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ブルックリン   コルム・トビーン

Posted by 彩月氷香 on 14.2016 その他 翻訳文学   0 comments   0 trackback
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白水社
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一目惚れしたタイトル。

この本に出会った経緯など語ってみましょう。
私はある映画を観たいと思っておりました。
公開前の数ヶ月前から「これはきっと好き!」と予感して。
早々とスケジュール帳にまで書き込んでいたのです。

が。折り悪く、上映している頃は本人も家族も体調が悪く。
最後のチャンスという休日もぐったりと家で伸びていました。

うー、やっぱり行きたい。他の場所で違う時にやってる?と。
京都や神戸の映画館を調べてみました。
結果、京都か神戸は時期が違うので運が良ければ観れると判明。

で、なぜか京都で上映中の別の映画が目に留り。
「なんか、これ、私、すごく好きそう。絶対好きだ!」と。
一目惚れ、でした。それが「ブルックリン」。

でも。日程的に、観に行くのは不可能でした。
妙に悔しく落ち込んだところで、原作があると知る。
きっと、原作もいいに違いない!と確信し。
映画が無理なら、せめて、原作を読むわ!!!と。

さて、ここからが本書の感想。

若い女の子の心理が緻密に描かれている。
賢く、どちらかというと老成しており、感情の起伏は穏やか。
観察力が高く、自分自身を客観視することもできる主人公。
その目を通して描かれる景色は妙に見慣れたものに感じられる。

嬉しくはない「親しさ」。
都会の風景は国や時代が異なっても普遍的であるということなのか、
居場所がないと感じている者の目に映る景色は似るということなのか。

アイーリッシュ(主人公)の物事の感じ方、受け止め方は、
まるで自分のもののようにしっくりと馴染む。
(私のほうが彼女よりも愚かで感傷的ではあるけれど)

自分の手には届かぬものがあると知っている者。
そのことに苦痛はあるけれど、それを諦めて生きると決めた者。
そして「諦める」ことが「負け」とは思わない者。
閉じられた可能性を思い出の中に封印して生きていく者。

そう、訳者さんもあとがきに書いておられたが、
極めて「日本的」とも言える感性が描き出されている。

「読んで良かった!」と、ぎゅっと心を掴まれる小説でした。

(2016.11.23)
観たかった映画とは「シーモアさんと、大人のための人生入門」で。
後日、無事に観ることができました。予感通り、いい映画でした。
ああ。「ブルックリン」も観たかった!!!

ロスチャイルドのバイオリン  アントン P. チェーホフ イリーナ・ザトゥロフスカヤ

Posted by 彩月氷香 on 25.2016 その他 翻訳文学   0 comments   0 trackback
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(チェーホフ・コレクション)
未知谷
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心を覗いて絵にしたなら・・・?

チェーホフの短篇の物哀しさと。
しっくりと馴染む挿絵。

絵を添えた、というのではなく。
一体化して溶け合っているよう。

物語の中のバイオリンの音と絵とが響き合う。

ああ、いいな。いい仕事だな。
チェーホフの書いた物語も。
イリーナ・ザトゥロフスカヤの絵も。

(2016.9.4)

イギリスだより―カレル・チャペック旅行記コレクション   カレル・チャペック

Posted by 彩月氷香 on 28.2016 その他 翻訳文学   0 comments   0 trackback
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ちくま文庫
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地味ながらにハイセンス

風刺の目で見た、旅先・・・イギリス。
チャペックですねぇ。この感じ。

皮肉ってみても、愛がある。
イギリスに対しても、自国チェコに対しても。

チャペック的なシニカルさは、
よくよく見ると、優しさに通じますね。

地味な作品ではありますが、好きです。
挿絵がまた、なんとも魅力的。

ああ。センスがあるなぁ。絵も文章も。
力んでないけれど、想いは詰まっていて。

(2016.7.19)
「園芸家12カ月」を読みかえしたくなりました。

猫とともに去りぬ  ジャンニ・ロダーリ

Posted by 彩月氷香 on 17.2016 その他 翻訳文学   0 comments   0 trackback
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光文社古典新訳文庫
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想像していたより、トンでもない短編集でした!
寓話? 童話? 大人向けで辛口なのですけれど。
突拍子もなく、オチもなく、辻褄も合わず。

行き当たりばったりというか、自由奔放というか。
それが大人の世界でのそれではないんです。
もっと子供っぽくて。「思いつき」という感じで。
それだけに残酷でもあるし、純粋でもある。

実を言うと、私。割と根が真面目で頭が固いので。
えっ? そんな適当でいいんですか? ええっ?
・・・と、ストーリー展開の自由さに付いていけず。
おいてきぼりを食らって迷子になりかけました。

でも、何作か読んでいるうちに。
細かいことは気にせずに話にのっていけるようになり。
そうするとですね。心と頭のコリが取れる感じで。
ええ、とても気持ちが良いです。

毒があるといえば、思いっきりありますけれど。
なんか、お話が可愛かったりして。
うーん。何だろうな。感想が難しいんですが・・・

私、「社長と会計係」って作品が好きです。
あ。「マンブレッティ社長ご自慢の庭」も良い!
どちらもマンブレッティ社長が登場するんですけれど。
とてつもなく、マヌケで横暴で、哀れなんです。

で、ですね。
今、この人そっくりな上司の元で働いていたりするのですよ。

いやー。ほんと、いるのか?こんな人?っていう・・・
全面的にヒド過ぎて、もはや漫画の世界。
真面目に受け止めずに面白がらないと、働けません。

そうそう。
受け止め難い現実は改善するもよし、逃げるもよしですが。
どちらもなかなか実行し難い場合が多いので。
ユーモアに無理矢理転換するという技が有効ですね。

まぁそれも。簡単かっていうと。
センスがないと出来ない芸当なわけですけれど。

(2016.6.26)
現実に疲れ果てている人におすすめです!(笑)

マイケル・K  J.M.クッツェー

Posted by 彩月氷香 on 01.2016 その他 翻訳文学   0 comments   0 trackback
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岩波文庫
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なんていうか。「濃い」なぁ。
読み心地は私にとっては、あまり良くなかった。

だけど。何か。
ずっと「残る」ものがある。

不条理な状況を描く小説が私はとても苦手で。
それは読みながら苦しくて苦しくてならないからで。
ただ、それが心地よいと感じる人も少なくないらしく。

そういう私も、時々、あまりの不条理さが反転して、
何やら癒し効果のある揺らぎの中に漂うことがある。

どうにもならなくて。
どうにも納得はいかなくて。
どうにも救いがなくて。
どうにも道が見えなくて。

それで物語も何やらちっとも進んでいかなくて。
ぐるぐるぐるぐるまわり続けていて。

しかし、「酔い」の中に「冴え」のある作品だ。

好きか嫌いかで言えば、好きではない。
嫌いでもない。
普通でもない。
いや、ちょっと厭かもしれない。

だけど。この「濃度」がなんとも言えない。
心に響くというのとは違うのだけれど、
妙に「充足感」を与えてくれる。

(2016.7.4)
また、読んでみたいと思う、著者の他の作品も。
  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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