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真鶴  川上弘美

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文春文庫
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何とも、心を騒がせる小説。

題材はありがち(夫の失踪、思春期の娘、母、不倫の恋)なのに、
確かに川上弘美にしか書けないであろうと思わせる、何かがある。

静かに心がざわめく。鋭さはない、痛み。
深くもなく、浅くもなく、中くらいでもない、不思議な感情の浮き沈み。
甘美な不安が全身に、ひたひたと広がってゆく。

切ない、と表現してしまえば簡単だが、
そのありきたりの形容詞で評したくはない。

「女」を濃密に描いている、はずなのに、
生々しさが行間から溢れるのに・・・、さらさらとした肌合い。

若手の小説家の、透明感とは全く違う、独特の風合い。
心のひだ、すきまに吹く微かな風、を鋭く捉えている。

言葉づかいに魅力があるのだ。
常套句に逃げず平明な言葉で、かつ新鮮な表現をしている。

描かれた世界に吸い込まれるような読書、ができたのは久しぶりのこと・・・

(2007.4.12)


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  • 2010年03月29日 (月)

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