『文章のみがき方』辰濃和男
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「文章の書き方」を読んで感動して。
ええ。文章の書き方の本なのですけど、お役立ち本ではなくて。
技術を学ぶというよりも、文章を書く志を叱咤激励される本なのです。
で。続編?姉妹編?のこちらも読んでみました。
やっぱりね。いいわぁ。いいねぇ。良い文章って、はぁぁ〜。
つまるところ、ため息しか出てきません。
例に挙げられる文章にうっとりするばかりです。
けれど。お手本と言っても。とても親しみの持てるものばかり。
文章読本といえば、文豪の名文をズラリ並べがちなものなのに。
よしもとばなな、村上春樹、宮部みゆき、池波正太郎、向田邦子、
浅田次郎、武田百合子、川上弘美、宇野千代、田口ランディ、
俵万智、姫野カオルコ、北川悦吏子、高村薫、宮本輝、板坂元、
山口瞳、大岡昇平、岡本太郎、甘糟りり子、須賀敦子・・・
これでも全部じゃないんですけど。疲れたからもういいですか。
とにかく、バラエティに富んでます。いや、読んでますねぇ辰濃さん。
私も濫読家ですが。これは負けます。
姫野カオルコとか田口ランディとか甘糟りり子とか、
北川悦吏子とか・・・読まず嫌いで手をつけてないです。
それが・・・引用されてる文章を読むと、唸っちゃいます。
え〜。やっぱり読むべきでしょうか。いや読みたくなってきた。
これじゃあ、読書のススメ、ではありませんか。
いやいや。ちゃんと。実践的な提言もあるのですよ。
その為に、これらの作家さんたちの文章の膨大な引用があります。
目次をちょっと覗いてみましょうか。
Ⅰ 基本的なことを、いくつか
1 毎日、書く
2 書き抜く
3 繰り返し読む
4 乱読をたのしむ
5 歩く
6 現場感覚をきたえる
7 小さな発見を重ねる
1 毎日、書く
2 書き抜く
3 繰り返し読む
4 乱読をたのしむ
5 歩く
6 現場感覚をきたえる
7 小さな発見を重ねる
お。1〜5までは。私、実践出来てる気がしますぞ。
でも、そうだねぇ、6と7。サボってますね。
Ⅱ さあ、書こう
1 辞書を手もとにおく
2 肩の力を抜く
3 書きたいことを書く
4 正直に飾りげなく書く
5 借りものでない言葉で書く
6 異質なものを結びつける
7 自慢話は書かない
8 わかりやすく書く
9 単純・簡素に書く
10具体性を大切にして書く
11正確に書く
12ゆとりをもつ
13抑える
1 辞書を手もとにおく
2 肩の力を抜く
3 書きたいことを書く
4 正直に飾りげなく書く
5 借りものでない言葉で書く
6 異質なものを結びつける
7 自慢話は書かない
8 わかりやすく書く
9 単純・簡素に書く
10具体性を大切にして書く
11正確に書く
12ゆとりをもつ
13抑える
これは・・・うわっ。厳しい。イタイとこ突きますね。
1以外は、全滅なんじゃないでしょうか、私。
2、3、4は心がけてはいますが。5以降は・・・もう泣きたい。
小見出しは省きますが、
「Ⅲ 遂行する」「Ⅳ 文章修業のために」と続きます。
どの章を読んでも、例文が神々しくてクラクラします。
さらに、辰濃さんのそれらの文章を読み取る力も眩しい。
感動と絶望に交互に襲われながら。
うわぁ。どひゃあ。どうしよう。やだ〜。
ど、ど、ど、ど、努力とかで、間に合うの?
ぶ、ぶ、ぶ、文章力とかって、いまさら身に付くの?
ダメだ、ダメだ、ヤダー。ポカポカポカ。
漫画風に自分の頭を叩きたくなります・・・
さらに視界がぼやけてきました・・・
はい。深呼吸。気を取り直しまして。
己の文章力の向上を願う方は、怖れず読んでみて欲しいです。
さんざん私が脅かしましたが、稀有な才能と比べるのが間違いなだけ。
素直に感動し。ちょびっとでも見習おうとし。
その為に、辰濃さんが教えて下さる心得を胸に刻み。
よし、今日も書くぞ、明日も書くぞ、読むぞ、考えるぞ〜。
よく読み、よく書き、よく考え、よく観察する。
この積み重ねが文章をみがく・・・ということなのだと思います。
当たり前のことなんです。
名文と言われるほどのものを書いた人は、とことん突き詰めたんですね。
生来のもの・・・そりゃ当然ありますが。凡人でも進歩はしますとも。
と、自分に言い聞かせつつ、ひっそり涙する私なのでした。
(2012.4.5)
最近読んだばかりの山口瞳『人生論手帖』からの引用もありました。
山口瞳の文章について辰濃さんはこのように書いています。
「そっけない文章だからこそ、それがかえって読み手の想像力を呼び起こす」
数ある私に足りない資質のなかでも、これは最大のものかもしれない・・・
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