『雑な読書』古屋美登里
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書き出しの上手さ、マネしたくなる。
いや。突拍子もないんですけどね。
だってね。羽生善治の本の紹介の出だしが、こう。
「近くの空き地に蛇が一匹棲みついていた」
かっこいいわ・・・
私、こういう書評、大好きです。
そもそも、本好きの書いた書評や読書日記が大好物なんだけど。
これは! これは! これは!
やられた!
くやしい!
楽しい!
面白い!
読みたい!
大好き!
久々に本を読みながら大興奮。
で。一周回ってやっぱりなんか敗北感。
お行儀のよい、ザ・書評って好きじゃなくて。
本とは関係ない雑談が繰り広げられるようなのが楽しい。
でも、ちゃんと最終的には話が繋がってくるというのが最上。
古川さんの書評はまさにそのタイプ。
しかも読者たる「自分」が主張しまくっている!
書評家の個性とかプライベートは邪魔という意見もあるけれど。
私は、どんな人が読んでいるかってとこが気になるの。
本の情報を知りたいわけではなくて。
本が好きな人が何を感じてるかに興味がある。
本書で紹介されてる本、かなり私は読んでいて。
だから余計に、唸りっぱなしだった。
たとえば、こんな一文。
もともと北村薫は、美しさや哀しさが消え去るのを惜しむようにして物語を書いてきた作家である。
そうなのよー。そうですよー。
あー。こういう風に表現したかったのよ。
北村薫の魅力って、ここなんだよね。
著者の読書の傾向があまりに私と近くて。
紹介される本がすべて面白そうで。
一気に読みたい本が増えました。
一年間大学へ行かず、ひたすら本を読んだという逸話も凄い。
そのとき自分にとって何より、読書が必要だと思ったそうで。
うん。若いうちに読めるだけ読んだ方がいいよね。
私ももっと読んでおけば良かったと後悔してる・・・
それにしても、ページを巡るごとにワクワクして。
ニタニタ、ホクホク、ぴょんぴょん、と心が弾む。
なんだこの底抜けのたのしさは。
(2018.2.16)
あ。古川さんの本業は翻訳家。
彼女が訳した本も、読んでみたいな。
「★★★★★」 また読みたい本
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