『渇きの海』アーサー・C・クラーク
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月を舞台にした技術派SF。
ファンタジー風SFと違って骨格がしっかりしている。
静止した塵の海を航海するセレーネ号の姿は
想像するだけで、うっとりする眺めである。
塵に沈んでからの、救助する側とされる側のドラマ進行にも
退屈させられない。
人物も背景も鮮やかだし、緊迫感もあるし、科学的にも優れている。
SFを見直させてくれる秀作だ。
堀 晃の「月SFはいかに作られるか」という巻末の解説も楽しめた。
彼の言うところの「月SF三原則」
(①月に大気はない②月の重力は地球の1/3③月の裏側は地球から見えない)
をおさえた作品が幾つか紹介されていたので参考に写しておく。
光瀬龍「晴の海一九七九」
チャールズ・E・メイスン「大真空」
ジョン・W・キャンベルJr「月は地獄だ!」
アルジズ・バドリス「無頼の月」
月をテーマにしたSFの読み比べなんていうのもなかなか面白そうだ。
(1993.10.28)
SF、今、いちばん読んでいないジャンルかも。
私のSFブーム、いつのことだったろう。
少し、また読みたい気持ちもある。
ちまちましてない、壮大な設定の物語が好き。
科学要素が強くなると頭がついていかなくなるんで、
本格SFの方が好きと言いつつ、あまり向いてない気も・・・。
ふと疑問に思い、検索してみると、上記の月SFは全て絶版のような?
SFって何故かマイナーなんだよね、不当に冷遇されてる気がする。
でも、若い頃、そんなとこが好きだったりもした。
読んだものの大半が絶版になっているような気がするけど。
・・・一度、調べてみよう。
よし、これからも読むぞ、ということで、SFカテゴリ作ろっと。
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