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罪・万華鏡  佐々木丸美

Posted by 彩月氷香 on 31.2010 佐々木丸美   0 comments   0 trackback
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創元推理文庫
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「雪の断章」が良かったので、もう1冊。
正直、クセのある作家だと思う。し、この人もしかして、文章が下手?
時々、前後の文脈のねじれに頭を傾げた。

え、え、意味、わからない、ん?・・・ってストップすること幾度か。

この作品は、精神分析医(男前)とアシスタント(妙齢の女性)が活躍(?)する
連作短編集で、4編収録されている。

お客様・・・じゃなかった患者は、心を病んで凶行に走った少女。
その凶行に及ぶ原因を見つけだす、というお話。
原因は、いつも女の悪意。わかりやすいくらいに、嫌な女が登場。

ストーリーにも時々無理があり、ユーモアのセンスも微妙で笑えず、
キャラクターも古めかしい。つっこみどころ満載。

なのに私、きっとまた著者の本を読むだろうと思う。
少女のイヤなとこが、すこぶる上手く描かれている。
それが陰湿ではなくて、突き放されててドライな感じ。

なんか、へんな魅力。たぶん、上手くないのがいいのかも。
いやいや、ある意味では上手いんだけど、なんか不器用。
下手くそって思うところが味になってるような。

ふと思えば、今、上手な、器用な小説が増えすぎたのかな、と。
難がない小説って似てる。いつもどこかで読んだような気がしてしまう。

佐々木丸美は、ありそうだけど読んだことない感じ。
妙にひっかかっちゃうところに、個性を感じる。
万人にはオススメしないけど、私は好き。

(2010.5.22)
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獄中記  佐藤 優   

Posted by 彩月氷香 on 31.2010 佐藤 優   0 comments   0 trackback
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岩波書店
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感心するばかり。
佐藤氏の知性に圧倒される。
私も、こんな風に頭が良くなりたい!と思った。

文章の明晰さも魅力的。
勉強が楽しい、ってこういうことなんだろうなぁ、
かっこいい!

512日間の拘留生活で62冊ものノートを使ったって!
ドイツ語とチェコ語を勉強した、って!
読む本がまた、凄いのだ。

そんな彼が自分は凡人と言い切る。
溜息をつきながら読んだ。

哲学、神学、政治学。
・・・私が今から勉強しても身につかないだろうし、
懸命に勉強して多少理解できるようになったところで
何の役にたつやら、さっぱり疑問。

しかし、読んでいて、楽しかった。
頭をもっと使って生きたいと思った。
物を考えることは人間にとって最大の娯楽なのではないか?

勉強したくてたまらなくなってくるという、魔法のような本。
うっかり、獄中生活に憧れてしまいそうなぐらい、
著者の、獄中生活のなかで営まれる思索と学びの深さが神々しい。

私が彼と同じ本を読んでも、そこから汲み取れるものは、
彼の100分の1くらいかも・・・と絶望に襲われたりしつつ。

(2007.3.11)
近年(っていっても3年前だけど)読んだ本の中でも、
読後の興奮度の高さはナンバー1じゃないかと思う本。
読了後1週間くらい、ずっと脳内が異様に活性化していた。
思索のレベルが高すぎて、私の頭でついていけない部分もあるけれど、
とにかく、痺れます。


青嵐の譜  天野純希

Posted by 彩月氷香 on 30.2010 その他あ行の作家   0 comments   0 trackback
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集英社
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蒙古襲来、ってそういえば、歴史で習ったなぁ。

元軍が野蛮で残酷で。
二度の襲来があって。
神風(っていうか台風だよね?)が吹いて。

と、何故か絵巻の一部分なのか、怖いカオの武人の横顔。
・・・なんでだろうっていうくらい、鮮明に浮かんできた。

とりあえず、闘いの日々である。
血腥いシーンが続くので、ちょっと疲れた。
それを吹き飛ばす希望や明るさのある物語に仕上がってはいるんだけど、
やっぱり、私、こういうの苦手なんだろうな。

個人の殺人の生々しさの描写には耐えられるのに、
大量虐殺の場面には、心底、神経が疲弊してしまう。
人類が幾度も幾度も経験してきた現実なのだということを、
実感させられるからかもしれない。

幼馴染の男2人、女1人の成長物語でもある。
元寇のさなか、運命に翻弄されつつ、それぞれ、異なる道を歩んでゆく。

絵師を目指すも異国の軍で闘うはめになる男、
復讐の鬼となって闘い続ける男、
二人の無事を祈りながら旅の一座に加わって笛を吹く女。

何だかんだ言って、なかなか、充分に楽しめた。
エンターテイメント要素の強い、かといって、おふざけの過ぎない、
バランスの良い時代小説なんだと思う。

でも改めて再確認させられたのは、時代小説というジャンルは
私はやはり、性に合わないんだなぁと。

出来が良かった(→上から目線!)小説でも、いまいち満足しなくて、
なんでなんだろう、世界観に同化しづらいというのか・・・。
戦争が、大嫌いなんだね、早い話。
どうしても、闘いを美化している面があるでしょう?

それをも楽しめる自分がいて、
そういう、人間の娯楽の幅の広さが悲しいのかも。

いや、そんな道徳的な理屈を考えてるわけでもないんだけどな。
戦争がテーマのものが特に苦手かというとそうでもないんだし。
時代小説の中の戦闘、が苦手らしいの。
仕方ないよね。無理に好きになる必要もないよね。

時代小説と自分の心に横たわる溝、の訳を分析してみたい気もする。
何かあるんだよ、きっと。

(2010.5.26)

前田義子の迷わない強運哲学  前田義子

Posted by 彩月氷香 on 29.2010 自己啓発   0 comments   0 trackback
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小学館
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格好いい、女性よね。

彼女いわく、運は使えば使うほどヴァージョンアップする、と。
情報も溜め込まず、タイミングよく消費しよう、
運の鮮度を落とさないように、って。

私が他に、共感を覚えたところを要約してみると。
◆「まぁいいか」と思って選んだものは
「まぁいいか]というものしか与えてくれないし、感じさせてくれない。

◆物も情報も溢れているからこそ、
「気持ちのいい自分」になる感性が育つものを選ぶ

◆作り手が感じられるものを選ぶ

◆誰かが愛でて作ったものには愛がある。
 
◆安く売るために安く作られた安い服を着ていると、
 安い人間になってしまう。

◆「こうありたい」という美意識を持っていれば迷わない。

具体的な話の中に見えるこの人の「強さ」がステキ。
筋が通っている。メメしくない。

迷っていては強運になれない。・・・確かに。

(2007.6.5)
気付けば、やはり、迷いまくってる私なのだ。
そりゃ、強運なんてもんと無縁なワケだ。
読んだ直後は著者のパワフルさが伝染して元気が出るけど、
しばらくたてば、うだうだしてる自分が結局、居心地がいいと気がつく。
あーあ。でも強運になれなくても、潔くはなりたい。


しろい虹  石田 千

Posted by 彩月氷香 on 28.2010 石田 千   0 comments   0 trackback
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KKベストセラーズ
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淡々と、ゆっくり流れる時間。
こういう、暮らし方、理想かも。
優しく、静かな語り口。
しかし、時折、きらりと鋭く光る切り口が見える。

・・・心地よい淋しさに酔いながら、うっとりと読む。

何事も起きない日常を描く作家は、近年、とみに増えたと思う。
恋もなきゃ、事件もなきゃ、大仕事もない、天変地異もない。

いちおうは仕事して、ちょっとは友達づきあいもあって、
親兄弟とのささやかなしがらみくらいはあって。

難しくない、でも美味しそうな料理を作り、お酒を飲む。
散歩やら、小さな旅をし、お買い物に行く。
本を読んだり、音楽を聴く。

・・・ってさ。
まさに、私の日々の暮らしじゃないか!
そう感じる読者が、きっと案外たくさんいるんだろうな。
それにしても、この平坦さは、拍手したいくらい。

何気なく、力の抜けた、さらりとした文章。
一見、誰でも書けそうなんだけど、
確かに、これは著者のスタイルとして確立してる。
ありそうで、ない感じの、穏やかな新鮮さ。

読み終わったら、すっと、消えてしまう。
少し、弱いな、と正直思ったりはする。
しかし、読んでいる間に過ごすひとときが、
自分への小さな贈り物のような、そんな、本。

(2010.5.22)

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  • 2010年05月

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