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『漂砂のうたう』木内 昇

2011.07.15 木内 昇   comments 2
4087713733
集英社
Amazon

なぜ、この本、借りてきたのだろうと読み始めて最初に思った。
・・・最近、こういうパターンが多い気がする。

時代小説なわけですよ(私の苦手ジャンルです)。
明治になったばかりの遊郭が舞台。
ますます、そういう自分の苦手そうな話をチョイスした理由が謎。

そんな疑問も、すぐ、吹き飛びました。

気がつくと、私は遊郭の客引きを生業とする主人公に、
あっという間に、すっかり、なり切っておりました。

これがまた。ダメダメ男の典型的なタイプ。
なぜに私は駄目な女より、駄目な男に感情移入するのだろう?

堕落していく女より、堕落している男の気持ちが理解できる。
極言すると、堕ちて行く女の気持ちは、わからない。

道を外れて行く人間は、ヤケだったり捨てバチだったりしますが。
女の方が、他者に心身ともに依存する傾向が強いと思う。
いや、そうでない女もいますが、そうでない女なら堕落はしない。

男の方は、そこに「理屈」がある。
他者には依存しない。

むしろどちらかというと、依存される側だったりする。
そして、そういう相手のことは適当にあしらう。

根っから冷たい人間というのでもないが。
自分で自分を冷酷な人間と理解しており。
しかし性質の悪いことに、表面に見えるのは人好きのする優しさ。

自虐もあるけど、自らを高く買っている面も持ち合わせている。
よって、環境や運の悪さを嘆く傾向が強い。
それが原因で、自らが落ちぶれているのでないことは承知のうえで。

自己愛は強い。極めて強い。だからこそ、自分を粗末にする。

あ~。ヤダねぇ。

さて、そんな男が出会った一人の女。
これが、親に売られて遊女の身に堕ちた花魁ながら。
気高くも見えるほどの、美しさと品と賢さを持つ女。

二人は恋に落ち・・・ません。
 
ここんとこが、いいな。男は憧れでもなく、むしろ嫉妬を抱くのだ。
その思いを、男ではなく、とある醜い遊女が代弁する。

「わちきはね、自分が苦界に沈んだことより、地獄の一丁目でしゃんと生きている奴に出会っちまったことのほうが辛い」

わかる・・・。残念ながら。まぁ人間とは浅ましきものかな。
しかし、ご心配なく。とても清々しいラストですから。

夢中で読める、面白さ。世界にぐっと引き込む、確かな筆力。
達者な情景描写と心理描写が、足元のしっかりした幻想を生み出す。

美しい、夢を見ました。

(2011.7.10)
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感想読んだけど、感想が面白かったので思わず書き込んじゃいました(笑)いいなぁ、自分ももっと自分のことを絡めながら、こんな文章書いていくようにしたいです(^^)

普通にあらすじ書かれるよりも、ずっと分かりやすかったです♪ただ、読んではみたいけど、図書館で借りた本がたまり過ぎてる…まずはそれを全部片付けてから(苦笑)
2011.07.15 23:13 | URL | だいすけ #Nntv.CfA [edit]
自分に引き寄せ過ぎの感想かな・・・と迷いがありましたが。
面白いと思っていただけたなら、良かった!

あらすじみたいなのは、好きじゃないし、苦手なので。
ストーリーを説明せずに、雰囲気を伝えたいのですね。

自分が、何が起こるかを知らずに読みたい派なのもあるし。
客観的な感想より、個人的な感想、が面白いとも感じるので。

でも、ほどほどにしないと、自己中になってしまうので。
いえ、ただでさえ、その傾向があるので。ジタバタしてます・・・

本、溜まっちゃいましたか。無理せず楽しめる範囲で読んで下さいね!
2011.07.16 08:30 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]


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  • 『漂砂のうたう』木内 昇
  • 2011年07月15日 (金)

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