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猫たちの森  アキフ・ピリンチ

4152080507
早川書房
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気軽な猫ミステリーではないのです。

ええ。正直。重いんですよ。
人間の罪深さを猫に教えられるというね・・・

可愛いだけの猫じゃない、どころか。
可愛さの欠片もないナマイキ猫のフランシス。
超毒舌。超わがまま。自由気侭。

でも。妙に文化的、哲学的。
ショーペンハウアーを愛読し。
ワーグナーとマーラーが好き。

というのも。
飼い主が多々難あり(見た目・性格)なれど。
文化と学問と哲学に開かれた知性の持ち主で。
やはり、猫も飼い主に似るわけですね。

その幸せな生活が。
飼い主に恋人が出来たことで終わる。

家出したフランシスを待ち受けていたのは。
残虐過ぎる、猫連続殺人。
あ、違った。連続殺猫。

その謎を解くべく、
自らの死の予感にも屈せず調査するフランシス。

いや。怖い。
哀しい。

正直、もうちょっと楽しい気分になりたいです。
せっかくの(?)フランシスの軽薄なキャラが生きない。
主題が重過ぎて・・・ なんだか辛い。

ま、でもね。最後の最後には。
あ。さすが、フランシスだねー。
転んでもタダじゃ起きないってまさにコレ!

・・・と。
感心しつつも、多いに呆れ返れます。

それでホッとするというか、救われるのだけれど。
猫好きさんほど、やるせない気持ちになるストーリーかも。

動機や犯人像が、読んでいて「しんどい」のです。
でも、フランシスのキャラクターは最高。大好き!

彼が引用するショーペンハウアーも傑作です。
引用する場面と語が絶妙にマッチしています。

続きも読みたいけれども、翻訳されないかしら?
されないだろうな・・・

(8作まで出てるらしいです)

(2017.10.5)
私、この本を読んで再確認しました。
キャラクターに惚れ込むと、ストーリーを無視する自分の性格。
その人(今回は猫ですが)に出会うために読み続けられる。
ええ。作品の完成度が巻を重ねるごとに低下しようとも。
幸い、そこまで気に入るキャラクターは稀です。

聖エセルドレダ女学院の殺人  ジュリー・ベリー

4488268048
創元推理文庫
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女性が学べなかった時代の学園生活。

ぶっちゃけ、トンデモミステリーなのです。
設定というかですね、物語進行がぶっ飛んでます。
おいおいおい、嘘だろー、あり得ねー!!!

なのですけれど、
「ま、アリかもしれない」
「アリだということにしてあげよう」
・・・という気持ちになれる本です。

舞台となる「聖エセルドレダ女学院」というのは。
言って見れば、「花嫁学校」なわけですよ。

お行儀良く、淑女らしくなさい。
家庭生活に役立つことを学びなさい。
科学なんて、勉強しなくて良いんです!

そんな学校に「押し込まれた」少女たち。

個性豊か、まぁ・・・ある種の紋切り型というか。
定型のタイプが揃ってはいるのですけれども。
生き生きと描かれていて、可愛らしいです。

今では存在しないかもしれませんが。
「厳格な」女子校とかだと似てますね。
私も女子校出身ですが、通じる雰囲気があります。

最後、笑えるくらいの大団円を迎えます。
いや、良いと思う。近頃、なかったもんなぁ。
こんなに丸くまとまって終わるミステリーって。

(あ。そもそもミステリーを近頃読んでないか)

ミステリとしても、ダメダメなわけではありません。
何より村社会的な人間模様が面白いですし。
犯人は誰だ? 動機は何だ? と頭を悩まされます。
ちゃんと、怪しいヒトも沢山出て来ますし。

(2017.9.10)
大きな期待をせずに読めば、かなり満足できるミステリーかと。
少女たちがよく描けているところが何より高ポイント。
微笑ましいけど、なかなか辛口女子というところが良いです。

サム・ホーソーンの事件簿〈1〉  エドワード・D. ホック

4488201024
創元推理文庫
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牧歌的な不可能犯罪の思い出。

老医師サム先生が、若かりし頃に遭遇した事件の昔話をする。
まぁまぁ、まったりのんびりな推理小説です。

犯罪の謎自体に興味がないと、ちょっと眠くなるかも。
ボチボチと田舎町の風情を味わいながら読むべし。
ええ。古き良き時代のアメリカの村の雰囲気、悪くないです。

だけどなぁ。やはり。
私、ミステリーだったらイギリスが舞台の方が好きだな。
(段々クセになる味かもしれないなぁと思いつつ)

(2016.9.22)
ミステリに関しては、完全に自分の好み優先なので。
作品の出来不出来よりも、世界観が合うか合わないかが重要。
なので、私はこのシリーズは読まないです。
不可能犯罪を推理するのが好きな人にはお勧め。


屍衣の流行  マージェリー・アリンガム

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世界探偵小説全集 (40)
国書刊行会
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 六十歳にして、彼女は小柄で色黒の不器量な女性となっていたが、黒髪は絹のようで、胸を張り、見にまとうものすべてを優雅に着こなす才能を備えていた。キャンピオン氏が昼食を終えて入ってきた時、彼女は書き物机に向かって、風変わりなペンで大きな判読できない文字を書いていたが、目を細めて心からの歓迎を示して挨拶した。

 レックスはとても目立っていた。怒りは忘れていたが、常に適度な人当たりの良さで抑制された、あふれんばかりのはにかみを時折覗かせては、いまだに哀感を漂わせていた。

 彼は上品さを保ちながら別れるという気詰まりなことを一同の魅力的な経験に変え、好感を与えた上に、この会見では自分の要望を通しただけなのに、どういうわけか話し合いができて良かったという印象を与えて立ち去った。

引用したのは、いずれも物語(本書はミステリです)の進行上、重要とはいえない通りすがりの人物の描写。しかし、思わず書き留めておきたくなるような、魅力的な人物像ではありませんか?

アリンガムの小説の楽しさは何よりもここココ。悪女系の女優のジョージアという人が登場しますが、緻密に描かれた彼女の魅力ときたら! 私がこのタイプの女性(演技的な日常を送るザ・女)に感服するなんて、前代未聞。人物の造型が繊細すぎて、物語の進行を妨げている向きもありますが、ひたすら浸って酔いしれてしまいます。

前作では、主人公のキャンピオンが地味過ぎると苦言を述べましたが、本作ではそれなりに(!)個性を発揮しています。何より、彼の婚約者のアマンダが私は好き。彼の妹も好きにはなれませんが、目を惹く人物です。

作者がイギリスの貴族階級であるからこそ書けた人物ですね、いずれも。アガサ・クリスティもアリンガムの才能を認めていたというのは嘘ではないのでしょう。

ただ、推理小説としてイマイチ。頑張ってはるんですけどもね(なぜ急に大阪弁?)、すきっと読者を納得させたり唸らせたりする力量はないねん。だから日本で評価が低いんやろなぁ。

英国らしさが染み渡っている作風がなんと言っても最大の魅力で。これで作品の瑕疵が帳消しになるくらい。まぁ正直言えばあとちょっと物語作りの方の才能があれば・・・と望みたくなりますが。

熱烈なアングロファイル(英国ファン)のM・グライムズがクリスティーと並んで愛読していたというのは納得。ちなみに、M・グライムズはアメリカ人のミステリ作家ですが、英国を舞台としたシリーズもののミステリを執筆しています。なぜ絶版なの!?と怒り狂うくらいに私が好きな作家です。

あ。怒り狂わんでも良かった。復刻してるやん!
「禍いの荷を負う男」亭の殺人 (文春文庫 )「禍いの荷を負う男」亭の殺人 (文春文庫 )
マーサ・グライムズ
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何が言いたいのかわからなくなって来ましたが、要は英国ファンの人にはお勧めということ。私も英国風味(もはや人生に不可欠)が不足した時の補給用リストに著者を加えておくことにします。

(2016.7.23)
本、物、映画、絵画・・・と洋モノ好きです。国籍は問わないはずですが、高率でイギリス物が好みにフィットします。イギリスというよりも「英国」と呼びたくなるような。最近はその好みに逆らわないことにしたおかげで、部屋中にイギリス製品が増殖しています。
で。余談の余談ですが、英国らしさには少なからず「しつこさ」が重要で。あ、綺麗な言葉に直せば「重厚」とも言えますけれど。私はどうやら若干の「くどさ」「しつこさ」を好むようです。

窓辺の老人 (キャンピオン氏の事件簿1)   マージェリー・アリンガム

448821004X
創元推理文庫
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クリスティ、セイヤーズ、マーシュと並び、英国四大女流ミステリ作家に数えられるそうです・・・著者のアリンガム。私は本作が初読。

この時代の英国の雰囲気はやはり、ミステリにぴったり! その点は大満足。ただ、主人公がいかんせん、地味。うー、もうちょっと華が欲しい。手柄を横取りしていく警視の存在もちょっと、おきまり過ぎるなぁ。

とか文句言いつつ、心地よく読み終えました。ちなみに7つの短篇が納められています。

(2016.6.15)
  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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