Loading…
 

オラクル・ナイト  ポール・オースター

4105217143
新潮社
Amazon

私の心に、ずっとひっかかっている影に重なって。
美しくも陰鬱な、遠くから響いてくる音色のような。

不協和音であってしかるべき音の連なりが、
豊かに、リズミカルに調和する。

綻びが作る穴さえも。
そこから見える景色が見る者を魅了する。

何層にも重ねた物語の調和に、うっとりしながら。
不吉な予言が成就する過程を見つめていた。

すぐに。見えてしまったのだ・・・結末が。
何が過去におこり、そして進行中なのかが。

その予測が外れて欲しいと思いながら、読み進んだけれど。
恐ろしいほど、全てが的中して・・・胸に刺さった。

呆気ないほど素早く、きれいに閉じた結末。
失ったものの痛みより、「救い」の光を強く感じる。

けれど。それが、何故だか残念で。
ホッと安堵の息をつきながらも、小さな恨みが生じた。
もっと残酷な終焉を、どこかで期待していたのだろうか?

過去の自分の、羨望と妬みの、呆れる程の息の長さ。しつこさ。

それも、思い返す場面の数々の輝きの中に、
いつのまにか淡雪のように、すーっと溶けて消えた。

(2012.2.28)
誕生日の日に読みました。ポール・オースターは大好きな作家。
本作の前に読んだ『幻影の書』は、私が今まで読んだあらゆる本の中でも、
とびきりの作品・・・だと思っているくらいに格別な存在。

正直、この本は少し、弱い。物語の大筋となるストーリーが。
重ね合わされている小さな物語は粒ぞろいなのだけれど・・・
さらに、その中心の「ありふれた物語」は、私にも身近だった。

細部の描写にはいつもながら、ため息をつかずにはいられない。
物語の中に物語を描く手法の、艶やかな静謐さにも。

幻影の書
幻影の書ポール・オースター 柴田 元幸

新潮社



Amazonで詳しく見る

ポール・オースターの作品はどれも良いのですが。
この作品には感想が書けないくらいに、心を動かされました。


最後の物たちの国で  ポール・オースター

4560071314
白水Uブックス

Amazon


ポール・オースターの魅力って何だろう。
悲しくも美しい寓話。
この本を訳している柴田元幸さんが私は好き。
翻訳するものを、ちゃんと選んでおられる方。

(2005.6.8)

  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

<別館のご案内>
Instagram
99%、花の写真です。

moleskine絵日記
ちいさな絵日記。

表示中の記事

カテゴリ

最新コメント

データ取得中...

月別アーカイブ

***