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壁のしみ―短編集    ヴァージニア・ウルフ

Posted by 彩月氷香 on 22.2014 ヴァージニア・ウルフ   0 comments   0 trackback
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みすず書房
Amwazon

決して読みやすくはないのですけれど。
ひとたび、波に乗るととても心地よい。
そんな読み心地が大好きな、お気に入りの作家。

著者の作品を読んでいると、
静かに弾ける光の泡を眺めている気分になります。

穏やかに、きらめいている・・・とでも言うのか。
読んでいる、今のこの時間が美しく思えるというか。

(2014.5.22)

ダロウェイ夫人  ヴァージニア・ウルフ  

Posted by 彩月氷香 on 06.2010 ヴァージニア・ウルフ   0 comments   0 trackback
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みすず書房
Amazon

とりとめのない、意識の流れが、きらめく光の粒を思わせる。
登場人物たちの心境が、その視点の移る瞬間を見逃すほどに素早く、
くるくると手巾を翻すように軽やかに切り替わって描かれる。

慣れないうちは、少し目と脳がチカチカとするかもしれない。
きらびやかで濃密で、自在に踊るような文章が切れ目なく続く。
それなのに、描かれている場面は、静かなのだ。

沈黙のなかに、どれほど多くの「語られぬ」会話が存在するかを、
息苦しいほどに、伝えてくる、この、独特な小説話法。

ほんとうのところ、とても読みづらい。一度にたくさん読めない。
毎日少しずつ読み、半月ばかりかけて読み終えた。

数か月前に、ウルフの「燈台へ」という作品を読んだが、
そちらの方が、同じ手法を用いているがより洗練されていて、
今思えば、遥かに整理された構成で、読みやすかった。

さもありなん、この作品はウルフが苦心惨憺して、
この話法をつかみ取った最初の作品なのだ。
あとがきによると、彼女はこの作品を当初『時間』と呼び、
日記で、この作品の執筆を「戦い」と評していたという。

その戦いの成果は、見事なもの。
私は読んでいて、印象派の絵画を想った。

描かれる対象の輪郭は曖昧で、
観ているこちらの視線を幻惑するような光が、
画面をはみ出すほどに豊かに彩っているのに、
くっきりと、目に見えない事物のいちばん大切な本質を捉え、
美しくも確かな存在感で心に訴えかけてくる、その輝く芯の強さ。

そして、敢えて描かれていない闇の、気の遠くなるような深淵が
光の背後にひっそりと、不思議な優しさを湛えて広がっている・・・。

(2010.7.31)

燈台へ  ヴァージニア・ウルフ              

Posted by 彩月氷香 on 06.2010 ヴァージニア・ウルフ   0 comments   0 trackback
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みすず書房
Amazon

スコットランドの北の果てで、夏休みを過ごす一家。
哲学者の夫、美人で世話好きな妻、8人の子どもたち。
ひとくせある、客人たち。

こう書くと、心温まる一家の物語のようだが、
作者がメイ・サートンであるからには、そんなものとはほど遠い。

登場人物それぞれの思考を独白の形で、細やかに描写していく。
とりとめもなく延々と続く「つぶやき」の羅列に最初は戸惑った。

正直とても読みづらいスタイルで、苛立ちすら覚える。
それでも読み続けるうちに、一見とりとめない文章が
隙なく計算されていることに気付かされる。

すぐ近くにいる愛する人の心でも、人間は理解できない。
思いは常にすれ違い、すれ違っていても、愛情が通じている。

思いも一点には定まらず、漂い、舞いあがり、沈み、霧散する。
一度に幾つもの考えが、頭の中を交錯する。
思考に固まる前の、人の頭のなかにある断片的な思い、ひらめき、感情。

とらえどころのない一瞬をつかみとる、サートンの力量。
物思いにふける習慣のある人間なら身に覚えのあるであろう、
世界と自分の溶け合う至福とその儚さを、見事に表現している。

紛れもない、傑作。

(2010.2.14)




  

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とにかく本が好き
読書感想がメインですが
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