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『空へ向かう花』  小路幸也

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講談社
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あまりにも、重すぎるものを背負ってしまった男の子。
自分をいちばん愛してくれるはずの親に虐げられた女の子。

12歳なんて。まだまだ、これからの年齢に。
すでに一生消えない傷を負い、過去につきまとわれて・・・。

この二人が、偶然出会い、また彼らを助ける大人が現れる。
もしかしたら。それは都合が良すぎる話かもしれない。
現実には、もっと救いのない状況があちこちで発生しているかもしれない。

それでも。子どもは、助けてあげなきゃいけない。
そう思える、大人がいなきゃいけない。
その大人だって、傷ついてはいるのだけれど・・・。

子どもたちは、でも、そう簡単に救われるわけではない。
けれど。幸せになることを信じられる力を、夢見る力を、
取り戻すことができたなら・・・未来に光は見える。

起きたことは変えられなくても、
そこから生きて行く道は、自分で選べる。
選べないほどに追い詰められている子どももいる・・・
だから絶対に、誰かが手を差し伸べてあげなきゃいけない。

それができる大人であれる自信が、実は無い。
たぶん、そういう大人が増えてしまった。
そして、救われない子どもたちがたくさん、たくさん・・・

願いは叶うということを、信じている。
願うことが必ず力になると、信じているさ。
今までも、これからも。

心にずっしりと響く、最後の一行。涙に滲む・・・。

(2010.11.23)
ちょっとね、バーネットの「秘密の花園」を思い出しました。
庭を作る、ということが、登場人物たちの心を癒すのです。


秋の京都 石清水八幡宮

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遠くに本殿を望む、参道からの眺め

   
先日、紅葉を見たいなぁと、京都の石清水八幡宮へ出かけた。
はっきり言って、別に紅葉の名所でも何でもない。
単に、人が多いところがイヤだったのと、京都の主な神社仏閣は、
ほぼ行き尽くしている彩月が、行ったことない場所だから、というチョイス。

紅葉、あるでしょ、そりゃ・・・てなアバウトさ。
だいたい、京都とはいえ、八幡市。大阪に近いところ。
「やはた」と読むとばかり思い込んでいたら、「やわた」だった。

近くの庭園もぶらぶらし、ランチにご馳走を食べて帰って来ました。

珍しく、写真を撮りまくったので、ちょっとアップしますね。
・・・読書記事の合間の箸休め的に、ポツリポツリ、と。
写真の才能は皆無な上、携帯カメラの撮影なので、お目汚しかもですが(汗)

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境内にて。一点に光さす紅葉を発見


予想的中。この紅葉シーズンに、信じがたいことに、観光客10人くらい。
静かで、厳かな空気が漂っていて心地よい。
たった3分だが、ケーブルに乗るのも楽しかった。

そして、この地は、「男山」というのだ。山頂に八幡宮は存在している。
徒然草の「仁和寺にある法師」にて登場するのだが、ご記憶な方おられます?
仁和寺の老僧が石清水に行きたいと思っていたのに、麓の神社だけ見て、
行ったつもりになったという・・・有名な、お話。

それにしても、なぜ、「男山」って名前の山なのか?わからん。

紅葉には一足早かったようなのだが、ご覧のとおり数本が真っ赤に色づき。
緑とのコントラストが映えて、綺麗だった。
彩月は、赤いのだらけじゃない方が好きなんです。
なので、大変、趣味にあう紅葉具合(?)で、大満足でした。

ゆきがやんだら  酒井駒子

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学研おはなし絵本
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ゆきがふった。ある日のできごと。
ぼくとおかあさんの、二人きりの一日。

酒井駒子さんの、大人かわいい、絵。
暗い、と言ってもいい渋い色調で、タッチも重いのに。

ぴょこん、ふわっ、てくてく・・・と、愛らしい擬音語が、
そして、文にはない「ねぇねぇ」「わーい」という会話が、
画面から、生き生きと立ち上ってくる・・・。

ポーズがいい。構図がいい。そこから、聞こえてくる気配。
たまらなく、愛くるしく、でもリアルで濃密な・・・。

きゅんと胸を突く可愛さが、深い淋しさを湛えてもいて。
ひとつひとつの場面に甦る、子どもの世界特有の、
キラキラときらめく、不安と歓喜の色彩と音色。

子どもが身近にいない私には、子どもにはこの絵本が、
どのように感じられるものなのかは、わからない。

大人は、きっと。
幼い時の、一日の大きさを、小さなことの重大さを、
その広さと、未知のものへの、ドキドキと不安を、
思い出して、なつかしくも温かな気持ちになるでしょう。

おかあさん。おとうさん。

そう、つぶやいてみたくなる。
おかあさんの服のすそをひっぱって甘えた、
その手の感触が、ふと思い出せそうな気がしてくる。

おとうさんの帰りを待つ気持ちのジリジリした、
期待のこもった小さな心細さも・・・。

(2010.11.20)
ビロードのうさぎ
マージェリィ・W. ビアンコ 酒井 駒子
4893094084酒井駒子さんと言えば、「ビロードのうさぎ」。
まるで洋書のような、洗練されたセンス、美しさ。
繊細で・・・表情やしぐさから伝わる一途な想いに、
胸がぎゅっと切なくなるような、珠玉の絵本。



曙光の街  今野 敏

2010.11.28 今野 敏   comments 4
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文春文庫
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ヤクザと、殺し屋と、警視庁外事課(公安)の職員。
あなたなら、誰に肩入れしますか~?
・・・ってな、話では、ございませんが。

ヤクザさんは暴力沙汰で球界追放された元プロ野球選手。
殺し屋さんは、日本人とロシア人のハーフで、元スパイ。
公安の兄ちゃんは、仕事はほどほどに、なイマドキの人。

ま、割と私は、等分に感情移入しつつ。
誰が死んでもいいよ~、という心構えで読んでおりました。
(お、おい。アンタ、人が死ぬのを期待しとるのか!?)

そーですねぇ。私、一匹狼的な、社会的に道を外れちゃった人の話、
結構好きですよ・・・ま、そこそこに暴力的ですね、約2名。
血腥さはそうでもなく、どん底具合も、そうでもないかな。

バランスのとれたエンターテイメントで、テンポよく、
かつダレることもなく、一気に読めます。
今野氏の人物描写は、すっきりしてていいですね。

特に何も文句はなくて。こんだけ楽しませてくれたらOK、ではあるが。
あ~正直言うと、ちょっと何か、物足りないかなぁ。

これは今野敏氏の長所なのかもだけど、読後感が爽やか過ぎる。
私、もうちょっと「救いがない」感じの方が好き・・・。
「救いがあり過ぎる」んだなぁ、これ、ひとことで言うと。

あと、今野さん、女性を描くの下手ねぇ。
ステレオタイプ過ぎるだろ~。ま、いいけどさ。許容範囲だけどさ。
残念な感じはするよね・・・。いっそ、登場させなきゃいいじゃん。
あ、ストーリー、成り立ちませんかね。

うーん。スケールが・・・って。
日本を舞台にスケールあるドンパチを描いたら、ウソ臭いしなぁ。
いいんだと思うよ、これで。匙加減は正しい。

あ~でも。殺し屋さん小説なら、海外物の方がいいな。
すみません、無茶な比較をして。そりゃ、あちらさんなら火器類が派手でも、
人がバタバタ死んでも、全然、違和感無いものね・・・。

A・J・クィネル とか、ご存じな方いらっしゃるかしら?
「燃える男」とか、「サンカルロの決闘」とか。大好きなんだよね~。
ハードで、かっこいい~。武器、すっげぇ。壮絶な復讐劇、素晴らしい!

うん、いい意味でも悪い意味でも優しいんだな、この小説。
猛烈に、「救いがない」小説とか読みたくなってきたじゃないか!
なんだろうなぁ・・・。せっかくなら!ちょっと落ち込むくらい、
ダークな部分があってくれた方が、読み甲斐があるじゃない?

って、これは、本でなく、私の性格に欠陥があるんでしょうか・・・。

(2010.11.25)
ビミョウに、お疲れ?な私、「燃える男」ならぬ「萌える男」、
「サンカルロの決闘」ならぬ「さん刈る炉のけっと」という、
それ、作ったんじゃんないの~くらいな打ち間違いをやらかし・・・
そのうち、無意識でトンデモない暴言を吐きかねん・・・要注意だ。
あ。この本。ほんとに、充分に面白くて、上出来な娯楽本ですよん。


見知らぬ明日(グイン・サーガ 130)  栗本 薫

2010.11.27 栗本 薫   comments 0
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早川文庫JA
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あーあ。終わっちゃった。

去年、刊行されていたのに、今まで読めなかった最終巻。
通常の半分の厚さの文庫・・・常に1巻400枚だったのに、
200枚で、力尽きたのだという・・・。

言葉が出ないなぁ。淋しいなぁ。

栗本女史の頭の中では、どこまで物語は進んでいたのだろう。
いかに、無念だったことだろう・・・。

死ぬ間際まで、心をきっと片時も離れることのなかった、
ライフワークを持っていたことは幸せだったのかもしれないな。
そう思わないと、やりきれない・・・56歳だなんて若過ぎた。

彼女の夫が語るように、他者がこの物語を引き継ぐ、ということは、
いずれ、もしかしたら実現するのかもしれない。
それが、いいとも悪いとも、今はどちらとも思えず・・・。

長年、続きが楽しみな作品を世に送り続けてくれたことに、
感謝しつつ、心よりご冥福をお祈りします。

(2010.11.22)
私は以前も書きましたが、イシュトヴァーンが大好きでした。
と言うと、意外だと言われるのですが・・・。
あと、彼の息子のスーティが可愛くて可愛くて・・・。
中島梓という評論家の顔も持ち、ミステリ作家でもあった著者。
(あ、BLもお書きでしたね。BLって語の無い時代に。SFも。伝奇小説も)
・・・ほぼ全作品を読んだ、と言えるくらい若かりし頃、読んでました。
「レダ」とか、大好きでした。ご存じな方は少ないでしょうね・・・。


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プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
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