Loading…
 

つきのふね  森絵都

2010.06.15 森 絵都   comments 0
4062092093
講談社
Amazon

キライになりたいのにキライになれず、
好きになっても良さそうなのに好きではなく、
つまらなかったかというとそうではなく、
じゃあ何がダメかといっても説明できないけれど、
良かった、とは絶対に言えない。

時々、私はそういう、どこにも着地できない、
居心地の悪い読後感に、悩まされる。

しばし、宙を凝視しながら自分の気持ちを
どこかわかりやすい処に収めようと心をさまよわせるが、
大抵は、じきに諦め、「苦手」という名の箱に押し込め、
バタン、とフタをする。

森絵都さんも、そんな一人。
過去に2冊ほど読み、「苦手」の箱に閉じ込めた作家。
ただ、蓋をするまでには至らなかった。

で。ある日ふと、彼女は児童文学も書いているのだから、
それはまた違うかも、読んでみてもいいかも、と思いついた。

前置きが長くなりましたが、そういうワケで、
本書「つきのふね」は児童書。
ひらがなのきれいなタイトルに、私は勝手に、
現代のおとぎ話的なものを想像して読み始めた。

当然、そんな訳なかった。これ、ほんとに児童書?
児童室から借りてきたけど、間違いじゃない?
と、内心、何度も問いながら読んだ。

なつかしい痛み、と言えば、甘い響きだけど、
この本が呼び覚ますのは、目の前が暗くなって視界がぐらつくような、
重く苦く濃く、しかし確かに身に覚えのある痛み。

「わかる」といより、「わかったからやめて」というのが近い。

たぶん。
私の苦手なものは、私が開けたくない扉の鍵のようなもの。
私は扉の中にあるものを薄々察していて、それを見たくないがため、
心にも頭にも霧をかけ、鍵は遠くに投げ捨てるのだ・・・

全く内容の紹介はしていませんが(ごめんなさい)、
自分自身がいやで植物になりたいと思ったり、
自分のなかのこわいものから逃げたり、
そんな自分の弱さに絶望して泣いたり、
それでも大切なものを守りたいと、
そう思っていた思春期を過ごした全ての人に、
ぜひ読んでもらいたい本です。

心に残る、噛みしめたい言葉が幾つもある。
その中から、ひとつだけ。

「人より壊れやすい心にうまれついた人間は、それでも生きていくだけの強さも同時にうまれもってるもんなんだよ」

(2010.6.13)
  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

<別館のご案内>
Instagram
99%、花の写真です。

moleskine絵日記
ちいさな絵日記。

表示中の記事

  • 森 絵都
2010年06月15日 (火)
つきのふね  森絵都

カテゴリ

最新コメント

データ取得中...

月別アーカイブ

***