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おれの墓で踊れ  エイダン・チェンバーズ

Posted by 彩月氷香 on 31.2012 エイダン・チェンバーズ   0 comments   0 trackback
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徳間書店
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例によって、早とちりな私は。
ハードボイルドミステリだと思って読み始めました。
なんか、それっぽいタイトルじゃありません?

青春小説だったんですね。途中で気がつきました。
苦手で、なるべく避けるようにしていたのに。

しかし・・・

これは凄い。ほんとうに。こんな風に書けるものなのか。

墓の上で踊る少年の心理が、胸に迫る。
迷いと、不安。求めながら、拒絶すること。
強く願っていることを自らにも認められない矜持。

強固な自我の向こうに透ける研ぎすまされた共感力。呼応能力。
伝染病のような・・・あの独特の熱。

熱いのに、冷めているもの。
醒めているのに、夢の中を生きているもの。
儚きもの。弱きもの。純粋とは呼びたくない、魂の透明度。

心に「若者」はずっと生きている・・・おそらく誰でも。
けれど「懐かしさ」に訴えるだけの青春小説は好きではない。

著者自身が自らの中に永遠に生きる青春、を描き切ってこそ。
物語のなかで再び、若者の時間を生きることが出来る。

夢とか希望とか友情とか愛とか。そんな単純なものではない。
名付けようのないもの。居場所を求めてさすらうもの。

今読んでも素晴らしい体験だったけれど、
もっと若い時に読んでみたかった。

(2012.7.23)
1980年代に発表され、以後ヨーロッパで読み継がれている、
児童文学なのだそうです・・・ええええっ。こ、これが?
確かに主人公は16歳ですけど・・・びっくり。
若い人向きの読み物は西洋文化のほうが成熟してますね。

今年もまだ4ヶ月残ってますが、
2012年の読書の中のベスト10に間違いなく入ります。

構成が見事。いや斬新と言ってもいい。
私は素直に時系列に一人称で描かれた作品を好み、
凝った手法を嫌う傾向が強いのですが・・・

この本を読んで、その気持ちが吹っ飛んでしまいました。


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パディントンはお好き? 

Posted by 彩月氷香 on 30.2012 おでかけ写真集   0 comments   0 trackback
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伊丹市立美術館にて9月2日まで開催中の「パディントンベア展」。
先日、猛暑の中、てくてくと母と訪れました。
詳細はこちらhttp://www.artmuseum-itami.jp/2012_H24/12paddington.html

パディントンの絵は同じ人が描いているわけではないので、
時代によって、顔もトーンも違うのが面白いです。
原画と、あとぬいぐるみもたくさん! 

上の写真のパディントン、可愛いですよね?
この部屋は、パネルがいっぱい飾ってあって写真OKでした。
はしゃいで沢山撮って来ましたので、どうぞ眺めて和んでください。

パディントンがロンドンの街を案内してくれます!

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つぶやき集 2012年8月(4)

Posted by 彩月氷香 on 30.2012 つぶやき集   0 comments   0 trackback
なぜか。唐突に今日、会ったばかりの友人に手紙を書き始めた。気がつくと父のことを書いていた。彼女に何の関係もないのに。ただ「家族」について思い悩む人に声をかけようとすると、私の頭には父の姿が浮かんでくる。彼はあり得ないくらいに「善い人」で、単純で無欲で素朴なのである。

何か難しく考え込むことを価値のあることのように思うのをやめて。父を見習って目の前の小さなことを単純に喜んでみようかな。・・・と思ったところで性分というのは変わらないものだけど。時おり、小さな嬉しさが気持ちを素直に素朴にしてくれて、その感じがずっと続けばいいのになと願ったりはする。

欲張らなければ満足することが容易くなる。けれど簡単に手に入るものは満足度も低い。欲があるから努力もするし、進歩もするが。貪欲に求め続ける生き方はやはりしんどい。欲がゼロというのも淋しいもので。自分の能力にあった欲を持っていれば、日常に程よいメリハリが生まれるのかもしれない。

出来ないとわかっていることを望む。決して実行しないとわかっていることを自分に約束する。信じていなくても、妄想で生き延びる。・・・というのは卒業したいけど。何か黒いものが渦巻いて来ると、とりあえず上辺だけキレイに整えようとするクセも。ま、直らないだろうという気はする。

「普通」な気分というのは平坦すぎて何だか淋しい。心に波風があるのが結局、好きなのだ。平らな物より凸凹してるものの方が優しい気がする。心が平面になってる時は要注意。知らず知らず、無理に波を立てようとしたりするから。自然の波と違って人工の波は美しくありませぬ。

色々と。軽くしたい気持ちが強まっている。無駄な物が詰まっていて、大切なものが押し出されている気がするのだ。ちょっと心細くなるほどの広々とした空白を作りたい。そこに、ほんとうに大事なものだけをゆったりと収めたい。

無駄がたいせつ、とも思ってはいる。ただ、その無駄は自発的なものでなければ。周囲から流れ込んで来た無駄は、自分を細切れにするだけだ。

生まれついた性分としては。生存すら危ぶまれるほど白黒がハッキリしている。いや、いた。生きていく上での不便に負けて、どんどんグレーゾーンを広げてきた…。おかげで輪郭がなくなった。もういい。グレーのところは思い切って刈り込む。生きた線のない、ぼやけた絵のような人生など、まっぴら。

グレーの濃淡が陰影となって効果を生むこともあるけれど。あくまで背景と輪郭があってこそだ。茫漠と広がる灰色の海に溺れたくはない。

功利主義者の読書術  佐藤 優

Posted by 彩月氷香 on 29.2012 佐藤 優   2 comments   0 trackback
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新潮社
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著作を読むたび、佐藤氏の知力には圧倒されます。
読書家としても憧れを通り越して、神々しい存在。

「功利主義者」という枕詞にギョッとした方もあるかもしれませんが。
彼の理論によると、「功利主義者の読書術」が意味するところは、
「神が人間に何を呼びかけているかを知るための技法」となります。

そうなんですよね。この明晰で洞察力に優れた頭脳に、
「キリスト」が住んでいるというのは不思議な感じがします。
一方で、彼の書物を読むとそのことが強みになっているとも思う。

取り上げる本も、かなり意表をついてきます。

マルクス「資本論」、チャペック「山椒魚戦争」、「新約聖書」、
ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」、小林多喜二「蟹工船」、
・・・この辺は、わかりますけれども。

綿矢りさ「夢を与える」、石原真理子「ふぞろいな秘密」、
レイモンド・チャンドラー「長いお別れ」「ロング・グッドバイ」
酒井順子「負け犬の遠吠え」
・・・ここらになると、んんん???

読む対象に関わらず、そこに自分の問題を見出すというのが
私の読書の常に変わらない基本姿勢なのですが。
佐藤氏はそれを遥かに高度な次元で実践なさっています。

あ。「長いお別れ」と「ロング・グッドバイ」は同じ!と思った人?
確かにそうなんですけど、翻訳者が違います。
前者が清水俊二、後者が村上春樹です。

私、村上春樹の翻訳がやや苦手で、清水氏の方を読んだのですが。
本書を読んで、村上春樹訳も読まなきゃ・・・と思いました。

本の紹介ではなく、「読書術」の指南なわけでして。
紹介されている本を読む必要は特にないと思われます。

また、佐藤氏と同じ読み方をする必要もまったくないし、
彼一流の見事な読み解きに賛同しなくたって構いません。

自分の中に常に「問題意識」を持ち、それと対峙している人は、
どんな本からも学び、思索を深めることができる。
全く関係のないようなものを並べても、類似性を見出せる。

その書物が(著者が)何を語りたいかを探索するのでなく、
その書物から、自分なりの理解や思想をつかむ・・・いや、
そこから生み出して、構築することができる。

ある意味、書物をとことん、利用する・・・自分のために。

私は、こういう読書が好きです。
佐藤氏が示しているような、読書の姿勢に強く共感します。

書物に内包される思想を蔑ろにしてるかのような表現に
なってしまいましたが、決してそうではありません。

ただ、時によっては「彼によって読まれた」対象が、
それによって価値を増したと錯覚するような現象はおきています。

また彼のパーソナリティーゆえに、その読書の色は社会性が濃く、
その意味では難しい話になっている部分もあります。

取り上げられた本のうち5冊は私も読んでいましたが。
まぁ・・・佐藤氏と比べると百分の一も、
「読めた」とは言えないですよねぇ・・・。はぁぁ・・・。

それでも自らの知力を精一杯に動員して読書をしたいものです。

(2012.8.13)
佐藤優氏の本は、とにかく知的興奮をかき立てます。
紹介されてる本を読まなくてもいいと申しましたが、
しっかり登場した本を読みたくなりました。再読も含めて。

読むきっかけを失して現在に至っている綿矢りささんの本と、
亀山郁夫氏の翻訳の「カラマーゾフの兄弟」をまず読みたい。
(「カラマーゾフの兄弟」は昔、他の人の翻訳で読みました)

本書に貼った付箋の数・・・20枚。


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暮らしは、ちいさく  大原照子

Posted by 彩月氷香 on 28.2012 家事   0 comments   0 trackback
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大和書房
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シンプル生活と「私らしさ」を両立するヒント・・・と副題にあります。
大原さんの暮らしは「小さい」けれどエレガントなのですよね。

シンプルというと、無印良品的な(無印良品が嫌いなわけではありません)、
色味とデザインを削ぎ落してトーンを抑えたイメージがありますが、
一つ一つの物の個性がもっと豊かで、遊び心があるのが大原さん流。

ひとことで言えば贅沢なのですけれど。
彼女流の割り切り術が新鮮です。
こだわる点とこだわらない点の線引きが鮮やか。

好みは、がっつりと西洋風な女性ですが、
考え方としては「悟り」のようなものを感じさせます。

実際にマネるとなると、それは無理!ですが。
私には私なりに、違う「悟り」があるだろうと思うのです。

(2012.7.16)
シンプルライフを提唱する面々の中でも、
大原さんは「ちょっと違う」と感じさせるものを持っています。
結局、センスが良いのです。もの選びだけでなく考え方も。
量も質も贅沢することを経験した人ならではのものかもしれません。


  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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