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絵の教室  安野光雅

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中公新書
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NHKで放映されたNHK人間講座「絵とイマジネーション」が元だという。
そのせいか図もふんだんに挿入され、目を楽しませる本となっている。

絵を描くってそもそも、どういうことなんだろう?
どんなのが、「良い」絵なのだろう?

イラストレーションとファインアートの違いは?
自画像を描く理由、狙いは何?
遠近法によって画家が手に入れたものと、失ったもの?

どれも、素朴な疑問ばかり。
自らが人気画家である著者が、そんな問いを投げかけながら、
愚直なほどに、素直な気持ちを綴っています。

自画像を描く実験での、著者の苦しみが・・・
笑い事ではないのですが、なんともオカシイ。
創作の苦しみを、敢えて戯画風に晒している姿に好感を抱きました。

以下、ちょっと脱線気味な、私情満載の感想・・・。

安野さんは、ゴッホを赤い靴を履いた少女に例えていて。
ご存じでしょうか?アンデルセンのおとぎ話。

赤い靴に踊らされ続ける少女への天使の宣告の言葉。
恐ろしくも魅了され、私も覚えていました・・・。それはこんな風。

「おまえはいつまでも踊り続けるのだ。その赤い靴を履いて踊るのだ、おまえが青ざめて、冷たくなるまで! おもえは戸口から戸口へと踊ってゆくのだ。そして高慢な、みえぼう子どものいる家の戸をたたくのだ!そういう子供たちがおまえの来たのをこわがるように! さあ、踊れ! 踊ってゆけ・・・」

それをこんな風に、著者は言い換える。

「その赤い靴を履いて、おまえは、絵を描くのだ、おまえが青ざめて冷たくなるまで、自分の目の前のものはなんでも、手当たり次第に描くのだ、そして高慢な、みえぼうの子供たちがおまえの来たのをこわがるように! さあ、描け! 休まずに」

ここを読んで私は、幼い時から自分も赤い靴が欲しかったことに、
ふと気付くのです。いえ、追いやっていた記憶から拾い出したのです。

そうと言葉で理解できていたかわかりませんが。
赤い靴=天賦の才能、と安野さんと同じように捉えていました。

赤い靴を履いて踊り続けることは、普通の意味の幸せではない。
それに気付いていても、そのように踊り狂わされて、生きたかった。

ひと言もそのようには語っていませんが。
きっと安野さんにも同じ思いがあったのでしょう・・・。

本書の主題は、そこにあるのではありませんが。
天才の背負う呪いに羨望を抱く意味をしばし考えさせられました。

比べるべきものなどない、「本物」の芸術。
(絵に限らず、音楽でも彫刻でも踊りでも文学でもいい)
それを生み出すためには、他のもの一切を捨てなくてはならない。

誰にそう教えられたわけでもないけれど。知っていたと思います。
そして、自ら全てを捧げたからとて、与えられるものでないことも。

選ばれて。赤い靴を履かされるのだ。
疲れたとて一瞬も休むことを許さずに踊り続ける靴を・・・。

それでも。私は、赤い靴が欲しかった。
その為には何もかもを失っていい、と本気で祈った日々がありました。

なぜか幸せになりたいとは、一度たりとも願いませんでした。
不幸でいいから、至高の美を生み出す力が欲しかったのです。

遠い遠い昔のこと・・・。

(2011.7.16)


関連記事

これ、今日の午後10~で使おうと思ってる話なんだけど、特別に。

ぼくも昔、天賦の才能がほしくて、そのためならすべてを犠牲にしてもいいと思った時期がありました。前にもいったけど、小説家になりたかったから。幸せも愛もいらねえから、マジで才能がほしい、って。

で、毎日毎日そんなことを考えて暮してたら、ある日、ぼくの前に悪魔が現れたんです。

悪魔っていっても、漫画とかにでてくる感じのやつじゃなく、普通の若者でした。ニューヨークヤンキースの帽子を頭にのせてたのをおぼえてます。

その悪魔はいいました。「魂と引きかえに、何でも好きなものをくれてやろう」
その言葉に、ぼくは一も二もなく魂を差し出し、こういいました。「才能をくれ」
「OK」悪魔は頷き、ぼくの魂を手にすると、すぐに頭を振りました。「駄目だ、この取引は不成立だ」
「どうして?」
「おまえはすでに才能を持ってる。どえらいやつをな」
そうして悪魔はぼくに魂をつき返し、去っていきました。

遠い遠い昔のこと。

この話を信じるか信じないかは、彩月さんしだい。

ではまた。

この話、午後10~に出てきても怒んないでね。すでにネタがギリギリなんで。
先行公開だから、むしろVIPあつかいですよ。
2011.07.23 05:32 | URL | 道下 森 #- [edit]
貴重なネタを、披露してくださってありがとう。
怒ったりしませんよ~。VIP扱い、光栄です。

余裕が出来ましたら、私の場合を違う物語でお話しましょう。
しばらくは、いっぱいいっぱいな日が続きますので・・・。

2011.07.23 09:47 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]


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プロフィール

Author:彩月氷香

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読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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