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棲月 隠蔽捜査7  今野 敏

2018.02.16 今野 敏   comments 0
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竜崎中年の成長物語。

主人公の竜崎は自信家で石頭で超自己流かつ正義派で。
これだけの要素が揃えばふつう、勘違い野郎か、無能だ。
もしくは有能ではあっても、いずれ自滅する。

そうとは見えなかったけれど。
竜崎は自滅したかもしれなかったんだと今、思う。

長いモノには決して巻かれない彼は。
自分のやり方、考え方が正しいという揺るがぬ自信がある。

正論だけど、それを言っちゃあ、駄目でしょう!
あああああ、そこはテキトーに誤摩化しときましょうよ!

・・・と部外者は余計な心配をするわけですが。
本人はビクともしてないし。ちゃんと通るんですよね、主張が。

彼の信念が通用するのは、読者にとって誠に痛快ですが。
実際にはありえない、夢物語でしょう。

その信念というのは。以下のとおり。

警察官は国民のために働いている。
立場に関係なく自分の能力を最大限発揮するべきだ。
そのためにも常に最も合理的な手段を選んで仕事すべきだ。

・・・という、誠にシンプルなもの。
でもそうはいかないのが世の中ってもんで。

しかし、竜崎にはむしろそのことが「わからない」。
だから、「変人」と呼ばれるわけです。

凡人が「負け」てしまうこと、「曲げ」てしまうこと。
それらと正々堂々勝負して勝つ。それが竜崎という人。
改革者としてのヘンな力みもなく、スタスタ無駄な事を変えていく。

だけど有能過ぎるがゆえに、彼にも「わからない」ことはある。

彼が何がわからないかをひとことで言えば。
「他人の心」・・・とくに「凡人の心」
本人が否定しようとも、彼は一種の「超人」ですから。

それが。大森署の署長を勤めているうちに。
いつの間にか少しずつ、少しずつ、わかってきた。

そのことを本人は「俺は駄目になった」「感傷的になった」
・・・となぜか気に病んだりしていますが。
周囲の指摘通り、彼は「学んだ」「成長した」のですよね。

そして。その学びの成果を抱いて。
いよいよ、次のステージへと進みます。

うん。そうか。そうだったんだ。
これは、竜崎という変人中年の成長物語だったんだ。
だから私はこのシリーズが好きなんだ。

(2018.2.12)
ミステリーとしては御都合主義だと言われても仕方ない。
ストーリーに緊張感もないし。予定調和的だし。
犯罪のタイプを現代的に仕立ててはあるものの、底が薄い。
事件よりも人間ドラマを楽しむのが正解でしょうか。
その点も良くも悪くも安定し過ぎている観も否めません。

去就  隠蔽捜査6  今野 敏

2017.02.07 今野 敏   comments 2
4103002581
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今後の展開に期待。竜崎、次回は異動?

正直、マンネリ感は否めませんね。
それでも楽しく読みましたよ。
私、好きな物に限っては「マンネリ」可なので。

主人公の竜崎がいつも通りの「変人」であればいい。
「変」じゃなくて、実は頗る「まっとう」なんだけど。
それが通用しない社会を「当然」と諦めて。
泣き泣き不満だらけで生きている凡人には眩しくて。

ああ。こんな上司がいたらサイコーだな!
同僚だったら、泣けるかもしれない。
(引き比べると自分が惨めで・・・)

まぁ、ともかく。
竜崎さんは「デキる人」です。
いつもながら、あっぱれですね。

でも。彼には「署長」というポストは。
そろそろ「役不足」になりつつあります・・・

もう、どんな事件・事故・災難があっても。
完璧に対処出来ちゃうでしょう。

なので。きっと。
シリーズの次回は間違いなく「異動」です。
くっきりと作中にも臭わされております。

何より、確かな証拠は。
我が家は毎日新聞を購読してるのですが。
今、夕刊で今野敏さんの連載をやってまして。

変わり種の警察ものっぽいんですが。
そして、正直、ちっとも面白くないんですが。
なんと、私、読むのを断念したんですが(!)

その中に「前署長が非常に優秀」という記述が。
竜崎氏の名前は出ませんでしたが・・・
その「署」が大森署なんですよ。

間違いないでしょ。絶対、竜崎でしょう!
スピンオフといった作品ではありませんが。
きっと世界はリンクしてるんですよね。

ふふっ。

次回作が楽しみだ。
頼むから、つまらない女性を登場させないでね。

今野敏さんの描く女性の薄っぺらさには辟易してます。
ファンですが、女性像のリアリティのなさには毎回、絶句。

そうそう、夕刊に連載中の小説にも女性署長が登場。
もうこの美人署長がダメ過ぎて、読めないんですよ・・・

以下、毎度毎度の「竜崎節」から幾つか引用。

誰かの都合に合わせるのではなく、いかに本来の目的を効率よく達成できるかを考えるのが本当の合理化だ。

みんな余計なことを考え過ぎて、自分で自分を縛ってしまう。やることと考えることを自分で増やしているだけだ。

一般に、考え過ぎという場合は、たいてい、考えが足りないときなんだ。

えっと。2番目と3番目、矛盾してるようですが。
いや、どっちもありますよね。
人間、考えなくていいところで考えて。
考えなきゃいけないところで考えない。
うわぁー。耳が痛い。

(2017.1.18)
行動する勇気が出ない時は。ずーっと考え続け、
本当は出せているはずの答えを避けていて。
「精一杯考えた」つもりの時は、
初めから「無理」と思い込み、真剣に考えていない。
シンプルに誠実に「考える」のは難しいのです。

自覚 隠蔽捜査5.5  今野 敏

2015.08.08 今野 敏   comments 0
4103002573

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私が女性だったら、それを最大限に利用するよ。それだけじゃない。キャリアの立場も利用するし、今なら、署長という立場も利用する。利用できるものは、何だって利用する。それが、人の特質というものだ。

訓練の目的は、疑似体験を通して新たな能力を身につけることだ。そして、先ほども言ったが、訓練は、自分自身のためにやるものだ。だから、人それぞれに成果は異なる。一つだけ言えるのは、体力を使うより頭を使うほうが、ずっと大切だということだ。頭を使ってこそのキャリアであり、体力を補うために頭を働かせてこその女性なのではないのか?

ある人に言われました。足をひっぱるとか、お荷物だとかは考える必要がない。訓練というのは、自分自身のためにやるものだ、と。

 今のマスコミは、常に悪者を探している。本当の悪者ではなく、さまざまな局面で悪役になる存在を探しているのだ。(中略)それを叩くことで、自分たちの正当性を強調しようとしている。それが、醜いことだと本人たちは気づいていないのだ。

「自覚」というタイトルに呼応しているような文章。
なんとなく、励まされたので引用してみました。

えーっと。内容は忘れました(笑)
とりあえず、短編集です。
いわゆるスピンオフ作品です。
このシリーズのファンであれば楽しめます。

周囲の人々から見た竜崎。
やっぱり変人で。やっぱり凄い。
それでやっぱりカッコいい。

以上!

(2015.5.6)
本編も早く次作が出ないかなー。
そろそろマンネリ感もあるのかもだけど。
私、竜崎さんの言動を見てるだけで元気でるんです。

転迷: 隠蔽捜査4    今野 敏

2014.10.11 今野 敏   comments 0
4101321590
新潮文庫
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この本、以前に読んでました。
それに気付かずに最後まで読んだ私・・・(汗)
感想はこちらで、どうぞ。



http://raffiner.blog70.fc2.com/blog-entry-1505.html

(2014.6.20)
ちなみに。二度目でも面白かったです。

転迷―隠蔽捜査〈4〉  今野 敏

2012.05.29 今野 敏   comments 0
4103002557
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このシリーズ、大好きなんです。
しつこいようですが、主人公の竜崎氏がツボ。
この、偏屈で妙な正義感に溢れたオジサンの言動、
ほんとにいつまで経っても飽きません。

共感できるか?と言えば。
自分自身に彼と共通する要素が皆無で。
憧れるというには、颯爽とした格好良さが無くて。

でもね。でもね。こういう風に生きられたらいいなと思う。

ガチガチの上下関係と縄張り意識で凝り固まった組織の中で。
この人、なんでこんなに自由なんだろうなぁと感心する。
それがよくある一匹狼なんかじゃなくて。
出世街道からは脱落しつつも、バリバリのキャリアだし。

官僚である自分に誇りを持てちゃうという人なのだ。
一方でヘンなプライドはなく、階級にビビることもない。

誰もが難問、行き詰まり、不可能、と思う局面で。
「なぜだ?」とケロっとしている彼を見てると元気が出てくる。

できないことをやろうとするからうろたえるのだ。
できることをちゃんとやればいいだけだ。

・・・というのが。彼の言い分ですけれど。
いや、だからね。何が出来ることで出来ないことか見失うんですって。
最優先事項から順に、と思ってもどれもが重要に思えるんですってば。

しかし。彼は悩まない。いや。悩むことはあっても一瞬で解消する。
今考えてもわからないことは考えない。ああ・・・見習いたい。

こういう人が傍にいたら。一日中、口をあんぐり開けっ放しかも。
筋は通ってる・・・けれど。通り過ぎてて唖然とする。
えっと。そこには大きな山が立ちはだかってた筈ですが。
あの・・・あのぅ・・・いつの間にトンネルを開通させたんですか?

彼の悪友、否、腐れ縁の伊丹氏も、段々強くなって来た感じ。
竜崎氏と付き合ってるうちに鍛えられて来たかな。

彼の家族もいいですね。奥さんと息子さんと娘さん。
警察内のゴタゴタに終止していそうに見えて実は、家族も重要なテーマ。
家庭を顧みない頑固親父かと思いきや、いつも家族に振り回されてて。

この強烈な父のキャラに負けてない子供たち、応援しちゃうな。
しかし何と言っても、妻の眼力と胆力も特筆もので。
竜崎夫婦の会話の場面はいつも笑えてしまいます。

(2012.5.11)
今野敏氏の小説は読後感の爽やかさが特徴で。
それは長所であると同時に弱点にもなっていて。
「爽やか過ぎる」という残念な印象を残す事が多いです。
このシリーズに関しては、その懸念がありません。
爽やかには違いないけれど、ちゃんと胸に収まります。



  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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