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悪意  東野圭吾

4062730170
講談社文庫
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あれ、あっさり犯人、割れたぞい。まだまだ、頁残ってるけど?
うん、するするっと、さらさらっと話が進むけど・・・。
妙だ。ひっかかる。あれやら、これやら、不自然な。

その「不自然」の実態が徐々に明らかになる。
二転三転しながら、「事実」がじわじわと見えてくる。

ああ、「悪意」。そうでしたか。そうですね。
こういうドス黒いもの、あるかもしれません、私にも。

憎しみって、油断するとニョキニョキ育ちます。
ほんの些細なことが養分になるから・・・怖いほどにスクスクと。
愛情や善意も、このくらいに力強く伸び伸び育つといいのにね。

「悪意」は、芽が小さいうちに摘んでしまうべきなのですが。
摘んでも摘んでも、毎朝、新しく芽が出てくる、なんてことも。
そんな畑を眺めながら、自らの心の闇に対峙する・・・あの絶望。

たまたま、今は遠ざかっているけれど。

抜け出したくても、抜け出せなかった時のことを思い出し。
この先もう出会わぬもの、生まれぬものとも言いきれぬと、
そう感じて、心底ぞっとさせられた。

一番、恐ろしいことは。
自分の胸の中に、制御できぬ魔物を飼うこと。
そいつをいつしか愛で育て、ついには自らが喰い殺されること。

この先、そんなことが、起こらないとは言えない。

(2011.6.19)
桐野夏生さんの解説。お見事です。ちょっと引用。

本書『悪意』を読んで、人間とは記録する生き物なのだ、と改めて妙な感慨に耽った。
出来事や感情、思惟、時間の流れ。それらを留め、残そうと人は「記録」する。フィクションもまた「記録」のひとつに違いないのだとしたら、本書は「記録」そのものを主題にしようと企んだ壮大なミステリである。

桐野女史は「悪意」を川と表現する。目に見えぬ深みに流れる黒い川、と。
私が例える「畑」よりも、「川」の方が一般的なイメージだろうか?

ただ、私にとって悪意は流れないものなので。
じーっと一つところに留まって根を生やす、しぶといものなので。
ふふ、そういうイメージの抱き方にも個性だか性格が出るのかも。

淡々として、あっさりと。肝腎なところは克明に描かれていないけど。
だからこそ、その裏に渦巻いているものに静かな恐怖が湧く。

ひらりひらりと身をかわされる、その掴みがたさに魅了される、
多層構造を持つ、読みやすいのに複雑なミステリー。堪能しました。


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あたし東野作品の中でもけっこう「悪意」は好きです。
上位を占めてますね~。
っていうのも、あたしは全くだまされてラストになるまで分からなかったんです。
「あたしって・・・純粋だな~(もしくは単純とも言う)」
と、思いまして人生を見直すキッカケとなった1冊(笑)
とりあえず疑うという事を覚えなくてはと思った1冊でした(^^)
2011.06.20 08:53 | URL | igaiga #6.AaZ5Pk [edit]
東野さんね~。今から読もうと思うと、著作多過ぎて。
ちょっと、途方に暮れるので。もういっそ読むのパスしようかと。
正直、そんな思いもあるのですよね~。

だけど。これ読んで、あ、やっぱり、まだ読みたいかも、と。
片っぱしから読む余力がないので。
名作を選りすぐって読むという、ずるっこをしようかな。
シリーズ以外をコツコツ読もう~とか思ってます。

igaigaさん、純真なんですよ。心が素直!羨ましいです。
私、裏読みし過ぎて、自分の想像のほうがエグイ時あります(汗)
これもまぁ、わかっちゃいました。ちょっとやそっとじゃ騙されません(笑)
ひぇ~ん。私って実は相当、腹黒いのかも?
2011.06.20 11:08 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]


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読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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  • 悪意  東野圭吾
  • 2011年06月20日 (月)

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