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二人が睦まじくいるためには  吉野 弘

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童話屋
Amaozn


祝婚歌


二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派すぎないほうがいい

立派すぎることは

長持ちしないことだと気付いているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても

非難できる資格が自分にあったかどうか

あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは

相手を傷つけやすいものだと

気付いているほうがいい

立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無理な緊張には

色目を使わず

ゆったり ゆたかに

光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと 胸が熱くなる

そんな日があってもいい

そして

なぜ胸が熱くなるのか

黙っていても

二人にはわかるのであってほしい

***********************************

この詩は著者が出席出来なかった姪の結婚式に、お祝いとして贈ったもの。
その席で感銘を受けた人々が、勝手に合唱曲を作ったり、ラジオで朗読したり、
・・・と、活字になる前に、口コミで広まっていったのだそうです。

結婚式で朗読されることも多いと言います。
そこで耳にした人からの、使用料は?著作権は?との問い合わせが絶えぬ中、
対する著者の答えが、また素晴らしいのです。

「これは、ぼくの民謡みたいなものだから、この詩に限ってどうぞなんのご心配もなく」

だから。私も堂々と、ここに全文引用させてもらいました。
若い二人のはなむけとして書かれたのにもかかわらず、
長年連れ添った夫婦にもふさわしい、そんな詩だと思います。

もう、これは。読んで頂いたら、私の感想なんて、必要ないですよね?

(2011.7.15)
他にも、もちろん、いいなと思う詩がたくさんあります。
日常の中の、誰もが抱いたことのあるような思いを、
普通の言葉で語り、鮮やかに「場面」に焼きつけるような、
そんな印象の詩を書く詩人さんだなぁと感じます。


関連記事

大好きな詩です。いいですねえ。
何度読んでも、いつ読んでも、そのたびに味わい深く。

彼の作品を読むと
なぜかいつも泣きたくなってしまいます。
悲しい、というのではなく。

もっと柔らかだったちいさい自分が目の前に現れるようで。
生きて在ることへの新鮮な慄きを思い出すようで。

「夕焼け」「奈々子に」もとても好きな作品です。
2011.07.23 20:51 | URL | ハル #jjURaDtE [edit]
どうして。こんな詩が書けるんでしょうねぇ。
「奈々子に」・・・私も大好きです。
この詩集にも収録されていました。

ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ

ここのところが・・・。
ズキズキ痛いほど、よくわかります。

励ますのでもない、慰めるのでもない、
叱咤するのでもない、この優しさは何処から来るのでしょう?

ほんとに。泣きたくなっちゃいます・・・。
2011.07.23 21:14 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]
吉野 弘さん、いいですよね。
父が好きなので、
その影響かアタシの好きになりました。

すべてをありのまま抱きしめて、
受け止めているような、
ただただ愛を注いでいるような、
どうしてこんなにも優しい言葉を紡げるのか…。

思わず溜め息が出てしまいました。
2011.07.24 23:10 | URL | こあ@あこ #EXr3TcQ6 [edit]
こあ@あこ様のコメントが素敵で。
私も思わず、溜息が出ました。
ありがとうございます。

ほんとに、ほんとに。
この深い優しさ、まなざし・・・。
2011.07.25 05:35 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]
彩月氷香さん、こんにちは。
ハルさんにお世話になっている、まほと申します。

素晴らしい詩ですね。
もううなります。
お若い人ばかりではなく、
熟年夫婦も初心に戻れますね。
よい詩をご紹介くださって、感謝です。

過去記事ですが、足跡残させていただきます。
2011.07.27 10:08 | URL | まほ #- [edit]
あら。ハルさんの所から!いらっしゃいませ。

この詩・・・初めて読んだときは私も口をあんぐりしました。
どうして、こんな素敵な言葉を紡ぎだせるのでしょう?
しかも、繰り返し読めば読むほど、味わいがありますね。

いいなぁ。いいなぁ。としか言いようがなくて。
感想らしい感想が書けませんでした。
ええ。金婚式のお祝いにも贈れますね。

過去記事へのコメントはいつでも大歓迎です。
むしろ、とても嬉しいのです。ありがとうございます。
2011.07.27 21:40 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]


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  • 2011年07月23日 (土)

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