FC2ブログ
Loading…
 

蜜蜂と遠雷  恩田 陸

2017.11.29 恩田 陸   comments 0
4344030036
幻冬舎
Amazon

あり得ないほど読みやすい、恩田陸。

あ。別に恩田陸が読み辛いと言うわけでは・・・
ただ、クセやアクが強い作風ですよね、本来。
それが本作は確実に万人受けする路線です。

でも。ピアニストたちの個性が生き生き描かれていて。
舞台となるコンクールの雰囲気に臨場感があって。
ええ。とっても楽しいです。

ピアニストの個性というところが特に。
音楽と向き合っていく上でのスタンスの違いとか。
それは性格もあるし、才能の差もあるし、
目指すものの違いもあるし・・・

様々な音色が聞えてくる楽しさ。

ま。ひとつ言えば。
天才がこんなにゴロゴロしてたら困るよ、って思うけど。
それでも音楽の「良さ」は本来幅広いものであって。

この演奏が一等賞!っていうのでないことはよく伝わってくる。
言われなくてもわかってるよ・・・ってなことでもあるけど。
でも、なんでも「点数化」して、「評価」して。
最後に「順位」をつけてしまうのが人間ですもの。

だいたい、この物語の主題がコンクールですしね。
まぁ。だからコンクールなんて無意味という筈もなく。

審査員がガチガチに頭がカタイとしても。
多くの聴衆の中には違う聴き方をする人も居るし。

コンサートの是非ということとも被りますが。
やはり音楽は演奏だけでは完結しなくて。
聴いてくれる人があって、そこでまた一歩進むのだろうと。

ええ。誰も聴いてなくても。音楽は音楽ではあるのです。
それに関しては。登場人物たちの声を拾ってみましょう。

誰のために弾く?
最近、マサルが舞台の袖で考えるのはいつもそのことだった。
お客のため、自分のため、それとも音楽の神様のため?
わからない。でも、誰かのために弾いているには間違いなかった。
誰かというよりも「何か」のため。そんな気がする。

音楽に限らず。芸術というものは。
誰のため? 何のため?・・・と。
問いたくなる性質のものでもあるでしょう。

簡単に。「好きだから」で済ませるには。
そのために注ぐ労力が膨大過ぎて・・・

いえ。でも。
「好きだから」が強くないと続けられないでしょうけれど。

もう一ヶ所、引用してみましょう。

どんなに汚くおぞましい部分が人間にあるとしても、そのすべてをひっくるめた人間というどろどろした沼から、いや、その混沌とした沼だからこそ、音楽という美しい蓮の花が咲く。
 僕たちはあの蓮の花を、いつまでも咲かせなければならない。もっと大きな花、もっと無垢で美しい花を。それが人間であることに耐えていくよすがであり、同時に報酬なのだ。

私はやはり。羨ましいな。
このように、自分の生涯を捧げる何かを持っている人が。
眩しいな。「美しいもの」を生み出す力のある人は。

(2017.7.10)

スローライフでいこう  エクナット・イーシュワラン

4150502501
早川書房
Amazon

心の「静かな、小さな声」を聴きたくて。

一年前にも読んだ本です。
どうしても。心の乱れを静めたくて・・・
その効果を以前感じたこの本を購入し、読み直しました。

残念ながら。
最初に読んだ時のような感動がない。
心に降りて来た静けさが感じられない。

たぶん。私の心の状態はさらに悪化しているのだ。

耳をすませても、声どころか。気配もない。
素直な気持ちで、「そうしよう」「そうしたい」と思えず。
著者の提言にいちいち、反意を唱える私がいました。

「だって。ムリだもん」・・・と。

瞑想もマントラもまったく、利き目なし。
心穏やかになれない自分をいっそう強く認識し。
ますます、心が乱れていくばかり。

ああ。もう私は。立ち直らないかもしれない。

そう。敢えて「立ち直れない」とは言いません。
どこかに自分の意志もあって「立ち直らない」のだ。

「立ち直ろう」とする努力が挫ける姿しか見えず。
その試みをまた繰り返す気力が湧いて来ない。

なのに。読みながら、挟まずにはいられない付箋。
そして読後に付箋で膨れ上がった本をみて思った。

私の心は静止することがもはや出来ない、と。
静寂の癒しを得ることは不可能になった、と。

付箋を張りながら読書する行為そのものが。
もうすでに、やたらと「忙しい」ではないか。

(2017.7.9)
癒されたかったのに。希望が欲しかったのに。
自分のなかの何かを取り戻したかったのに。
ただ、ただ、哀しく読み終えました。

2017年6月に読んだ本

今月読んだ本・・・・・・17冊


本の画像をクリック アマゾンへ  
タイトルをクリック 私の感想ページへ



「モノを正しい場所に置く」だけで部屋は自然とキレイになる「「モノを正しい場所に置く」だけで部屋は自然とキレイになる」 佐和田久美
★★★☆☆
これが全てではないけれど、一理ある。


猫には推理がよく似合う「猫には推理がよく似合う」 深木章子
★★★☆☆
初めましてのミステリ作家さん。
思いのほか面白かった。

ダッハウの仕立て師「ダッハウの仕立て師」 メアリー・チェンバレン
★★★★☆
ああ。そうか。そうなっちゃうんだ。
主人公の運命ゆえか。心に今も残る作品。

天職は寝て待て 新しい転職・就活・キャリア論 (光文社新書)「天職は寝て待て」 山口 周
★★★☆☆
結局。
「デキる人」の理屈のような気もしつつ・・・

人生はふんどし1枚で変えられる「人生はふんどし1枚で変えられる」 中川ケイジ
★★★☆☆
ふんどしで企業!?
応援したくなります。

小さい“つ”が消えた日「小さい“つ”が消えた日」 ステファノ・フォン・ロー
★★★☆☆
うん。まぁ可愛いお話です。

悪魔のささやき (集英社新書)「悪魔のささやき」 加賀乙彦
★★★★☆
あー。わかるなぁ。
著者が「悪魔のささやき」と呼ぶもの。

クリエイターが暮らす家「クリエイターが暮らす家」
★★★★☆
個性のある、お洒落な住まい。眼福。

手帳事典 ―自分に合った1冊が見つかる!  手帳選びの“最強「手帳事典」
★★☆☆☆
この本が悪いわけじゃく。
以前読んだ本とそっくり過ぎて・・・

月と菓子パン (新潮文庫)「月と菓子パン」 石田 千
★★★☆☆
小さな声で言いますが。
石田千という人は私はなんか苦手です。

超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術「超・箇条書き」 杉野幹人
★★★☆☆
面白かった。わかりやすかった。
でも、役には立たなかった。

あなたの人生を変える睡眠の法則「あなたの人生を変える睡眠の法則」 菅原洋平
★★★☆☆
私の人生は変わりませんでした。

空間デザイナーが教える 盛りつけのセオリー「空間デザイナーが教える 盛りつけのセオリー」 加藤ゑみ子
★★★★☆
いいですねー。
手元にあるとたぶん、なおいい。

花と写真の時間 (エイ文庫)「花と写真の時間」
★★★★☆
いいな、と思える写真。
好みではないけれど・・・

ベスト・オブ・ジャズ・ピアノ―これだけは聴いておきたい50人 (平凡社新書)【表紙は赤と青2種類があります】「ベスト・オブ・ジャズ・ピアノ」 小川隆夫
★★★★☆
面白みにはかけるけれど。好著。
かなり役立ちそうです。

こんなとき私はどうしてきたか (シリーズ ケアをひらく)「こんなとき私はどうしてきたか」 中井久夫
★★★★★
きっと。また読む。

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)チャリング・クロス街84番地」 ヘレーン・ハンフ
★★★★★
次回は原書で読みたいもの。


★★★★★ また読みたい本
★★★★☆ 堪能した本
★★★☆☆ まぁ満足した本
★★☆☆☆ どっちでもいい本
★☆☆☆☆ 時間のムダだった本

(あくまでも独断・偏見ですので悪しからず)


軽めの本が多いながらも、そこそこ読めた月でしたね。
最低でも、このくらいは読みたいのです。
いえ、読めるくらいの余裕がある暮らしをしたいのです。
余暇も体力も気力も・・・

そんなこと、夢のまた夢と思い始めていましたが。
精神力をストレスで磨り減らさなければ、
時間と体力は生まれると考え始めています。

よしっ! 精神修行だ! 心を鍛えるぞ!

(なんか、違うような・・・)

超・箇条書き  杉野幹人

4478068674
ダイヤモンド社
Amazon

箇条書きって・・・高等技術なのね!?

「10倍速く、魅力的に」伝える技術・・・と副題にあります。
なんか。履歴書を書くのや、面接での話し方の参考になりそう。

内容は同じでも。
書き方が違えば、伝わり方が違う。

著者おすすめの「超・箇条書き」とは。
まず、以下の三つの要素からなります。

・構造化
・物語化
・メッセージ化

これがないと、
「伝えた」だけであって、「伝わる」には至らない、と。
そして、伝わらなければ人は動かない、と。

つまりは。著者にとって。
箇条書きの目的は「人を動かす」ことなんですね。

そっかぁ・・・。
私は自分がメモを取る時のコツを知りたかったなぁ。

まぁね。
私の常々の口癖、「未来の自分は他人」の観点からすると。
メモも他人に向けて書いてることになりますから。
本書の技術も生きてくるのかもしれない。

うーん。でも、やっぱ違うな。
この本の目的は社内コミュニケーションの円滑化って感じ。
メール、プレゼン、レポートなんかには活用出来るでしょう。

とてもわかりやすい説明ですが。
これは読んだからって出来るようにはならないスキル。
繰りかえし練習しなければ身にはつかないでしょう。

正直、私には必要の無さそうなスキルです。
社会人としては、持っててソンはないと思いますし。
上司には是非とも磨いて欲しいスキルでもありますが。

あと。履歴書を書いたり。面接を受けることになれば。
うん。この技術は学んでもいいな。必要だな。

今のところ、他にやるべきことが多々あるのでパスします。

(2017.6.13)

月と菓子パン  石田 千

2017.11.21 石田 千   comments 0
4101318514
新潮社
Amazon

なぜか、ピンと来ない。

好きな人は、すごい好きだと思う。
文章も、たぶん上手いのだろう。
少なくとも下手ではない。

でも。
相性なのか。
どうも私にはピンと来ないのだった。

「しろい虹」を最初に読んで。
その時の感想は絶賛と言っていいくらいで。

世界観も文章も。
その物足りないほどの静けさ、何気なさに好感を持ち。
淡々とした暮らしぶりに憧れと共感を抱き。

うーん。でも。なんか。なんか、違うんだな。

すごく気になって。
石田千が「あわない」という人を探した。

「いい」「日本語がきれい」「クセになる」「大好き」
「ほっこりする」「心地よい文章」・・・ほめてる読者ばかり。

それでも諦めずに探すと、「相性が悪い」という人がチラホラと。
なかでも、秀逸だったのが、この表現。
「米粉のパンのよう」

あ。それだ! このピンと来ない感じは。
世の中にはなんて言葉のセンスがある人がいるんだろう!

私は。米粉のパンがまずいとは思わない。
工夫に工夫を重ねて作られていて、実際おいしい。
でも。私は、小麦粉のパンが食べたいの!
 
「納豆トースト」に例えてもいいかな。
「納豆」も好き、「トースト」も好き。
「納豆トースト」もまぁ。それなりに食べられる。
でも。あえて食べたいとは思わない。

だけど。苺大福は好きで。
新しい組み合わせが全てダメってわけじゃない。

だから・・・単純に好みの問題。
私には彼女の文章のスタイルが合わない。
対象への目線も、何だか居心地が悪い。
ううん。退屈。読むのに苦労する。

ひらがなの多さも、私はやはり苦手なのだろう。
生理的なものなので、そこが良さと言われても困る。

「薄さ」「淡さ」「弱さ」

ああ、そうだ。
書く「内容」よりも遥かに「文体」に力を注いでいる。
そういう文章が私はどうしても好きになれない。

心地よく、美しいリズムを刻んでいても。
心に響いてくる「熱」がない。

でも。それが値打ちという価値観も当然ある。

それに。彼女の描くものが胸を打つという人もいる。
仕方ない。仕方ない。良いとか悪いとかの問題でもない。

なぜだろう、と考え続けてしまうけれど。
「なぜだか、ピンと来ない」これに尽きる。

(2017.6.12)
私の苦手な文章というのは。
かなり傾向がはっきりしているようだ。
「きれいな日本語」と言われる文章に妙に違和感を持つ。
ひらがなが多く、句読点が多用(特に読点)されている。
もしくは句読点が意識的に排除されている。
そういう、「作った」跡が見える文章に拒絶反応を起こす。
もっとも石田千は、ぼんやりと悪くはないなと思える。
たぶん。この先長いとはいえない人生の長さを考えると。
苦手があることも自分の持ち味と開き直った方がいいだろう。


関連記事
  

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

<別館のご案内>
Instagram
99%、花の写真です。

moleskine絵日記
ちいさな絵日記。

表示中の記事

カテゴリ

カテゴリー 月別アーカイブ

 

フリーエリア

***