だと考える指導者と。
その生け贄に喜び勇んで襲いかかる民衆と。
どちらにも加担しない傍観者と。

状況によっては、どれにでもなり得るのが人間で。
でも、なぜか自分は「スケープゴート」になる予感しかない。
「生け贄属性」みたいなのがたぶん、あるんです。

だから、必死で処刑されかかっている女性の無事を祈りました。

きっと。いや確実に。
著者の祖先は無実の人をたくさん、処刑したでしょう。
そのことが十分にわかっているから、彼はこの物語を書いた。

彼が求めた「救い」が作品に魅力を与えていると感じます。
現実はもっと理不尽で恐ろしいものだったに違いないのだから・・・

(2017.1.17)

猫たちの森  アキフ・ピリンチ

4152080507
早川書房
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気軽な猫ミステリーではないのです。

ええ。正直。重いんですよ。
人間の罪深さを猫に教えられるというね・・・

可愛いだけの猫じゃない、どころか。
可愛さの欠片もないナマイキ猫のフランシス。
超毒舌。超わがまま。自由気侭。

でも。妙に文化的、哲学的。
ショーペンハウアーを愛読し。
ワーグナーとマーラーが好き。

というのも。
飼い主が多々難あり(見た目・性格)なれど。
文化と学問と哲学に開かれた知性の持ち主で。
やはり、猫も飼い主に似るわけですね。

その幸せな生活が。
飼い主に恋人が出来たことで終わる。

家出したフランシスを待ち受けていたのは。
残虐過ぎる、猫連続殺人。
あ、違った。連続殺猫。

その謎を解くべく、
自らの死の予感にも屈せず調査するフランシス。

いや。怖い。
哀しい。

正直、もうちょっと楽しい気分になりたいです。
せっかくの(?)フランシスの軽薄なキャラが生きない。
主題が重過ぎて・・・ なんだか辛い。

ま、でもね。最後の最後には。
あ。さすが、フランシスだねー。
転んでもタダじゃ起きないってまさにコレ!

・・・と。
感心しつつも、多いに呆れ返れます。

それでホッとするというか、救われるのだけれど。
猫好きさんほど、やるせない気持ちになるストーリーかも。

動機や犯人像が、読んでいて「しんどい」のです。
でも、フランシスのキャラクターは最高。大好き!

彼が引用するショーペンハウアーも傑作です。
引用する場面と語が絶妙にマッチしています。

続きも読みたいけれども、翻訳されないかしら?
されないだろうな・・・

(8作まで出てるらしいです)

(2017.10.5)
私、この本を読んで再確認しました。
キャラクターに惚れ込むと、ストーリーを無視する自分の性格。
その人(今回は猫ですが)に出会うために読み続けられる。
ええ。作品の完成度が巻を重ねるごとに低下しようとも。
幸い、そこまで気に入るキャラクターは稀です。

聖エセルドレダ女学院の殺人  ジュリー・ベリー

4488268048
創元推理文庫
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女性が学べなかった時代の学園生活。

ぶっちゃけ、トンデモミステリーなのです。
設定というかですね、物語進行がぶっ飛んでます。
おいおいおい、嘘だろー、あり得ねー!!!

なのですけれど、
「ま、アリかもしれない」
「アリだということにしてあげよう」
・・・という気持ちになれる本です。

舞台となる「聖エセルドレダ女学院」というのは。
言って見れば、「花嫁学校」なわけですよ。

お行儀良く、淑女らしくなさい。
家庭生活に役立つことを学びなさい。
科学なんて、勉強しなくて良いんです!

そんな学校に「押し込まれた」少女たち。

個性豊か、まぁ・・・ある種の紋切り型というか。
定型のタイプが揃ってはいるのですけれども。
生き生きと描かれていて、可愛らしいです。

今では存在しないかもしれませんが。
「厳格な」女子校とかだと似てますね。
私も女子校出身ですが、通じる雰囲気があります。

最後、笑えるくらいの大団円を迎えます。
いや、良いと思う。近頃、なかったもんなぁ。
こんなに丸くまとまって終わるミステリーって。

(あ。そもそもミステリーを近頃読んでないか)

ミステリとしても、ダメダメなわけではありません。
何より村社会的な人間模様が面白いですし。
犯人は誰だ? 動機は何だ? と頭を悩まされます。
ちゃんと、怪しいヒトも沢山出て来ますし。

(2017.9.10)
大きな期待をせずに読めば、かなり満足できるミステリーかと。
少女たちがよく描けているところが何より高ポイント。
微笑ましいけど、なかなか辛口女子というところが良いです。

サム・ホーソーンの事件簿〈1〉  エドワード・D. ホック

4488201024
創元推理文庫
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牧歌的な不可能犯罪の思い出。

老医師サム先生が、若かりし頃に遭遇した事件の昔話をする。
まぁまぁ、まったりのんびりな推理小説です。

犯罪の謎自体に興味がないと、ちょっと眠くなるかも。
ボチボチと田舎町の風情を味わいながら読むべし。
ええ。古き良き時代のアメリカの村の雰囲気、悪くないです。

だけどなぁ。やはり。
私、ミステリーだったらイギリスが舞台の方が好きだな。
(段々クセになる味かもしれないなぁと思いつつ)

(2016.9.22)
ミステリに関しては、完全に自分の好み優先なので。
作品の出来不出来よりも、世界観が合うか合わないかが重要。
なので、私はこのシリーズは読まないです。
不可能犯罪を推理するのが好きな人にはお勧め。


  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

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