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ジェーンに起きたこと  カトリーヌ・キュッセ

Posted by 彩月氷香 on 31.2016 未分類   0 comments   0 trackback
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創元推理文庫
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主人公に共感・・・できないなぁ。
でも、わからなくもない部分もある。
いや、わかってもわかりたくない感じかも。

女性の心の中で起きる「揺れ」を、
ちょっと読んでいて苦しいほど克明に描いている。

その心理描写の細やかさが魅力でありつつ、
私は幾分、胃もたれのような疲労を感じました。

まぁ・・・上手いってことですよね。

サスペンスとしての筋立ても、よく出来ています。

(2015.8.17)
主人公が要するに「欲張り」なんですね。
「あれもこれも」の欲望に振り回されて、
自分自身を追いつめているように見えます。
それが読んでいて、しんどかったのかな・・・

超したたか勉強術  佐藤 優

Posted by 彩月氷香 on 30.2016 佐藤 優   0 comments   0 trackback
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朝日新書
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 私は、「いくつかの基本的な思考パターン」のことを、「思考の鋳型」と呼んでいる。(中略)鍛えた「思考の鋳型」で、物事を自分なりに考え、解釈する訓練を重ねていると、やがて、他人には「見えないものが見える」ようになるだろうこれが私の考える「したたかさ」の基本になるのだ。

自分なりの「型」を持つことの必要性は私も近頃強く感じている。
本書は「思考の鋳型」の鍛え方を書いた本で、
まさにうってつけの見本かつ、練習問題となっている。

・・・のですけれどもね。ちょっと高度過ぎるのですね(笑)
ま、それでも概要をまとめてみますと。

イギリスの歴史の教科書「帝国の衝撃」を使って、
実践的な「型」の用い方の手順が丁寧に紹介されています。

思考のポイント1
アナロジーで考える(アナロジー=類推、類比)

思考のポイント2
敷衍して論を発展させる(敷衍=押し広げる)
同じ事柄を別の言葉や例で説明する

思考のポイント3
正反対の人物をイメージする
一つの物事を自分の考えや立場と対極の人になったつもりで考える

コラム
デジタルデトックスで表現力と読解力を向上させる。

1 スマホやタブレット端末でのスケジュール管理をやめる
  手帳とボールペンで書く
2 フェイスブックやツイッターを直ちにやめる
3 プレゼンではパワーポイントを使わず、
  まとまりのある文章として紙に書いたものを読み上げる

簡潔で体言止めが多用された文章(ネット)。これでは時制や結論が曖昧になる。係り結びが単純で、一文で完結するような文章ばかり書いたり読んだりしていると、表現力ばかりか、読解力も低下する。

読解力が低下すれば、そこから得られる情報が少なくなってくる。

 人はいったん、誰かを信頼してしまうと、信頼を裏切られる行為があってもそれを認めることができない。なぜならそういう人を信頼した自分が惨めになるからだ。しかし、裏切られたという感情が閾値を超えて高まると、決して信頼は回復しない。

 間違いないと確信している自分の考えに固執するのではなく、必要なときには自分の力でその確信を否定出来るだけの知性を身につける。


(2015.8.12)
 イスラム国に殺害された後藤健二さんのことにも触れられている。
私はなぜ彼が湯川さんを助けに行ったかに、初めて合点がいった。
彼は「神を試さなかった」のだ。

冬の眠り  アン・マイクルズ

Posted by 彩月氷香 on 29.2016 アン・マイクルズ   0 comments   0 trackback
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早川書房
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同級生ははみんなわたしの不幸のことを知っていて、わたしを避けようとした___みんなまだ子供すぎて、同情する余裕がなく、怖くなってしまったのね。

 静けさは時間に属している・・・この今日という一日の静けさは、わたしたちのものだ、とジーンは思った。

___まるで魔法ね、とマリーナは言った。昔話はあっという間に時間を食べてしまうわ。

「悲しみがたっぷり沁みこんだ場所もあるんだ」僕はとくに“たっぷり沁みこんだ”という言葉をよく覚えている。僕たちは手をつないで、しばらく黙って歩いた。それから僕はこう思った。世の中には、何でもない顔をしていても、悲しみがたっぷり沁みこんでいる人たちがいる、と。

___人間がやることは全部偽の慰めだ。でも言い方を換えれば、どんな慰めも全部本物なんだ。

 俺が今までに何か学んだことがあるとすれば、それは勇気とは恐怖が形を変えたものにすぎないってことだ。

 誰の人生にも、じぶんにはとうてい出せるはずのない勇気を要求される時が一度はある。そしてその時どうふるまうかで、残りの一生が決まってしまう。みんなチャンスは一度だけじゃないと考えたがるが、それは違う。しくじりはいつまでも残る。だから、あれでよかったんだと、繰り返し自分の中で正当化する。俺たちは骨の髄までこの真実を知っている。それはあまりにも無理無体に強いてくる真実だから、俺たちは否定しようとする。だが何をしても、あのしくじりが真ん中にあるから、どんなにうまく立ち回っても駄目だ。だからこそ俺たちは心の奥底で、何よりも赦しを欲しがるんだ。この赦しを求める気持ちは底なしの欲望だ。

以上、心に残った箇所を幾つか、書き抜いてみました。
読後の私のつぶやきは、こんな風でした。

アン・マイクルズ「冬の眠り」読了。喪失と癒しを描いている作品だが、その「癒し」が欺瞞ではないかという疑いに苦しむ心模様の描写があまりにも精緻で。その言葉の不思議な程の美しさとともに胸に突き刺さる。静かで叙情的だけれど、怜悧な。読み終えてもまだ、続いているように感じる、余韻の深さ。

何らかの喪失と、それに対する悔恨をひとつも持たない人なんていないだろう。そして失ったことに意味を求めたり、失ったことに責任を感じたり。いっそ忘れようとしてみたり。何とか、その喪失が収まる場所を探す。その過程で「欺瞞」の存在を幾度も意識する。


静かな思索。穏やかだけれど痛切な哀しみ。
登場する人物たちそれぞれが抱いている辛い思い出。
そして、それらを包んでいる名づけようのない美しい何か。

記憶と思いやりと悔いと願いと感謝の入り交じったもの。
消化できないもの。風化できないもの。

さらさらとした、肌触りの良い文章。
情緒的な文章によくある湿り気がほぼ、無い。

何気なく読み進めていても。
鋭く切り込んでくるような才気とは違う、
極めて穏やかではあるけれど非凡な、文章の才能を感じる。

息苦しくはない、緊密さ。
静かな、そして見晴らしよい風景を眺めているような。
題材や登場人物たちの心象からすると、
もっと狭苦しい情念の世界になってしまいそうなのに。

ぎゅっと凝縮された印象と同時に、
平野の空のような広がりを感じることができる。

良い意味での「希薄さ」もあるような気がする。
全体に「漂う」という言葉のあてはまるような、
浮遊したような、ゆるやかな空気の流れのような、
チラチラと揺れる木洩れ陽のような、
そんな少し淋しさを伴う優しさが満ちている。

この作家の本は、全て読みたいです。

(2015.10.15)
調べてみたら。寡作な作家さんらしくて。
他には1作しかありませんでした。
近々、読もうと思います。

関連記事

言葉を旅する  後藤正治

Posted by 彩月氷香 on 28.2016 未分類   0 comments   0 trackback
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潮出版社
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「困難を楽しむ」とは「困難だから楽しめる」と解してもいいのだろう。

 悩み苦しんだ時間をもったことを大切なものとして刻んでおきたい、何かが得られるとか、次の道が開けるとか、そうありたいと思ってきたけれど、たとえそうでなくてもいい、いまはここまでたどり着けたことだけで十分__。

タイトルが素敵で、読んだのですけれど。
この方の作品(ノンフィクション作家)は未読。
文章にノンフィクションの香り(そんなのある?)がありますね。

大変失礼な言い方をしますと。
読みやすいけれど、魅力が不足していて。

読書感想もあまり印象に残らなかったのですが。
とてもすっきりとわかりやすい紹介になっていて。
読んでみようかなと思う本に出会えました。

ちなみに以下の14冊。

類語大辞典
類語大辞典
八百万の死にざま (ハヤカワ・ミステリ文庫)
八百万の死にざま (ハヤカワ・ミステリ文庫)
木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」
木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」
辞書になった男 ケンボー先生と山田先生
辞書になった男 ケンボー先生と山田先生
正岡子規
正岡子規
ホームレス歌人のいた冬 (文春文庫)
ホームレス歌人のいた冬 (文春文庫)
天使突抜367
天使突抜367
潜水服は蝶の夢を見る
潜水服は蝶の夢を見る
パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い
パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い
神様のリング
神様のリング
自分自身への審問 (角川文庫)
自分自身への審問 (角川文庫)
眼の探索
眼の探索
抗がん剤だけはやめなさい (文春文庫)
抗がん剤だけはやめなさい (文春文庫)
女優という仕事 (岩波新書)
女優という仕事 (岩波新書)

あ、1冊は辞典だった・・・
類語辞典が1冊欲しいなとずっと思ってて。
でも、どの出版社のがいいのか決められなくて。

講談社も候補にいれます(笑)

あ。それと。それと。
著者の作品に、これは読んでみたい!というのがありました。

清冽 - 詩人茨木のり子の肖像 (中公文庫)
清冽  - 詩人茨木のり子の肖像 (中公文庫)

茨木のり子さんの詩は、折りにふれ読み返しています。

著者はとにかく、すっきりとした価値観、好みの方ですね。
本書の最後に「わが人生最高の10冊」という頁がありましたが。
私だったら、絶対にこのお題で10冊選ぶことなど出来ません!

ちなみに、その10冊。スキャンしちゃいました。

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紹介文の簡潔さは、惚れ惚れします。
魅力不足とか酷いことを書きましたけれど。
読み手に優しい文章を書く方だなと感じます。

(2015.10.16)
後藤さんが大好きだというローレンス・ブロック。
そういえば、私も好きで読んでいました・・・昔。
いつ頃だっけ、と調べてみましたら。
干支一回りくらいの昔でした。

全シリーズ読むほどのファンではなかったらしく。
読んだことがあるのは、以下5冊。

・死者との誓い
・墓場への切符
・倒錯の舞踏
・獣たちの墓
・殺しのリスト

後藤さんがシリーズの中でも傑作と評価しているのは。
「死者との誓い」と「八百万の死にざま」。
読み落としている「八百万の死にざま」、読んでみようっと。

あ。後日談。
「潜水服は蝶の夢を見る」と、
「天使突抜367」を読みました。

どちらも、すごくすごく良かったー!

三島由紀夫レター教室  三島由紀夫

Posted by 彩月氷香 on 27.2016 三島由紀夫   0 comments   0 trackback
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ちくま文庫
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ちょっと、嫌になるくらい、ほんと。
三島由紀夫って「上手い」なぁ。

芝居がかっていて、しつこいと感じる人もいるのかな。
私なぜか、このあざとい程の才気煥発さが好きだ。

この作品は5人の登場人物の間にかわされる手紙を、
順々に紹介して行く形式で描かれています。

手紙の文面からのみ窺い知る人物像が鮮やか過ぎる。
実際こんな手紙を書く人がいるのかどうかと疑うような、
出来過ぎて饒舌な手紙ばかり・・・かもしれないけれど。

三島由紀夫のどこに惹かれるのだろうかと考えていて。
やはり彼独特の「シニカルさ」なのだろうかと。

シニカルな台詞、視点。
それが冷淡でもないし、でもユーモアの範疇にもない。

私が「シニカルなもの」を好むということではなくて。
むしろどちらかというと嫌いなはずなのだけれど。
三島由紀夫の発している「シニカルさ」は心地よい。
彼の高過ぎる自意識が、不思議と息苦しくない。

文章も思考も明晰で、鮮やかなところが気持ちが良い。
うん・・・ちょっと気持ち悪いくらいかな。

私には。三島由紀夫の文章は愉しいのです。
羨ましさや憧れすら感じないほど別次元に思えるからでしょうか。

 世の中の人間は、みんな自分勝手の目的へ向かって邁進しており、他人に感心を持つのはよほど例外的だ、とわかったときに、はじめてあなたの書く手紙にはいきいきとした力がそなわり、人の心をゆすぶる手紙が書けるようになるのです。


(2015.9.24)
  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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