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オーウェル評論集  ジョージ・オーウェル

4003226216
岩波文庫
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評論集って、こんなに面白かった!?

とにかく。面白くて。
オーウェルの小説にはさほど魅力を感じなかったのに。
なんだ、なんだ、この評論集の楽しさは。

強い。優しい。明確。
読んでいる間、頭がぐるぐる回った。
回転の速いとは言えない私の頭が猛スピードで。

なんだかね。なんだかね。
脳が刺激されるわけなのです。

オーウェルの意見に賛成だとか、反対だとか。
納得するとか、しないとか。
そういうのを超えたところにある文章です。

カッコいい!

こう言える、こう書ける、ここに気づける。
鋭いとは言えるけれど、才気走ってるわけではない。

対象に接しているのではなく、深く切り込んでいる。
読みながらずーっと。ずーっっと。唸ってました。

個人的には。
「チャールズ・ディケンズ」が面白かった。
自称英国文学好きの私なのに、好きではないディケンズ。
それが何故なのかが、初めてわかりかけた。

わかった、とまでは言いません。
すごく大きなヒントを貰いました。

「好きになれない」ものには、当然理由がある。
その理由が明確でない時こそ、それは重大な理由で。
ええ。自分の性分が隠し持っている弱点もしくは特徴。

この話は長くなるので割愛させて頂きますが。

キーワードは「階級社会」です。
そもそも。私の好きな文学の背景には「階級社会」がある。
その存在の是非は問題ではなく、それが「在る」事実が問題。

その「在る」ものをどう判断し、どのように対峙するか。

私はディケンズの立ち位置に違和感を持っているのですね。
欺瞞を感じとった、と言ってもいい。
ただそれは「気配」でしかなく、証明は出来ません。

オーウェルの評論を読むと。
目から鱗が降るくらいの勢いで、そのことがわかりました。

でもね。オーウェルはどの評論でも。
すごく公平で。自分に都合の良い書き方をしていない。
だから読者も、一方的な考え方から一歩引いて物事を観れる。

読者に「可能性」を持たせてくれる評論です。
様々な方向から、様々なことを考えさせてくれる。

ああ。「考える」って。こんなにワクワクするものだったっけ。

取上げられている内容と。全然別のところに思考が飛ぶことも多く。
飛んだだけでは足りずに、ふらふら彷徨っていくのですが。
その散歩が楽しくてならない・・・そんな評論集でした。

政治的な方面は。正直、私の得意分野でなく。
やはり。文学に関することの方が頭が働くのは致し方なく。

でも。また。読もう。何度でも読もう。

(2017.9.22)
この本を薦めてくれた友に深く感謝。

シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々  ジェレミー・マーサー

4309205402
河出書房新社
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この店はノートルダムの別館だ。

・・・と。店主のジョージは言う。まさにそのとおり。

見知らぬ人には親切にしなさい。
彼らは変装した天使かもしれないから

お店の中のプレートにはこう書かれています。

ある条件を満たせば、無料宿泊もできる書店。その条件は。

・執筆計画がある
・1ページの自伝の提出
・1日1冊本を読む
・2時間書店の仕事を手伝う

要は作家の卵を支援しようということです。
書けずに何年も暮らす人もいるわけですが。
というより、そういう人が大半なわけですが。

ひょんなことで、この書店の住人となった著者。
あ。はい、この本、ノンフィクションなのですよ。
カナダで新聞社に勤めていたけれど犯罪に巻き込まれかけ、
逃げるように思いつきでパリに来たわけです。

ジョージをはじめ、登場人物(=書店の住人)が破天荒。
本だらけという点では魅惑の宿ですが、不潔さも相当なもの。
どうだろう、私だったら暮らせるかなぁ、無理かなぁ。

宿泊条件は満たせそうな気がするんですけど。
あ、でも、英語で書くとなると、無理だ。
英語もフランス語も、単語が少々わかる程度だし・・・

煌びやかな貧困というか。
貧しくても絢爛豪華というか。

日本にもこういう書店があったらな・・・とは。
本好きさんはみな、考えるのではないでしょうか。

この本屋さん、訪れてみたいな。

(2017.9.8)

海の百合   アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ

B000J8QRNC
河出書房新社
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ある青春のカタチ・・・極めてフランス的な。

うん。ま。主題がね。
そうだなぁ。この独特の叙情性というか。
若さの「ある」タイプの描き方は秀逸。

情景描写が繊細で。
もちろん心理描写も緻密なのだけれど。
クールなんだよね。

熱っぽいようで冷めている。

こういう恋愛観は私にはわからない、と。
昔だったら、言い切っただろうな。

今はまぁ。わからなくもないよ。
でも。基本的には元々持っているかいないかで。
私は持っていない感覚なのだろうと思う。

やはり。フランス的ですよね。

マルグリット・デュラスが好きな人なら、きっと好き。
あ。サガンもね。

ちなみに私はどちらも苦手です。
でも。マンディアルグは男性だからでしょうか。
かえって読みやすいし、馴染みやすいです。

何度か述べていますが、私は「これぞ女」的な人が苦手。
でも、そういう女性を男性が描いたら、まだ良いのです。

時々。私って、ほんと「女」が嫌いだなぁと思います。
男になりたいというわけでも全然ないけれど。
女性の「ある」面は大嫌いで、大嫌いで大嫌いで・・・

だから。女流作家も毛嫌いすることがありますね。
そして、嫌いな男性作家も、たぶん「女々しい」んです。

わー。女なのに、女性蔑視発言!?

いえいえ。女性らしい感性というものも好きですし。
その証拠に女性に似た感性を持つ男性も好きですよ。

あ。そっか。たぶん。女性のある面も嫌いだけれど。
男性のある面も嫌いだ。

それは結局、どこか似たものなのだと思う。

しかし、不思議と。
その苦手な「女性」の色はフランス人に濃く。
なのに苦手な「男性」の色はフランス人には薄く。

苦手の男性のとある面というのは女性の場合より明確でなくて。
それは結局、「他人事」として距離をおいて見れるせいなのか。

女性の「厭さ」は。分かり過ぎるのかもしれない。
分かるのだけれど、分からないのかもしれない。

ええ。やっぱりね。
ある種の「女らしさ」を私は決定的に欠いていると思います。
その欠けている部分を補いたいとも思わない。

むしろ、なくて良かったとほっとしているくらいで。
だから、女に生まれたのは間違いだった気もする。

男らしい性格の女性、と。
女らしい性格の男性、と。

そういえば、どっちも好きだけれど。

自分が前者であるとは、やはり言えない。
いえ。かなりの男らしさ・・・というよりも。
女性らしくなさ過ぎる面はありつつも。
それをうまく、キャラクターとして打ち出せてはいない。

私が男だったとしても。
女らしさがある男性にはなってしまうだろう。
でも。その方が。生きるのには都合が良い気もしてくる。

・・・て。
読書の感想を離れて、何の話をしてるんでしょうね。

私は自分の性別に、強くこだわりのある人が嫌いです。
あ。嫌いは言い過ぎだった。うん。苦手です。
それは。ある意味、「敵わない」と感じているからで。

脱帽、とも言い換えられるのです。

だけど。共感はしない。まったくしない。絶対しない。
そういう自分であることは変えられないものね。
残念なことなのかもしれないな、それは。

(2017.8.11)
そういえば。デュラスが評価されたのも。
主題以上に文章の魅力ではなかったでしょうか。
ざっくり言えば。その点でも。
デュラスが好きな人はマンディアルグも好きだと思う。
そして。良し悪しに関わりなく、私の感性には合わない。
けれど。歳をとったせいなのかどうなのか。
合う合わないは横に置いておいて。魅力は感じられた。
生きていくということは。
しょせん「自己正当化」の積み重ねとも言える部分があり。
その手段と方向性が異なるだけなのだと時折感じる。
違うグループに属する人も、根っこは同じで。
私にとってフランスの小説の大半は。
共通項の薄いグループに属しているのかもしれない。
その違いは育ちとか慣習によるものが大きい気もして。
案外「慣れ」で埋められてしまう差だという疑いもある。
いえ。でも。人格の「本質」も含まれているだろう。
「違和感」はそこからやってくる。
それは、正解でも不正解でも善否でも良否でもない。

チャリング・クロス街84番地  ヘレーン・ハンフ

4122011639
中公文庫
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書物を愛する人のための本

副題にある言葉がぴったりの内容ですね。
しかも。「書物」というのは内容だけではなくて。
蔵書として、姿の美しさということも少し含まれる。

古本屋と、本好き女性の書簡集、なわけですが。
まぁ・・・生き生きとした手紙で楽しい。
内容がほぼ本の話なので一層、面白い。

実はこの本5年ほど前に読み、感想も書いています。
本の内容はその記事を読んでもらえばわかるかと。
(手抜きだ! 絶対に手抜きだ!)

ヘレーン・ハンフ著「チャリング・クロス街84番地」の感想(2012年)

http://raffiner.blog70.fc2.com/blog-entry-1614.html

ヘレーンの読書の趣味、いいですね。
そして・・・この方、正直かなり我儘ですよね。
でも、本への愛が溢れているので許せちゃう。

我儘だけれど思いやりもたっぷりあり、ユーモアもあり。

でも・・・やっぱり。わがまま(笑)
かつ結構、マニアックなんじゃないでしょうか。

だからこそ、一見、朴念仁なフランクとの対話に味が出る。
イギリスらしさとアメリカらしさの対比がよく表れる。

きっと。この本、原書で読むと英語の勉強にいいだろうな。
・・・と思って、チェックしてみると。
同じことを考える人、結構たくさんいらっしゃるんですね。
この本を「英語の教科書」として、座右の銘にしているという方も。

次に読むときは原書で読みたいなぁ。

(2017.6.22)
「英語の本を読めるようになりたい」と長年思い続け。
何年かに一度奮起するものの、まもなく撃沈。
そんな私が、近頃ひょっこりみつけた、こちらのサイト。

45歳からのペーパーバック

いや〜。めっちゃ共感。納得。
今からでも英語で読書ができるようになる気がする。
うん。そうだ。読めるだけでいいんだし。
喋れなくても、聞き取れなくてもいいのだ。

決めた! 来年から取り組む!
そしていつか。この本も英語で読む!

(英語のペーパーバッグの感想がブログに混じる日が来るかも?)

ダッハウの仕立て師  メアリー・チェンバレン

4152096632

早川書房
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エイダの作ったドレスを見てみたい。

エイダというのは主人公です。
この子、野心家で、美人で、才覚もあって。
頭も決して悪くはないのだけれど・・・
少し、浅はかなのです。運も悪かった。

時代が違えば・・・とも思うし。
なんて不運な・・・と可哀想にもなるし。

貧しい少女のサクセスストーリーかと読み始めると。
どんどん、どんどん、辛くなって来ます。

闘い続けて、追い込まれて行く。
夢も希望も才能も。粉々に打ち砕かれて。

彼女には、何が足りなかったろう?
仕立ての卓越した腕、優れたファッションセンス。
その美しいものを生み出す才能を生かせなかったのは・・・

多分に、時代のせいではある。
でもその時代を実際には生き抜いた人もいる。
彼女には狡猾さがたぶん、足りなかった。

知恵は使えたけれど。
しょせん、素直で単純だった。

ひっそり埋もれてはいられない強さがあったから。
それが裏目に出て、悪いところで目立った。

後味が悪い、と感じる人が多いでしょう。
私はなぜか、不思議とそれがなかった。

共感できたからかもしれない。
可哀想というよりは、私も同じと思った。
ままならない、不条理すぎる現実を生きている。

賢ければ。
運が良ければ。
助けてくれる人がいれば。

そう。でも、それが「無い」人の方が多いはず。
いいえ。「足りない」のだろうか。

それでも、夢は見る。
叶わなかった夢は、破れたわけではない。

(2017.6.4)
  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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